松本千登世さんインタビュー前編 松本千登世さんインタビュー前編
近くにいるからこそ、俯瞰する目を持ちたいと思います
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さまざまな女性誌を中心に美容特集を企画したり、美しさにまつわるエッセイを連載したり。
美容のスペシャリストたる松本千登世さんは、
日々、どんなふうに美容に向き合い、生活の中でどう付き合っているのか、伺います。

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気持ちいいことはやってみる

松本千登世さんのスニーカー

毎日続けているきれいのための習慣を教えてください――そんなリクエストに応えて、松本千登世さんが取材当日に持参してくれたのは、数種類のクレンジング、ヘアケアのためのグッズ、それから愛用のスニーカーだった。
「運動と呼べるようなことは何もしていなくて。寝る前のスクワットとウォーキングくらい。ウォーキングも最近は歩くことを目的にするのではなく、ちょっと遠くのパン屋まで歩くといったふうに日常に組み込むようにしています。私、歩くの速いですよ」と、いたずらっぽく笑う。
自称、ずぼらで面倒くさがり。さらには、かつてジムの幽霊会員だったなど苦い過去を踏まえたどり着いたのは、「続かないことは始めない」そして「気持ちいいことはやってみる」という二つの境地。

美容で女性がどうしたら
幸せになれるか

鏡に写る松本千登世さん

巷に溢れる膨大なスキンケアやメイクアップの商品、刻々と進化を遂げ、更新されていく技術や機能。ともすれば情報の波におぼれて、一体何が正しくて、どう選んだらいいのか……途方に暮れることも少なくない。そんな美容迷子の行く道を照らしてくれる美容エディターであれば、さぞや体を張ってあれこれ試しながら、自らの美容道を極めているに違いない、と勝手な想像が膨らむ。ところが、

「もちろん人それぞれですし、ものすごくストイックに自分に課している人もいます。そんな中で、おそらく私はいちばん気にしていないタイプ。美容仲間からは『松本さんは、やってないと思うけど』と必ず言われるくらいですから(笑)」さらりと思い込みをくつがえし、こう理由を続ける。

インタビュー中の松本千登世さん

「自分がどうこうというより、美容で世の女性がどうしたら幸せになれるのか、困っている人がどうしたら悩みや問題を解決できるか、そちらにより興味があります。まずはざっくりと全体を見渡して流れやトレンドを把握するようにはします。ただ、自分自身はあまりのめり込みすぎないほうがいいのかな、と思っています」

美容の近くにいるからこそ、ときに「美しさとは何か?」がわからなくなるという。だから、距離を保ちつつ、俯瞰する目を持つことを大切にしたいと。

美容は心の生き死にに
関わるもの

化粧品

エディターとして美容に関わるようになって20年余り。第一線で活躍を続ける松本さんの経歴は、一風変わっている。
キャリアのスタートは航空会社の客室常務員だった。その後、広告代理店に転職して化粧品メーカーの担当に。縁あって雑誌の創刊に携わることになり出版社に入社。編集の道へと進んだ。以来、美容がメインのフィールドとなったが、実は美容を続けることに迷いを覚えた時期もあったという。
「『トランタン』(旧・婦人画報社)から『グラツィア』(講談社)に移ったとき、やっぱり美容を担当することになって。生意気にも、心のどこかで『また美容かー』という思いがあったんですね。その頃からインタビューが大好きで、会う人が想定していた人とまったく違っていた!という経験がおもしろくてしょうがなかった。それに引き替え、化粧品は生きていない、つまらないなって感じていたんです」

インタビュー中の松本千登世さん

そんなとき、ある化粧品メーカーの研究者の言葉に、はっと目を開かれる。
「その方、男性なんですが、『病気で表情を失った年配の女性が口紅をひと塗りするだけで、目に力がこもり、口角が上がるというケースがある。とかく美容は、医療と比べて格下に扱われがちだけれど、実は心の生き死にに関わるもの。そういう意味では、何ら卑下することはない』とおっしゃったんです。私、インタビューで初めて泣きました」
それは、松本さんが背を向けかけていた美容に、あらためて正面から向き合った瞬間でもあった。

撮影/名和真紀子 取材・文/河合映江 
取材日/2018年9月26日

松本千登世さんインタビュー後編

美容エディター

松本千登世さん
インタビュー後編

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松本千登世さんプロフィール
PROFILE

松本千登世(まつもと ちとせ)

美容エディター、ライター。航空会社の客室乗務員、広告代理店勤務を経て、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に転職。雑誌『ラ・ヴィ・ドゥ・トランタン』の創刊に携わる。その後、講談社『グラツィア』編集部専属エディター&ライターとして活動し、2007年フリーランスに。現在は多くの女性誌で美容企画、連載を担当する。女優、モデル、美容家などへの多彩な取材を通して得た知識、経験をもとに綴られる美容エッセイにも定評あり。

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