“物置き”なんてもったいない!生活研究家の阿部絢子さんが考える老後生活でのお庭の楽しみとは?

“物置き”なんてもったいない!
生活研究家の阿部絢子さんが考える
老後生活でのお庭の楽しみとは?

#くらしのTips

 誰しもが考えておきたい“老後”。その生活をより豊かにするために、“住まい”はとても大事と生活研究家の阿部絢子さんは話します。今回は阿部さんに、20代・30代からでも意識して損はない、60代からの暮らしのあり方をたっぷりお聞きしました。老後の住まいとして、お庭は一体どのようにあるべきなのでしょうか?

「老後」のことは、60代になるまでに!

生活研究家/消費生活アドバイザーとしてご活躍の阿部絢子さん

 体力や集中力が衰えてきてから暮らしを変えるのでは、対応しきれないと阿部さん。『住・食・衣・働・学・遊』と生活を区切って、それぞれのステージで考えていくべきと話します。
 「家族3人なのか夫婦なのかそれとも1人なのか、ステージに合わせて暮らしの『しくみ』を変えていくべき。30代くらいでは『働』がぐっときて、『衣』があり、『遊』がちょっとという方が多いのでは。でも50代を過ぎると、『住』がまず一番になります。60代になれば『働』が衰え、『遊』が持ち上がってくるもの。
 先を見据え〜20代を若期、〜50代を壮期、〜70代を老期、それからを寿期と呼んでいるのですが、50代までは壮年の壮ですからパワフルに何でもできるとき。でもいずれ老いることを見越し、『遊・学・食』の充実をだんだんと考えたほうがいい。それに沿うようキッチンを変えていく、お庭の使い方を見直すなど、具体的な家づくりを進めていけばいいと思うんです」。

『学・遊』は年齢を重ねたとき生きてくる

 阿部さんは実際に『学』として、もともと持っていた薬剤師の免許を生かし、再び勉強を始めたのだそうです。

「薬剤師は70代からの再スタート。ホームステイや海外からのお客さんを迎えるために英会話も習っています。勉強も趣味みたいなものです。私は、作品が残るような趣味は嫌なんです。私の母は家の中を趣味の作品だらけにして…、本人は学んでいるつもりなんですけど、家が家じゃなくなっちゃったんですよ。私はそれを見て、脳の活性化をはかるなら誰にも迷惑がかからなくて、物が何も残らないものがいいなと思ったんです」。

『己を知る』ことと『食』で豊かな暮らし

 また、豊かに暮らすため「健康でいることは基本」だと阿部さんは話します。「健康のための一番は『己を知る』こと。睡眠も8時間なのか6時間がいいのかは人によりますし、疲労回復方法もそれぞれ。老いを迎えるまでに自分を知っておかないと。また『食』もやはり大事。タンパク質、糖質、脂質、ミネラル、ビタミンと食べものを要素で考えて、今日はタンパク質足りないなと思ったら肉を焼いただけのものを足したりします。運動も大事ですが運動の器具を買い込むのではなく、歩けばいい。昔は私も形から入るタイプでしたが、一切やめました。だって絶対続かないってわかるじゃないですか(笑)」。

次のステップを考え、物を減らす

阿部さんは「自分が死ぬギリギリまで新しい経験をたくさんして人生を楽しみたい」とおっしゃいます。

「とっておいても二度と見ないものを始末していくことはとても大事。片付けができない人は必ず『もったいない』と言います。でも使わないほうがもったいない。何でも両手で持っていたら新しい物を持てないじゃないですか。手を離せば次が入ってくる、そういうものだと思います。
 そのためにどれだけ物があればいいのか、今見極めているところです。物を減らしておくと、体力がなくなったときも楽なはず。私は今71才ですが、もう大片付けは終わりました。今はちょこちょこ片付けを常にしています。引き出しや食器棚の一段を頻繁に見直しては捨てたり譲ったり。」
 阿部さんは、生活の中で自然に溜まっていくものを『生活の澱(おり)』と呼んでいます。その澱(おり)をいかになくせるか、つまり“断捨離”“が老後生活を楽しむ秘訣となるそうです。
「でも、買い物をしないわけではありませんよ。着る物がないわけじゃないけど、あそこに入るなと思って着たいものを買いますし、食べ物の取り寄せもします。毎年季節にはタケノコを掘りに仲間と三重に出かけます。タケノコ組と呼んで、なんだかんだで集まっています。飲み友達ですね(笑)。年を取ると、胸襟を開いて付き合える仲間は大事です」。

ビールを飲みながら友達とくつろぎたい

「もし私の家にお庭があったら物置ではなくて、テーブルやイスを置いてビールを飲みたい(笑)。私は植物を育てるのは苦手なので(笑)、ウッドデッキと屋根を付けて影をつくり夕涼みもいいなと思います。たとえ狭くてもバーベキューとか、限りあるスペースを有効に使ってお友達と楽しめたらいいですね」。

広々と感じる阿部さん宅の居間スペース。住まいの空間は限られているからこそ、趣味を楽しんだり、のびのびとくつろぐために、いかにスペースを確保できるかが大切なんですね。

何も置かないようにしている座敷には15人ものお友達が集まることもあるという阿部さん。片付けられた余白があるからこそ、入ってくる交友関係や趣味もあり、また暮らしが変わっていくのかもしれません。

 もし家が狭くても、デッキを付けるなどして庭に「もうひとつのリビング」をつくるという手もあります。お庭がデッドスペースになってしまってはまさに「もったいない」。軒を広げる感覚でデッキに大きな屋根を付ければ、屋外なのに室内感覚。趣味のためやお友達と集うスペースにするなど、お庭が広げてくれる可能性はたくさんあるはずです。

阿部絢子さん
新潟県生まれ、共立薬科大学卒業。薬剤師の資格を持ち、洗剤メーカー勤務後、生活研究家・消費生活アドバイザーとして現在に至る。家事全般や消費生活アドバイザーとして幅広く活躍。近著に『老いのシンプルひとり暮らし』(大和書房)があり、他のWEBメディアでも「収納術」をテーマにした連載を担当されています。
http://ayakoabe262.jp/

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