開閉のしやすさやスペースの有効活用などの実用面から、室内ドアを「引戸」にするという選択肢があります。
引戸は、開き戸(ドア)に比べてデザインが少ないと思われがちですが、最近ではガラス製の引戸など、デザイン性の高いものも増えています。
動線がスムーズで用途に合わせて選びやすい。そんな引戸を取り入れるメリットとともに、施工事例をご紹介。この機会に室内ドアの選択肢に「引戸」を選んでみてはいかがでしょうか?
- 目次
- 「引戸」は「開き戸」とどう違う? 引戸の特徴と種類
- 引戸は開閉がスムーズ! 面積をとらず、開けたままでも見た目が◎
- ガラス引戸からベーシックタイプまで。種類豊富な引戸デザイン
- 引戸は「間仕切り」や「目隠し」としても活用可能
- 見た目がおしゃれで実用的! 引戸のある空間事例
- 機能性とデザイン性を兼ね備えた「引戸」を暮らしの中に
「引戸」は「開き戸」とどう違う? 引戸の特徴と種類
引戸「ラシッサS」上吊方式片引戸2枚建(プレシャスホワイト/引手 アイアンブラック)
「引戸」とは、壁に沿って横方向に開閉するタイプの扉のこと。開き方によってさまざまな種類に分けられ「片引き」「引違い」「引分け」などがあります。
室内の入り口などでよく見られる「片引き」は、一枚の扉を左右どちらかにスライドさせて開閉するこちらのスタイル。
一方の「引違い」は、クローゼットなどの収納スペースに多く用いられることが多く、2枚以上の扉を設置し、左右どちらからでも開閉できるタイプです。
また、引戸を設置する際は、床面に敷いたレールの上をスライドさせる「レール方式」と、上部にレールを設置する「上吊方式」から選ぶことができます。ライフスタイルや使い勝手から、好みの種類を選んでみると良いでしょう。
引戸は開閉がスムーズ! 面積をとらず、開けたままでも見た目が◎
引戸「ラシッサS」(ホワイト)
引戸のメリットは、開閉しやすく、空間の邪魔にならないことです。
開き戸のような押したり引いたりする動作よりも、引戸のように横にスライドさせる動きの方が、負荷がかかりにくいと言われています。子どもから高齢者まで、幅広く使えるのでバリアフリーの観点でも適しています。
また、引戸は開き戸のようにドアを開ける分のスペースが必要ではないので、「ドアを開けると人が通りにくくなってしまう」という心配や、廊下にある他のドアに干渉してしまう懸念も少ないです。家に引戸を取り入れることで、日々のスムーズな動線が確保できるようになります。
ただし、引戸を設置する際は、扉を引き込むためのスペースが必要になります。例えば、リビングの入り口を、片引きの引戸にしたい場合、壁には「扉2枚分」のスペースが必要です。さらに、引き込みスペースにはインテリアなどが置けないため、設置するための場所が制限されるのが、引戸のデメリットでもあります。
引戸「ラシッサD キナリモダン」上吊方式 片引戸 LBAデザイン(ソフトグレー)
このインテリアが置けないデメリットに対しては、扉を壁の間に引き込む「引込み戸」タイプを採用するなどで解決する方法がありますが、この場合は扉を飲み込む分の壁厚が必要です。
引戸「ラシッサS」上吊方式 片引戸 LZCデザイン(プレシャスホワイト/アクリルパネル)
また、家事効率や換気、採光などのために、「開けっぱなしにしておきたい」という場所にも引戸はおすすめです。開けていても場所を取らず、開けたりしめたりとシーンに合わせて使うことができます。
ガラス引戸からベーシックタイプまで。種類豊富な引戸デザイン
「開き戸に比べると、引戸はデザインのバリエーションが少なそう」と思われる方もいるかもしれませんが、リクシルでは40種類以上のデザインがあり、好みのテイストに合わせて選ぶことができます。
中でもおすすめなのは、「ラフィス」「ラシッサ」シリーズのガラス引戸。
ガラス部分もクリアのほか、すりガラスのようなデザインからも選ぶことができ、引戸本体のカラーも変更可能です。
ラシッサシリーズのガラス例
上記のようにラシッサでは、ガラス自体のデザインも豊富でお好きな引戸デザインと組み合わせて選ぶことが可能です。ひとつひとつ表情が異なるので、部屋のインテリアや雰囲気に合わせてセレクトしてみましょう。
また、ハイドアで大きな一枚ガラスが印象的なラフィスのガラスドア「アルミガラス建具」をセレクトすれば、光を通しつつ空間を仕切れるので、窓がない場所の間仕切りにもおすすめ。空間のつながりを感じつつ、ゆるく仕切ることができるので「開放感を損ないたくない」という人にもぴったりです。
引戸「ラシッサD キナリモダン D」上吊方式 片引戸2枚建 LZEデザイン(コウノキ/アクリルパネル)
ガラス引戸「ラフィス」アルミガラス建具 RZAデザイン(ブラック/ガラス クリアグレー)
引戸は「間仕切り」や「目隠し」としても活用可能
間仕切り戸「ラフィス」アルミガラス建具 片引戸2枚建 RZAデザイン(ブラック/ガラス クリアグレー)、リビングドア「ラフィス」アルミガラス建具 標準ドア RZAデザイン(ブラック/ガラス クリア)
引戸は部屋の入り口だけでなく、「空間の間仕切り」や「収納場所の目隠し」にも活用することができます。
在宅ワークをする人や子どもがいる家庭では、リビングを引戸で仕切ることで空間の間仕切りに。新たに個室を設けるよりも手軽ですし、壁で仕切ってしまうよりも空間のつながりを感じやすいのが魅力です。
引戸「ラシッサS」上吊方式 引違い戸3枚建 LAGデザイン(プレシャスホワイト)
また、キッチンの収納やパントリーなどのストックルームは、ものが多く散らかった印象になりがちですが、このような場所にも、引戸を設けることで目隠しができ、急な来客時にも慌てずにすみます。
リクシルの引戸は4枚まで組み合わせることができるので、空間の広さや壁の幅に合わせることができます。空間の悩みや要望に寄り添ってくれる頼もしい存在です。
見た目がおしゃれで実用的! 引戸のある空間事例
ここからは、引戸を取り入れている空間事例をご紹介。いずれも「採光」や「冷暖房の効率化」「目隠し」など実用面を意識して引戸を活用しています。
【空間事例①】ガラス引戸で廊下に採光
廊下にドアが複数ある様子。ガラス引戸「ラフィス」アルミガラス建具 片引戸 RZAデザイン(ブラック/ガラス クリア)
リビングの入り口にガラスの引戸を設置した部屋です。こちらの事例は、廊下に外光が届きにくい間取りだったため、ガラスドアを採用してリビングから廊下へ光を通すことが可能に。廊下の正面にもドアがありますが、リビングの入り口は引戸になっているため、干渉し合わず、動線もスムーズです。
【空間事例②】階段に引戸をつけて冷暖房の効率化
引戸「ラシッサS」天井埋込方式 片引戸 LZCデザイン(プレシャスホワイト/アクリルパネル)
リビングとリビング階段の間に引戸をつけた事例です。仕切りがないとエアコンの空気が2階に逃げて冷暖房の効率が下がってしまいますが、階段の手前に引戸を設けることで省エネ化。冷暖房を使用しない時期は、開けっぱなしにしておけば圧迫感も感じないので、季節に合わせて使い方を変えられるのが嬉しいですね。こちらは上吊方式で、かつ上レールを天井に埋め込む仕様の引戸。全開時は床から天井まですっきりとした開口になり、より開放的な印象になります。
【空間事例③】リビングに間仕切りして、プライベート感を高める引戸「ラシッサS」上吊方式 片引戸3枚建 LAYデザイン(プレシャスホワイト)/引手 ブラスゴールド
リビングと寝室や子ども部屋などの個室がひと続きになっている間取りも多く見られます。この場合も、間仕切りとして引戸を設けておけば、来客時に閉めるだけで片付いた印象をキープできますし、個室のプライベート感も高まります。
【空間事例④】キッチンとリビングを区切って、においを遮る
ガラス引戸「ラフィス」アルミガラス建具 片引戸3枚建+FIXガラスパネル RZAデザイン(ブラック/ガラス クリアグレー)
キッチン、ダイニングの料理のにおいを、リビングに出さないようにするために引戸を活用した事例です。ガラス引戸をセレクトしたことで、圧迫感なく空間の広がりを感じさせてくれます。
機能性とデザイン性を兼ね備えた「引戸」を暮らしの中に
引戸「ラシッサS」Vレール方式 引違い戸4枚建 LTAデザイン(クリエダーク)/引手 アイアンブラック
開け閉めしやすく、空間を邪魔しない引戸。空間の間仕切りや目隠しなど、アイデア次第で広く活用でき、暮らしの中の「こうだったらいいな」を叶えてくれる頼もしい存在です。今回ご紹介した事例以外にも、意外な活用方法が隠されているかも?
室内ドアを選ぶ際は、引戸にも目を向けてみてはいかがでしょうか。理想の住まいにぴったりのドア選びを楽しんでくださいね。
取材執筆:佐藤有香