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2019年

グランプリ

グランベリーパーク

受賞企業

設計事務所
株式会社東急設計コンサルタント 様
建設会社
東急・鉄建・京王・東急リニューアル建設共同企業体 様
販売店
日本軽窓株式会社 様
加工店
フロンテック神奈川株式会社 様

講評

ネット通販急成長の影で既存商業施設の衰退が加速するなか、人が集まる商業施設ができた。しかも大勢の人が笑顔で歩いている。忘れかけていた光景だ。鍵は個と全体のバランスである。SC全体をオーケストラに例えれば、入居するテナントは個々の楽器であり、それらがメロディーを奏でながら壮大なシンフォニーを奏でる。海外に比べて日本のSC・商業施設はテナントの立場が強く、壁面があればすぐに個を主張して看板を掛け商品を溢れさせる。顧客はその不協和音に耳を閉ざしSCは集客力を失う。こうした情報過多の商環境を改革すべく、本物件の開発者はクライテリアを重視、テナントとモールの境界を重視した内装管理規定を作り上げた。
ストアフロントでは看板の出し方、リーシングラインとサッシ廻りなどガイドラインを徹底、デザインレギュレーションではサッシ廻りの什器、残置灯、点灯時間帯、欄間サイン等街への賑わいと統一感に配慮、更に共用部への顔出しや、道路面に対する見え方等都市的な景観づくりを目指した。これは視覚効果を優先したVMDの理念を都市規模のSCに展開したものだ。個々の店の情報をフロント材の額縁に入れるように商環境の情報を点、線、面、として整理している。点とは商材や人などの点景、線とは柱、梁、手摺、キャノピー、そしてサッシなどのフロント材である。これに壁など面材を加えた3要素をグラフィックデザイン的に処理した。特筆すべきは商材を線材のサッシで枠取りして並べ人工物に対して、公園や大階段の緑など自然物を配して街の風景を完成させた個と全体の見事なバランスである。
情報量の多い都市景観なかで如何に商材を浮き立たせるかという難問を、街並みの中にウィンドウを際立たせることで解決した。その結果大規模施設でありながら、回遊や散策を促す人々が歩く街を実現したことは偉業である。商業に於ける仮想空間の進化が目覚ましい中、実空間としての街の風景、商環境のあるべき姿を提示したことは、大変に意味深く称賛に値する。特にフロント材を大規模に展開したデザインは本コンテストの趣旨にまさに合致するものであり本年度グランプリに選抜した。