IoTの技術で、未来のドアを創造。自分の手で、業界の当たり前になる商品の開発を
商品開発
LHT-J サッシ・ドア事業部 ドアSBU ドア開発グループ
J.T / 2022年入社理工学部 電気電子工学科
さまざまな部署と連携し、アイデアを形に。多岐にわたる商品企画・開発の業務
私はサッシ・ドア事業部 ドアSBUという部署の未来創造グループに所属しています。未来創造グループのミッションは、既存の枠にとらわれない新しいドアを創造すること。IoTなどの先進技術を取り入れながら、商品の開発を行っています。
その中で私は、スマートフォンなどでドアの施解錠ができるシステム「FamiLock」の開発を担当しています。開発のプロセスとしては、機能のアイデアを出す企画から始まり、それを実現するために必要な技術の調査を実施。競合となる商品や市場のニーズ、コストも考慮しながら、どの技術を採用するかを決めていきます。
そしてスマートフォンのBluetooth®通信によりカギの施解錠を行うといった具体的な機能を設計に落とし込み、試作・製品評価を経た後に生産体制を整備してようやく商品が販売されます。その過程では、構造や電気回路の設計者やデザイナー、購買担当、製造担当など、幅広い部署との調整が欠かせません。また、外部の協力会社とも折衝が必要であり、開発の仕事は実に多岐にわたります。
さまざまな部署や関係者と共にプロジェクトを進める上で、私が大切にしているのは、全体の最適解を考えるということです。とくにプロジェクトリーダーを務める際には、なぜそれをやるのかをメンバーが納得して取り組めるようにしたいと考えています。
チームの目的達成に向けて、どのような選択肢があるか。それを徹底的に検討し、メンバーの意見を取り入れながら、組織全体としての最適解を追求することを心がけています。
現在のワークスタイルとしては、在宅勤務と出社の比率は半々ぐらいです。ハードウェアの動作確認など、現物を見る必要がある際に出社しています。開発は期日が決まっている業務がほとんどのため、やるべきことが完了していればまとまった休暇を取ることも可能です。昨年末は一気に7日間の有給を取得し、ヨーロッパ旅行に行ってきました。LIXILには有休が取りやすい雰囲気があり、旅行でリフレッシュできるなどワークライフバランスが充実していると感じます。
また、職場の雰囲気に関しては、部門のトップの方でも「たなじゅん」とあだ名で呼んでくれるくらいみんなフランクに話しかけてくれるので、コミュニケーションが取りやすく、何かあれば遠慮なく質問や相談ができる社風だと思っています。
IoTのスキルを、成長市場で活かしたい──風通しの良い組織で、先進的な開発に挑戦
学生のころからものづくりに興味があり、メーカーへの就職を希望していました。当時から一貫しているのは、日常的に目にする機会が多く、世の中に役立つ商品を開発したいという想いです。そうした観点から、大学卒業後はATMやPOSレジなど、現金を扱う機械を開発・製造する大手ITメーカーに就職しました。
プリント基板や電気回路の設計を3年ほど経験した後、商品全体のプロジェクトリーダーを任されるように。そんな中、コロナ禍で在宅勤務が増えたことをきっかけに、キャリアを見つめ直すようになりました。
より先進的な技術を使った開発に取り組みたい。そう考え、歴史ある大手IT企業から大きく環境を変え、当時起業3年目のスマートロックを開発するベンチャー企業に転職しました。
スマートロックを開発する企業を選んだのは、もともとスマートフォンや音声で操作できる新しいガジェットを自宅で使っていて、興味があったからです。ベンチャーならではの迅速な意思決定や、つくりたいモノを一からつくり、戦略を立てて市場に浸透させるまでのプロセスを経験できたことは、今でも大きな財産になっています。
そこでの経験を活かしてステップアップするべく、新天地として選んだのがLIXILです。LIXILは、住宅建材・設備機器メーカーとして高いシェアを誇り、豊かで快適な住まいを実現する幅広い商材を扱っています。その中で、自分が強みとするIoTの領域ではまだ発展途上の段階です。自分が開発した商品が、建材業界の当たり前になる。そんな可能性に挑戦したいと思い入社を決意しました。
面接で受けた印象は、とてもフランクで話しやすいということ。そして入社後に感じたのは、自分が思っていた以上に上下関係の壁がなく、風通しが良い組織だということです。自分と同様に他社から転職してきた人や社内の別部門から来ている人など、多様性に富んだメンバーが集まっているため、キャリア入社ということを意識することもなく、驚くほどスムーズに新しい環境になじむことができました。
入社2カ月目で2つの大型プロジェクトを担当。質問や疑問に向き合ってくれた仲間たち
入社して最初に手がけたのは、2つのプロジェクトです。1つは電気錠システム「FamiLock」におけるオプションデバイスの開発、そしてもう1つが、新築の玄関ドア1種のみに搭載していた「FamiLock」を、新築・リフォーム含めたすべての玄関ドア商品に展開するためのエコシステム(※)の構築です。
その2つについて、自分が培ってきた知見を活かせるチャンスだと思い、自ら手を挙げてプロジェクトリーダーを担当。まだ入社2カ月目の自分に、大役を務めるチャンスをもらえたことがうれしかったです。
オプションデバイスの開発では、企画と要件定義の段階から参画することに。鍵を室内に置き忘れた際、自動施錠によって閉め出されてしまうという課題を解決するため、屋外からでもナンバーキーによって施解錠できる新しいデバイスをオプションとして選択できるようにしました。
その他にも室内の玄関スペースであれば好きな場所に設置が可能で無線通信によって施解錠できるデバイスや、認証エリアにカギを持って入るだけで何も操作をすることなく解錠とドアを自動開閉できる機能など、5つの開発を同時に進行。外部の協力会社ともコミュニケーションを取りながら、発売に向けて仕様の決定や設計などを進めていきました。
入社したばかりで組織の全体像や業務プロセスが把握しきれていない中、プロジェクトを推進することに最初はとても苦労しました。LIXILは企業規模が大きいため、販売に関して営業担当に相談するにも全国に営業所があり、どこが窓口なのかがわかりません。また、仕事の慣習についても前職とは異なります。LIXILで常識とされている業務プロセスについて、改善の余地があると感じたこともあります。
そういうときは遠慮せず、周囲に対して素直に伝えるようにしました。たとえば、お客様からの問い合わせに対応するための伝達ルートについて。より効率的な方法があると感じ、無数にある伝達ルートを調査して見える化を実施。それによってどこに課題があるかの特定が可能になり、改善につながる提案ができました。
自分がわからないこと、疑問に思ったことをそのままにせず、納得してから取り組むこと。それが徹底できたのは、周りのメンバーがどんなときも協力的だったからです。会社をもっと良くしたいという共通の想いがあるからこそ、私の質問や疑問に真摯に向き合ってくれる。そうした仲間のおかげで、2つの大きなプロジェクトを計画通り無事に完遂することができました。
※ 生態系を意味する言葉。ここでは比喩的に製品の生態系を指し、製品に関わるすべての人・組織が円滑に機能するための改善活動を表します
自分でゼロから考え開発した商品を、世の中へ。ものづくりの挑戦は続く
1社目で学んだものづくりの基礎、そして2社目で培った仕事のスピード感は、LIXILで働く上でも活かされていると感じます。とくにスピード感は、相手が気持ちよく仕事ができるよう、大切にしていることの一つです。自分でボールを止めず素早く返すことで、相手が業務に取り組む時間を少しでも長く確保できるよう心がけています。
そうしてチーム全体のパフォーマンスを上げることが、より質の高い商品づくりにつながっていると感じます。たとえば商品の一つである「玄関ドア XE」は、多種多様な家庭環境に対応していることが評価され、2023年度グッドデザイン賞を受賞しました。商品を発売する際にはメンバー全員で記者発表に出席。さまざまなメディアの方が集まる中、自分たちが開発した商品を説明できることに、喜びと誇らしさを感じました。
LIXILに入社して約2年。やりがいの大きな仕事ができる環境にとても満足しています。風通しが良いだけでなく、何より働いているみんなのモチベーションが高い。そしてお客様に商品をより良い形で届けたいという想いが強いので、ものづくりが好きな人間にとっては理想の会社です。
今後は、自分でゼロから考えた商品を世の中に出すことが目標です。すでに企画ができている段階からの開発は幾度も経験してきましたが、何もないところからの開発はまだ実績がありません。自分で起案し、市場にリリースするまでを実現したいと思います。それを達成した後は、事業の方向性や戦略を考えられる立場をめざしていきたいです。
私と同じように、新しい商品を世の中に出したいという意欲を持ち、ものづくりに対する情熱がある方が、LIXILに加わってくれたらうれしいですね。とくにIoTが得意な方にとって、建材業界は活躍できるチャンスが大きく広がっています。挑戦しがいのある会社なので、異業種からでもぜひチャレンジしてみてほしいと思います。
*所属・内容等は取材当時のものです。