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2020年

グランプリ

アイコクアルファ株式会社 いこいの広場 樋田成二メモリアルホール

受賞企業

施主
アイコクアルファ株式会社 様
設計事務所
三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社 中部一級建築士事務所 様
建設会社
三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社 中部建設統括部 様
加工店
株式会社甲賀 様

講評

感染症が蔓延する中、在宅ワークやリモート授業が普及して企業や学校などで接触が減り、人と人との関係性が希薄になった。一方で家の中、地域の中で費やす時間が増える傾向にある。こうした社会情勢を反映して、地域との関係を良好に保とうとする企業が増加している。この関係性に焦点をあてると、企業社屋の建築空間においては特に開口部が重要であり、それを具現化する部材がフロントである。

こうした視点で当該作品を観察すると、十分な開口部とそのフロント材の存在を軽減するためのデザインが秀でている。軒天井とサッシの納まりがすっきりと整理され、開放感あふれる大開口は、大型引戸ヘーベシーベの活用により内外を隔てる仕切りのない一体感を作り出した。こうしたきめ細かい配慮が施されたデザインは、より積極的に地域の人々を招き入れ、もてなすことに寄与していると考えられる。

ホストプレイスという概念がある。地域貢献などの用途で建築や施設を計画する際に、客を接待するホスト役を空間や建築など「場」に置き換える考えかただ。その「場」では地域の人々に自分たち企業をわかりやすく紹介して、地域から招いた人々に疎外感を与えないように配慮する。それにより客は自分が主人公であり、企業側の様々な接待や気配り行動によって、もてなされているという安心感や満足感が得られる考え方である。

当該物件の「場」としての佇まいは、まさにこのホストプレイスとして地域の人々を招き入れ、もてなそうとする企業の姿勢がうかがえる優れた「場」であり、これを空間デザインとして完成させた設計者の技量と、それを支えるフロント材の果たす役割とディテールを含むデザインは称賛に値する。