家づくりのトレンド

インダストリアルスタイル

工場を思い出させる無骨な空間


「インダストリアル(industrial)」とは、「工業の」「産業の」という意味。文字通り、工場、それも欧米の古い工場をイメージさせるようなインテリアスタイルを指します。
今、最もトレンドのスタイルでもあり「ああ、あれね」という方も多いのではないでしょうか。

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壁はレンガやコンクリート、床は色が濃い木材やモルタル、天井は配管がむき出しで、金属製のペンダントライトがぶら下がり、テーブルやシェルフは使い古された感じのもの。インダストリアルスタイルといえばこんなイメージでしょうか。その空間は余計な装飾やしつらえはなく、「無骨」「無機質」といった言葉で表現され、どことなくレトロな雰囲気もあります。

インダストリアルスタイルのルーツを辿ると、工場や倉庫だった建物を改修した欧米のショップやカフェ、ギャラリーに行き着きます。欧米では建物の構造的に簡単に壊して建て替えることが難しく、また景観を保全するといった理由からも、古い建物に手を加えながら使い続けることが一般的。ですから、使われなくなった街中の工場や倉庫を改修して使うのは、ごく自然なことだったのです。

こんな動きは日本にも波及してきました。話題のショップやカフェの建物が以前は工場や倉庫だったということが増えています。たとえば、2015年にオープンした「ブルーボトルコーヒー」の日本1号店。かつては倉庫として使われていた建物を利用していて、まさにインダストリアルスタイル! 店舗の奥に焙煎所があり、インダストリアル≠ネ空間を肌で感じることができます。ちなみにブルーボトルコーヒーは、アメリカ発祥のサードウェーブコーヒーの代表格。農産物としてのコーヒー≠ニいう新しい文化を発信しています。

駅ビルやショッピングモールのなかでも、インダストリアルスタイルのエッセンスを取り入れた店舗空間を目にする機会が多くなりました。とともに、無骨、無機質な空間を「機能美」「かっこいい」「粋」とポジティブにとらえ、我が家もこんな感じにしたいと考える人が増えています。

けれども、全面的にこのスタイルにするのはちょっと勇気が必要。そんな人は、照明や家具の一部に黒をポイントとして取り入れることが多く、住宅メーカーの商品カタログにもこのようなインテリアの写真が載っています。なぜ黒かというと、インダストリアルスタイルではブラックスチールがよく見られるから。欧米の古い工場や倉庫にある、黒い鉄製の窓枠に由来しています。

この「黒でアクセントを効かせる」技にも、少しずつ変化が見えてきました。以前は壁面やキッチンカウンター、ドアなど、大面積に黒が使われていましたが、最近は照明器具やダクトレール、テーブルの脚など、面積が小さくなる傾向にあります。インダストリアルスタイル自体、「粗い」「ハード」といった印象を抑え、きれいにまとめる方向にシフトしつつあります。木を多用してナチュラルスタイルとミックスするスタイルなどが好まれるようになってきました。

インダストリアルスタイルは、使い込まれた質感と無駄をそぎ落としたスタイルが人気のようです。気取らない空間を自分の手でコツコツとつくっていきたい。そんなライフスタイルを思い描く方にぴったりのスタイルと言えるでしょう。