LIXILフロントコンテスト
2020 大規模施設部門受賞作品

金賞

幼保連携型認定こども園天童しぜん幼稚園 img

2020年大規模施設部門

金賞

幼保連携型認定こども園天童しぜん幼稚園

受賞企業

施主: 学校法人東谷学園様
設計事務所: 株式会社シェルター様
建設会社: 株式会社市村工務店様
販売店: 株式会社北日本ハウジング様
加工店: 株式会社北日本ハウジング様

講評

審査にあたりこの作品は木の印象がとても強烈であった。特にカーテンウォールを通して見える木材の圧倒的な訴求力が際立った。調べてみると天童市に立地するとのこと。天童といえば木工、将棋の駒など木材加工が盛んな地である。この作品は、木質系の温かみのある地域固有の文化に根ざした背景があることが理解できた。

現代建築としての性能やコスト面において全てを木材で作ることは様々な制約があるために、設計者は必然的に異なる素材をうまく組み合わせることでハイブリッドな建築・空間を作り出す。それだけではない。最近注目されているのが、国産材を建築に使うことは炭素の吸収量として計算されるようになり、製造時のCO2排出量も、他の素材に比べて軽減できる。こうした時代の流れであるSDGsやカーボンニュートラルに貢献する木材は、大規模建築にも使われ始め、最近では新国立競技場など優れた建築・空間が生まれるようになった。

本作品は木と金属のハイブリッド建築部材を使い分けながらそれぞれの利点を巧みに引き出し、さらにその接合部、木材の構造や仕上げとフロント材のジョイントの納まりは見事にデザイン処理されている。そして出来上がった空間は非常に明快かつ豪快であり、建築内外から木材の手触り感や暖かな質感を感じ取ることができる素晴らしいデザインである。

ここで人生の幼少期を過ごした子供達の生活にはいつも木材があり、天童の地域固有の文化が木の匂いとともに彼らの記憶に宿る。この地に生まれたことを誇れる子供達を育むこの施設は、誠に意義深い建築・空間となるであろう。こうした次世代に向けた持続性を強く意識したフロントデザインは贈賞に十分に値すると判断した。