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LIFESTYLE 02

“わが家ライク”に過ごせる、
「水辺のサードプレイス」

自宅じゃない。
けど、自宅のような居心地のよさ。

都市型狭小住宅をリフォームし、1階のビルトインガレージがあった場所に部屋を設けて、自宅でも仕事場でもない「サードプレイス」として貸し出したりシェアしたりするプランです。何をしてもいい自由な空間は、ここだけで生活を完結させる必要がないため、住居が当然持っているひと揃いの機能はないものの、もともと土間だった性質を活かして、シャワー・洗面・トイレの水まわり一式を設置。あるときは贅沢な浴室になり、あるときは広い寝室になります。
リビング替わりや書斎替わり、アトリエ替わりとして使うことも可能。従来のサードプレイスに水まわり機能が加わることで、自宅とは異なる場所でありながら、“わが家ライク”にも過ごせる居心地のいい空間が生まれました。

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A 若手美術家のアトリエとして利用

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B 趣味の本がある
オープンスタディルームとして利用

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C 近所のシェア別荘として利用

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海法圭さんの考える、
ストーリーのBack Ground

「水たまりのある住宅」

まちに近く、家から遠い部屋

車庫という部屋があります。車庫は人間が所有する物の中ではおそらく最も大きな自家用乗用車の保管場所として、大きさ、環境、配置が決まりました。戦後の経済成長にともない、乗用車の所有率と住宅の着工数が足並みをそろえるように増えるなか、車庫という部屋も必然的に生まれてきました。大きさは幅3m、奥行き6m、高さ2.5〜3m程度の細長い空間です。
特に都市の住宅においてはリッチな気積を獲得することは難しく、車のまわりを人ひとりが通れるくらいの、少々独特なプロポーションの部屋です。窓がなかったり小さかったりすることが多く、奥に向かって徐々に暗くなるため奥深さが強調されます。当然のごとく道に地続きに接していて、間口いっぱいでまちとつながることができます。きっと伝統的な日本住宅に見られる土間の延長のように車庫をつくる手もあったけど、排気ガスを考えて生活部分と切り離された個室になっています。車庫は住宅の中では最もまちに近くて、家から遠い部屋なのです。

遊動生活を住宅に練り込む

人類は400万年続けてきた遊動生活を1万年前にやめ定住化したと言われています。近代化の過程で私たちは豊富なインフラや建物を資産として所有し、高度に定住化しました。一方で、シェアをはじめとする昨今のスペース活用の事例を見ていると、現代人はもう一度さまざまなかたちで遊動的な状態を生活に取り入れようとしているように見えます。
具体的にはシェア、コワーキング、マルチベースなど、定住を前提としつつも生活上許される限りで自らの所有、所属、所在を細やかかつ頻繁に遊動させる動きのことです。これらは空き家や空きスペースの増加と相まってより前景化しています。車を駐車しなくなった車庫も、まちに近い配置の特性もあって、遊動生活の一端を担 う舞台になりやすいのではないでしょうか。

水たまりのある床について

水は蛇口からいよいよとはりきって出るものの、すぐに床に落ちて排水口に滑り込んでしまいます。普段家の中で目にする水は、このわずか数秒のせわしない姿です。一方で海や湖などをはじめとする地球上の大部分の水は、たっぷりと雄大にたまっている状態が自然な姿です。このどちらとも異なる水の姿が、雨が降るとできる水たまりです。
水たまりは、水に触れられると同時に床の性質も兼ね備えていて、いわば水で床を仕上げた状態に近い。この水たまりの生み出す水辺の気配を具体的な空間のしつらえに再定義しようと、車庫の床に深さ最大70ミリほどの平べったいくぼみをつくって、自由に水をためて水たまりをつくれるようにしました。部屋の中に水たまりやそのためのくぼみがあると、ふんだんな水で自由に遊びたくなるし、一方で水たまりがないときは書斎のような過ごし方も許容します。水たまりの大小が、水辺と書斎を行ったり来たりできる贅沢さをもたらしてくれると、私たちの水場での過ごし方もよりおおらかで自由なものになるでしょう。

「自由な空間+水まわりで、物件の付加価値アップ」 既存図面 「自由な空間+水まわりで、物件の付加価値アップ」 改修後図面 「自由な空間+水まわりで、物件の付加価値アップ」 改修後図面
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海法圭(かいほうけい)

1982年生まれ。2004年東京大学工学部建築学科卒。2007年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了。2007~2009年西沢大良建築設計事務所勤務。2010年海法圭建築設計事務所設立。現在、東京大学、芝浦工業大学非常勤講師。
http://kaihoh.jp/