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モニュメントの
制作

MOVIE

それぞれの想いをかたちへ

  1. MOVIE想いのデザインと
    メッセージを“かたち”へ
  2. 3.1新潟の鋳物職人が
    制作を支える
  3. 3.2被災地の高校生が
    東京藝大へ
  4. 3.3アルミ鋳造から生まれる
    メッセージプレート
  5. 3.4多くの想いがつながって
    モニュメントは完成へ

3.1

新潟の鋳物職人が
制作を支える

2019年8月に開催された「東京2020 復興のモニュメント」のワークショップから半年。被災地の想いが込められたバトンは、作り手である東京藝術大学の学生たちの手に渡り、いよいよモニュメントの成形がスタートします。
まずは、モニュメント本体の制作が新潟県の大型アルミ鋳造の専門工場で進められることとなり、2月のはじめ、藝大生たちは雪の積もる新潟を訪ねました。

工場内には最大溶解重量2400kgまで対応可能な溶解炉をはじめ、大型アルミ鋳造に必要な設備とノウハウを備えており、さまざまな金属の溶接や組み立ても行っています。
藝大生たちは、鋳物職人たちの迫力ある作業風景に圧倒されると同時に、形の見えてきたモニュメントを目前に興奮を抑えきれない様子です。
モニュメントをデザインした一人、福井汐音さんは、「自分のデザインしたものがこれだけ多くの人の手によって、今、実物になっていくことが圧巻という感じです。自分が想像していたものより格好良くできています!」と目を輝かせていました。
そんな様子を見た職人たちは、「責任をもって仕上げます」と一言。その言葉は藝大生を安心させ、勇気づけてくれたようです。

3.2

被災地の高校生が東京藝大へ

昨夏のワークショップでは、岩手・宮城・福島県の中高生約260人が、これまでの復興支援への感謝の気持ちや東京2020オリンピック・パラリンピックへの応援の言葉を綴ったメッセージを作成しました。このメッセージをモニュメント本体に掲げるため、東京藝術大学の学生たちが、文字を刻んだアルミのプレートへと鋳造します。
初めて鋳造作業が行われる日、ワークショップに参加した福島県の高校生たちが取材に訪れました。

「今日は、鋳造作業を見られると聞いて、すごくワクワクした気持ちで来ました。なかなかできない貴重な経験です」

東京藝術大学の鋳造実習室は「土間」と呼ばれ、前身の東京美術学校から受け継がれる「真土(まね)」※が敷き詰められています。鋳型を作るための砂場や金属を溶解するための炉、減圧鋳造機などがあり、作業現場を見守るように、神棚には古来の送風装置「ふいご」が祀られています。
※耐火度のある川砂と粘土を混ぜた鋳型砂

「ただできあがったものを見るだけじゃなく、実際に作っている現場を見てもらうことによって、より深くモニュメントの関わりを感じられるんじゃないかなと思います。鋳造というものにも関心を持っていただけたら嬉しいです」
光の差し込む「土間」は、どこか神聖な雰囲気。高校生たちが緊張した面持ちで見守るなか、いよいよ溶解炉の中へアルミが投入されました。

3.3

アルミ鋳造から生まれる
メッセージプレート

ワークショップで中高生が作成したメッセージは、まず木型におこし、それを鋳物砂で挟み込んで鋳型を作ります。型に溶かしたアルミを流し込んで、一つ一つプレートに仕上げます。この「生型鋳造」は、最もシンプルな鋳造方法で金属部品を量産する際などにも用いられているそうです。
使われるアルミは、仮設住宅の窓などから回収されたアルミ建材を再生し、さらに鋳造しやすいよう加工したもの。高温に熱した炉で、ドロドロになるまで溶かしたアルミを700℃前後まで冷ましたら、鋳型へと注ぎ入れます。その瞬間に形が決まってしまうため、気の抜けない真剣勝負です。藝大生たちは息をあわせ、慎重に作業を進めていきます。

作業現場を見学した福島の高校生たちは、こんな感想を聞かせてくれました。
「一息にアルミを流し込むところは、簡単そうに見えてとても技巧のいる作業だと感じました。そして自分たちの作ったメッセージがモニュメントとして形になるまで、そこに携わる人が予想以上に多いということにびっくりしました。福島に帰ってみんなに伝えたいと思います」
「すごく大変そうな作業で、プレートを丁寧に作ってくださってとてもありがたいなと思いました。完成が見えてきて、とてもわくわくした気持ちです」

3.4

多くの想いがつながって
モニュメントは完成へ

「東京2020 復興のモニュメント」制作のプロジェクトに参加した藝大生の多くは、夏のワークショップで初めて被災地を訪れました。仮設住宅の残る町や津波の爪痕を目のあたりにして、当時の被害の大きさを改めて実感した様子でした。しかし、それでも復興へと向かう地元の人々の強い想いや笑顔に触れ、モニュメント制作への想いはより大きなものに変わっていったようです。

福島県に選ばれた「顔はめパネル」をモチーフにしたデザインの考案者、美術学部3年の岡つくしさんは、「実際に現地を見て、地元の人たちは暗い気持ちになってしまう日もあるだろうなと思ったので、毎朝通りすがりにモニュメントを見るたび、『よし、今日も頑張ろう』という気持ちになってもらえるような、元気の源になるようなものができたらと改めて思いました」と話してくれました。
鋳造がスタートし、当初は慣れない作業に苦労したという岡さん。「大変な分、できあがったときの感動も大きいと思います。今日、見学に来てくれた高校生たちとも感動を分かち合いたいですね」。

宮城と岩手の2県で選ばれた、宝石をモチーフにしたデザインを考案した福井汐音さんは、「最初は自分一人で考えたものだったけれど、それがいろんな人の手の中で変化していったと感じています」と、これまでを振り返るとともに、「東京2020大会」に向けて、「出場選手たちはスポーツで世界の平和を伝えていきますが、私たちはこのモニュメント制作を通じて、世界に平和を伝えていくことができたら嬉しいですね」と想いを語ってくれました。

この後は、新潟の工場で作ったモニュメントの本体に、メッセージプレートが取り付けられていきます。
被災地や仮設住宅に暮らす人々の想い、メッセージを作成した中高生の想い、それを託された東京藝大生の想い、制作に携わる職人の想い……多くの人々の想いがつながって、今、「東京2020復興のモニュメント」はその姿を見せはじめました。

“想いをつなぐモニュメント”とは?

被災地から世界へ。世界から被災地へ。

私たちLIXILは、東京2020組織委員会、東京都、東京藝術大学、岩手県、宮城県、福島県と共に復興のシンボルとなる「東京2020 復興のモニュメント」プロジェクトに取り組みます。
東日本大震災での役割を終えた仮設住宅の窓などのアルミ建材を回収・再利用し、モニュメントの素材として再生アルミを提供します。復興のシンボルとなるモニュメントにたくさんの想いを込め、未来へ残していきます。