千葉紘子さん 「玄米おむすび ちゃみせ」店主 東川のおいしい水でおむすびをつくりたいと思いました

ちょっと体にいい、
やさしいおむすびを
目指しています

千葉紘子さん「玄米おむすび ちゃみせ」店主

千葉紘子さんインタビュー後編

北海道東川町で家族とともにおむすび屋を営む千葉紘子さん。
定番はもとより、バリエーション豊かなオリジナルのおむすびも人気の的です。
店名にも掲げる玄米おむすびに至った理由、
そのおいしさの秘密はどこにあるのでしょう。

玄米枝豆昆布、玄米糠にしん、玄米山わさび醤油、黒米くろ豆……。「玄米おむすび ちゃみせ」には、定番から季節限定まで常時15種類ほどのおむすびが並ぶ。あれもこれもと、つい手が伸びてしまう魅力的なラインナップ。さらに10時からは数量限定で、玄米半熟たまごがお目見えする。具は玄米こうじで漬けた町内産の卵がまるごと1個。ずしりとした手応えに負けないくらい食べ応えのある人気者だ。

玄米のおいしさを知ってもらいたい

玄米のおいしさを知ってもらいたい

「どなたにでも気軽に食べていただけるのがおむすびのいいところ。玄米を中心にしたのは、体にいいものを、と考えていたときに、農家の方から玄米の話を聞いて興味をもったのがきっかけでした」と、千葉さんは言う。
驚くのは、その食感。玄米というと、少し硬くてどうにも食べづらいという印象が否めないが、「ちゃみせ」の玄米おむすびは、食べづらさとは無縁。ひと粒ひと粒がふっくらと柔らかく、かみしめるほどにおいしさがじわりと伝わってくる。

「二升釜で炊くので、少量で炊くよりもおいしくなるのだと思います。うちでは白米も少し混ぜていますし、あとは塩も関係しているかもしれないですね。塩はいろいろ試して、宗谷の塩にたどり着きました。粒子がすごく細かいので使いづらいところもあるのですが、おいしいですし、ご飯もまろやかになるので気に入っています」

食べづらい、あまりおいしくない。玄米に抱きがちなマイナスイメージを、千葉さんがにぎるおむすびは軽やかにくつがえす。
「私たちが目指しているのは、ちょっと体にいい、やさしいものをつくりたい、ということ。何よりおいしくないと続けられないかな、と思います。玄米のおいしさをもっと知ってもらいたいですね」

地元にも観光客にも愛される店

地元にも観光客にも愛される店

東川で5年目を迎えた「ちゃみせ」は、雑誌での紹介やネットや口コミでの評判も手伝って、今や東川の人気店のひとつに数えられる。近隣で学校祭などのイベントがあれば数百個単位で予約が入り、週末ともなれば、札幌あたりから車でわざわざ目指してやってくるリピーター客あり、周辺の山々を行楽で訪れる人あり。店はいっそうの賑わいを見せる。
「ありがたいですね。遠くからいらっしゃってくださる方の中には『たまにしか来られないから、たくさん買って冷凍するよ』と言ってくださる方もいます。山に遊びに行かれる前に、おむすびを買って源水で水を汲んで腹ごしらえ、という方も多いですね。このあたりが1年でいちばん賑わう紅葉のシーズンは、山を目指すお客さまが朝早くからお見えになります」

おいしい水との出会いがあったからこそ今がある

おいしい水との出会いがあったからこそ今がある

おむすび屋の朝は早い。仕込みが始まるのは朝、というより夜明け前だ。特に週末や行楽シーズンなどの繁忙期は、深夜12時頃から始めなければ8時の開店に間に合わない。玄米は、炊く時間が白米の倍かかるというのも理由のひとつ。それでも東川の水、そして自然に助けられているという。
「伏流水の水温は6,7℃と1年を通して一定しているので、夏はひんやりと冷たいですし、冬は手が痛いほど冷たいとは感じないですね。真っ暗なうちからひたすら仕込みをしていると、旭岳の方からどんどん空が明るくなってきて、朝陽が昇ると、空がきれいな朝焼けに染まる。その空を見るときが、ああ、おむすび屋をやっていてよかったーと思う瞬間です。

おいしい水との出会いがあったからこそ今がある

「なぜ、おむすび屋?」と問われることはしょっちゅう。「おむすびだけじゃなくて、メニューを増やせば」とか「もっと都会で大きくやればいいのに」といった進言も珍しくない。それでも千葉さんは言う。「ここで、おむすび屋をやっていることに意味があると思っています」と。
東川の水に惚れ込み、東川の水ですべてをまかなえる店にしたい。おいしい水との出会いがあったからこそ膨らんだ夢は、現実のものとなった。「ちゃみせ」には、今日も東川の水が育んだ表情豊かなおむすびが並ぶ。

撮影/名和真紀子 取材・文/河合映江 
取材日/2018年7月12日

千葉紘子(ちば ひろこ)

千葉紘子(ちば ひろこ)

1981年北海道旭川生まれ。叔母と母が営むごはん屋「ちゃみせ」で仕事を始める。体にいい食を、という思いから「ちゃみせ」は玄米を中心としたおむすびを販売する店へ。東川の道の駅近くに店舗を借りて3年、2014年に家族で東川に引っ越すと同時に「玄米おむすび ちゃみせ」をオープン。食育アドバイザー、雑穀マイスターの資格を取得。最近は発酵について自分たちなりに学びつつ、商品に取り入れている。

玄米おむすび ちゃみせ

北海道上川郡東川町西2号北2番地
TEL 0166-82-3887
8:00〜15:00 ※なくなり次第閉店
月、火定休(火曜日は予約注文のみ)

全国のリクシルのショールームで、
実際にご覧いただけます。

リクシルのショールームは、買う予定がなくても、プランが未定でも、
お子さま連れでも見学可能です。
納得いくまで何度でも、自由に見学してください。

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