
生産現場の声を大切に、課題を改善。業務効率化やコスト削減に貢献する喜び
生産技術
下妻工場 押出課
M.K / 2019年入社理工学研究科 機械工学専攻
数字だけにとらわれず、生産現場の意見を聞く。生産における課題を特定し、改善するために
私が所属する押出課は、原材料のアルミを加熱し、金型に充填 (隙間や空所にものを詰めて塞ぐこと)して成形する押出成形を行うことで、サッシなどの住宅建材を製造しています。その中で、押出成形に使用する金型の管理や改善、生産実績の算出を行うのが私の主な役割です。
一日のスケジュールは、出社後にメールチェックや前日分の実績算出を済ませた後、朝会に出席。朝会ではスケジュールの確認や業務の進捗報告など、課内で情報共有を行います。その後は状況に応じて生産現場からの依頼に対応したり、改善業務に取り組んだりなど、日によってさまざまです。
改善業務のプロセスとしては、まず生産現場で起きている課題について原因を特定します。たとえば生産量が目標に達していない場合、何が生産性の低下を招いているのかなど。その際に私が大切にしているのが、現場の声を聞くことです。
数字など机上で確認できる事実だけにとらわれず、実際に生産現場で作業にあたっているメンバーに、どこに原因があると考えられるか意見を求めるようにしています。そして特定した原因に対して現場としてどう取り組みたいかを確認した上で、改善策を提案。お互いの意見をすり合わせながら、一緒にプロジェクトを進行しています。
現在は、生産における金型の準備や片付けのプロセス改善に取り組んでいる最中です。生産工程に使用するさまざまな金型は、工場内の所定の場所に保管されています。これまでは金型がどこに保管されているか、作業員が記憶して準備をしたり、片付けを行ったりしていました。そのため経験がない新人の場合、保管場所を見つけるのに時間を要するという課題があったのです。
そこで、誰もが簡単に保管場所を見つけることができるよう、RFID(電波などでデータを非接触で読み書きし、モノの識別を行う技術)を用いたシステムの開発を進行中。金型の管理を容易にするだけでなく、紛失した金型を探すことも可能で、棚卸業務の工数を大幅に削減することができます。今は6月からの本格始動に向けて、協力会社と打ち合わせをしながら準備を進めています。


成長性と働きやすさが入社の決め手。取り組みに対するメンバーの喜びがやりがいに
私は大学院で機械工学を専攻し、アルミニウムの内部に多数の気孔を持つ材料についての研究を行っていました。就職活動においては、研究内容を活かせるかどうかという観点も大切だと思います。しかし私がもっとも重視したのは、その会社で働く未来にワクワクできるかということ。可能性を限定してしまわず、多様な企業との出会いを求めてさまざまな説明会に参加しました。
その中で理想の企業だと思ったのが、LIXILです。住宅設備機器・建材メーカーとして幅広い商材と高い技術力を有しているため、世界に誇れる住まいが建てられるとワクワクしました。また、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー5社が統合して設立され、積極的に変革を推進している姿勢にも魅力を感じました。
事業内容やパーパス(存在意義)はもちろん、入社を検討する上では働きやすい環境であるかどうかも重要なポイントです。その点においても有休が取得しやすいなど、ワークライフバランスを大切にしている会社であることがわかり、入社を決めました。
入社前に抱いていた印象は変わらず、工場で勤務し始めてからも働きやすさを実感しています。業務に支障がなければ、自分のタイミングでいつでも気兼ねなく有休を取得することが可能です。工場の場合、ラインを止められないため休みづらいというイメージがあるかもしれません。しかし生産現場も変わってきており、最近はみんなで協力してワークライフバランスが取りやすい体制を構築しています。
働きやすい環境づくりのためにも、改善を通じて現場の効率化や作業負担の軽減を図ることは私の重要なミッションです。現在取り組んでいる金型の準備や片付けのプロセス改善をはじめ、より使いやすいシステムに変更するなど、日々進化を重ねています。
そうした取り組みが成果につながり、現場のメンバーに「作業がすごく楽になった」とうれしい声をかけてもらえること。それが何よりのやりがいにつながっています。

アルミの成形における改善で、大幅なコスト削減を実現。社内コンテストにも入賞
入社して約5年、生産現場の課題に対してさまざまな改善を行ってきました。その中でもとくに印象に残っているのが、アルミを押出成形する際に生じていた、アルミの不必要な肉厚(厚み)増加を防ぐ改善です。
従来は、熱したアルミを金型に充填して成形する過程で、金型の摩耗や変形が起きていました。それにより、アルミの肉厚が徐々に厚くなってしまうという課題が生じていたのです。たとえ0.1mmでも厚くなると品質に影響しかねず、使用する原材料が増えてコストもかさんでしまいます。
最初はアルミを金型から押し出す際にかかる内部圧力を、金型構造を見直すことで分散させる方法を考案しました。しかし結果は失敗。その内容を生産現場のメンバーにも共有しながら、他にどういう方法があるか、みんなで膝を突き合わせて考えました。
現場から寄せられるアイデアは、私一人では思いつかなかったような新しい視点のものばかり。それらをまとめながら、どうすれば実現できるかを検討し、具体的なプランに落とし込んでいきました。
改善に取り組む上でもっとも大変なのは、効果を見極めるために最低でも半年程度の時間がかかることです。そのためさまざまな改善案を同時に試行しながら、効果を確認していきました。
そして最終的に成功したのが、金型そのものを変形しにくい構造に変えるという方法です。しかも加工費は一切不要。結果として、年間約5,000万円のコスト削減効果を生み出すことができました。
こうして実験のプランを立て、トライアンドエラーを繰り返しながら、成果につなげていく。LIXILの行動指針には「実験し、学ぶ」というものがありますが、そのプロセスは、大学院で研究を行っていたときと同じです。研究に取り組んだ経験は、生産現場を改善する現在の仕事にも大いに活かされていると感じます。
LIXILでは年に1度、業務改善を表彰する社内コンテストが開催されています。金型構造の改善成果について応募したところ、優秀賞を受賞することができました。このように成果を評価してくれる仕組みがあることも、仕事のモチベーションにつながっています。

組織横断での連携を強化。挑戦できる環境を活かして、現場の生産性向上を追求
私がLIXILで働いていて感じる魅力は、グローバル企業として常にチャレンジする姿勢があるということです。「NODEA」というハイエンドユーザー向けの画期的なブランドを立ち上げたり、環境に配慮した商品を開発したり。業務に取り組む中で、今後さらに成長していく可能性を肌で感じることができます。
成長途中だからこそ、私たちが改善できる余地もまだまだあると思っています。とくに私が注力したいと考えているのが、組織横断での連携です。部門の垣根を超えてそれぞれの強みを活かし、横展開で課題を解決できるようにしていきたいと考えています。
その取り組みの一つとして、アルミの表面に生じる不良を発見する画像検査技術の開発が進行中です。プロジェクトのきっかけは、研究所を訪れる機会があったときのこと。普段接点のない加工部門のメンバーと話せるチャンスだと考え、画像検査について相談したことからスタートしました。
行動を起こせば誰かが協力してくれ、社員の挑戦を後押ししてくれる環境がある。それもLIXILの魅力だと思います。
これからも組織横断で課題と向き合い、現場のメンバーに喜んでもらえるような改善を積み重ねていきたいです。現在は工場主導ですが、私としては工場のマネジメントを行う本部主導で改善に取り組むほうが、より円滑で効果的だと考えています。そのため将来的には、本部の立場から改善に携わり、工場のさらなる生産性向上に貢献することが目標です。
私が現在携わっている業務は、学生時代の研究テーマとは直接関係していません。そのため最初は自分に何ができるかという不安もありました。しかし入社してから新たに学ぶことのほうが多く、自分の成長を通じて会社に貢献できることが、やがて自信につながっていきました。
以前の私と同じような不安を抱えている方も、ぜひLIXILという新しい環境に飛び込んでみてほしいと思います。社員のやりたいことや、得意分野を活かしてくれる会社なので、活躍できる場がきっとあるはずです。新しい発想や技術を持つ皆さんと一緒に、LIXILの可能性をさらに広げていくことができるのを楽しみにしています。
*所属・内容等は取材当時のものです。