interview

竣工を迎えた“今”の想い

率直な今のお気持ちをお聞かせください

色々な気持ちが湧いています。ようやく終わったという思い、まだまだこれからだという思い、悲しくてさびしい気持ち、そして、自分の実力が足りないことを実感して、まだまだ上を狙おうという決意です。

振り返ってみて、一番苦労したことは?

一人で活動することが多かったので、そこが一番の苦労でしたね。建築は一人じゃできないんだと痛感しました。たくさんのコトをやっていきたくても、身一つでぶつからなければ進めないものばかりでしたから。特に竣工前の時期は、頭では分かっていても身体がついてこないことが多かったです。たくさんのメンバーで取り組んでいる慶應のみんなが、正直うらやましかったです。

一番楽しかったことは?

メム メドウズの現場で皆と一緒に生活したことです。学生の仲間たち、久保さん、工務店の職人の方々、町の皆さん、十勝管内の皆さん…。私は特に町の方々には積極的に関わろうと考えていました。最近では、町の居酒屋さんで出会った農家の方と、堆肥の話に花が咲いて盛り上がりました。

もう一つ楽しかったのは、作品が自分を語ってくれる体験をしたことです。例えば慶應の小松君と建築の議論をすると、建築の何を大事にしているかを通して、深いところでお互いの価値観が伝わる気がします。それは面白い経験でした。

牧草の発酵実験の成果はいかがですか?

試行錯誤しています。30℃まで発酵熱を上げることはできたのですが、現時点では長持ちしません。今、「一番牧草」という夏の一番暑いときに刈り取った牧草で実験しているのですが、リグニンという堅い物質が多く含まれ、分解されにくいのです。分解を進めるため、色々な種類の完熟堆肥を作り、牧草と混ぜて実験しています。少なくとも、室温プラス10℃くらいまでは長時間発酵熱が出るようにしたいですね。

竣工を迎えて、改めて「町まとう家」への思いをお聞かせください

これまで家を「服」になぞって考えていましたが、町まとう家はもっと生物的だと思うようになりました。建築を一つの「生き物」として考えれば、人はヘモグロビンのような存在です。物質はエネルギー高位から定位に流れることを考えると、人がいなければ建築物はすぐに風化してしまいます。町まとう家はこの関係を強調した家です。ですから、この家に共感していただける方々との輪を広げ、町まとう家を生かさなければいけないと考えています。それが自分の信じる建築家の仕事です。

将来の夢について教えてください

町づくりを通して何かを作りたい、という思いは以前と変わらないのですが、今は「どう実現するか」にシフトしています。町づくりでは、その土地ならではの産業や暮らし方を考える必要があります。そして同時に、モノをつくれる可能性があります。この両方に関わることは、建築家にしかできない仕事だと思っています。

大樹町の皆様へメッセージ

町まとう家は、非常に手間のかかる家です。
でも、牧草を育てて収穫し、その牧草で動物を育て、大地を踏みしめて生きて来られた、大樹町の皆さんの誇りをカタチにした家です。
この家とシステムに共感していただける方の輪をどんどん広げていって、この家をみんなで集まれる家にできたら嬉しいです。

学生のための 住宅デザインコンペ

インタビュー 最優秀賞「町まとう家」

インタビュー 竣工を迎えた“今”の想い

LIXILグループ

Copyright © LIXIL Corporation. All rights reserved.

TOP