新築やリノベーションを検討する際、インテリアと同じくらい悩むのが「収納」ではないでしょうか。
今回は参考にしたい3つの収納事例をご紹介します。これらの事例は、コンペ応募作品の中から収納のプロである住まい方アドバイザー近藤典子さんに受賞作品として選ばれたもの。受賞したプロユーザー様のポイント解説に加え、近藤さんの選出コメント付きでまとめていますので、ぜひお家づくりの参考にしてくださいね。
プロユーザー向け施工例コンテスト「コンペ デ ラシッサ 2025」の詳細は関連記事をご覧ください。
- 目次
- (玄関・リビング)心落ち着く居心地つくる 私のネイビーブルー空間【最優秀賞】
- (玄関)Kurihara Bldg.【優秀賞】
- (リビング・階段)大切な想いをつなぐ 二世帯リノベーション 収納編【近藤典子賞】
心落ち着く居心地つくる 私のネイビーブルー空間【最優秀賞】
受賞会社:LOHAS studio 様
■ご担当者:LOHAS studio デザインチーム 様
■ホームページURL:https://www.okuta.com/
「自然と片付く住まい」を目指した事例です。築18年、55㎡のマンションをリノベーション。適所に収納を設けることで「使う⇔しまう」をラクに行うことができる空間に生まれ変わっています。

LOHAS studio デザインチームの皆さん:「お仕事をリタイヤされる前に『掃除がしやすく、片付けやすい家にしたい』とリノベーションを決意されたお施主様。もともと玄関横にあった収納は、奥行きがあるものの上手く使えていませんでした。使えていなかった収納を玄関から使えるようにすることで、しまうモノが明確になり、土間スペースにゆとりも生まれました。」
近藤さん:「使いづらい空間を見抜いて土間収納に切り替えたことで見栄えも動線も空間も、格段に良くなっています。」
壁面にはトールタイプの玄関収納をセレクト。「玄関収納」ネイビーブルー
玄関横の収納以外にも、使いづらい空間となっていたのが洋室2。こちらもお施主様のニーズに合わせて間取りと用途を変更。
LOHAS studio デザインチームの皆さん:「湿気がこもりがちで納戸となっていた洋室2はウォークスルークローゼットにし、人と空気が行き来するよう計画しました。結露が気になる北側壁面と天井には調湿性・消臭効果のある珪藻土を施工しています。」


近藤さん:「ウォークスルークローゼットは、トイレを囲むように『納戸』『クローゼット』『デスク』の3つのスペースに分けられています。こうすることで『モノの行き場』が決めやすい。それぞれの場所にモノを持っていけば片付く、非常に効率のよい収納になっています。また、トイレをぐるっと囲む『ラウンド動線』もポイント。ラウンド動線は人が動きやすいだけでなく、掃除もしやすいです。『引戸』を採用していることも良い。開けっ放しにすることができ、ますます動線が良くなります。」
キッチン「シエラS」バーンドウッド
リノベーションで2部屋あった洋室を無くし、広いLDK+ウォークスルークローゼットという間取りに。広いLDKの空間の作り方にも参考にしたいポイントが。
近藤さん:「ポイントは『目線』です。リビングと寝室が背中合わせ、デスクも寝室やリビングと背中合わせ。目線の行き場は、住んでる人が日々感じるすごく大事なポイントです。」
LOHAS studio デザインチームの皆さん:「それぞれの空間で過ごす際、他のエリアが視界に入りづらいよう、ゆるやかに空間を分けました。仕事の時、リビングで過ごすリラックスシーン、目線を分けることで集中しやすくなっています。」
リビングドア「ラシッサD ヴィンティア」ネイビーブルー
LOHAS studio デザインチームの皆さん:「お施主様は在宅勤務もされているのですが、居心地が良すぎて在宅時間が増えましたと仰ってました。『収納が苦手』と仰っていたところから作り方を考えたのですが、お洋服の収納、それ以外の収納、土間の収納、あとはキッチンや洗面などそれぞれの場所での収納を設けることで、『使う』ことと『しまう』ことが自然とできる空間になったかなと思います。」
Kurihara Bldg.【優秀賞】
受賞会社:有限会社山下馨建築アトリエ 様/ヨシイケデザイン一級建築士事務所 様
■ご担当者:
有限会社山下馨建築アトリエ・・・ 山下馨様、山下唯様
ヨシイケデザイン一級建築士事務所・・・吉池葉子様
■ホームページURL:
http://www.y-bs.com/archi/
https://yoshiikedesign.myportfolio.com/
1~2階が店舗、3~5階が1軒のお家という物件の、玄関空間事例。限られたスペースに、収納量、光、手洗い、フォーカルポイント、動線の要素をぎゅっと詰め込み、そのうえですっきりおしゃれな見た目に。玄関はエレベーターを開けてすぐという間取りです。

山下唯さん:「外の光が入る明るい玄関に、靴やアウター、小物をたくさん収納できる玄関収納を設置したいこと、また、住宅全体の内装計画として、空間の中にネイビー色をアクセントで取り入れたいというご要望がありました。」
「玄関収納」ネイビーブルー
山下唯さん:「玄関収納は、背の高いものを収納できるトールキャビネットと、小物を飾ったりバッグ等を一時的に置けるカウンターとしても使えるベースキャビネット、ウォールキャビネットを組み合わせて配置しています。」
近藤さん:「コンパクトなスペースに収納量を確保すると圧迫感のある空間になりがちですが、それを感じさせない提案が2つされているなと感じました。」

近藤さん:「一つ目は、このコンパクトな空間に手洗いボウルを設けているところです。便利なだけでなく、なんとなくくつろぎ感や落ち着き感を感じるすばらしい提案だと思います。」
山下唯さん:「ネイビーの玄関収納に合わせて手洗いボウルもネイビー色を選ぶことで色の統一感を図り、木/白/グレーと色のバランスを取りながら、すっきりとした配色計画としました。」
右手の引戸「ラフィス」プレシャスホワイト
近藤さん:「もう一つはこの床のアール(R)です。アールはよくやる手法なのですが、右側の壁際の部分に、床が残してあることに関心しました。」
山下唯さん:「玄関框はアール形状とすることで、デザイン上のアクセントにもなりつつ、トイレへの動線、手洗いも使いやすさも配慮し、より動きやすいスペースとなることを目指しています。」
近藤さん:「残してある床の部分は、この少しの幅でも、例えば小さな観葉植物を置いたり、季節のお花を置いたり、絵やパネルを立てかけたりできます。狭い場所だからこそどうやって魅せるか、フォーカルポイントを作るかが大事なんです。」
収納扉「ラフィス」プレシャスホワイト
山下唯さん:「リビングダイニングからも玄関が見えるプランとなっているため、玄関側が整理しやすく爽やかに見えること、アクセントのネイビーが程よく感じられることを意識し、また、窓や換気扇の設置により玄関の空気の流れも配慮した計画としました。リビングに面した収納の建具はラフィスのライン枠を天井高で使用し、リクシルの建具と収納でトータルコーディネートしています。」
大切な想いをつなぐ 二世帯リノベーション 収納編【近藤典子賞】
受賞会社:坂東工業 つくば店 様
■ご担当者:斎藤 慎一郎 様
■ホームページURL:https://www.lixil-reformshop.jp/shop/SP00001111/
「見せる」「隠す」の2つの収納、そして「見せ方」と人の「動き」がバランスよく整った事例。二世帯の戸建住宅のリノベーションということで、思い出がたくさん詰まった大切なお家・ご家族に合わせて考えられた収納計画です。
斎藤さん:「ご主人世帯が新たなご家族を迎え、生活スタイルの違いを考慮し、お互いを尊重しあう暮らしをされたいとご要望をうけました。また、明るい内装をご希望されていました。」
(左)ビフォー(右)アフター。アフターの床材「ラシッサ Dフロア」チェスナットF、「玄関収納」ホワイトオーク
インテリアは、ミディアムカラーの木目基調から、ホワイトや優しいパステルカラーの木目柄で統一した明るく柔らかなコーディネートに生まれ変わっています。
斎藤さん:「玄関のシューズボックスも明るい色味を選定したため、訪れる人を明るく出迎えます。」
床「ラシッサ Dフロア」チェスナットF、ドア「ラシッサD パレット」ホワイトオーク、キッチン「ノクト」オリーブグレー
近藤さん:「LDKは『見せる』と『隠す』2つのスタイルの収納がバランスよく取り入れられています。オープン棚のような見せる収納は生活がむき出しになることもありますが、やっぱり暮らしには程よく生活感もあった方がいい。そういう意味で、非常に良い場所に作られていると思います。」
斎藤さん:「ニッチやオープン棚はカウンセリングにより提案しました。家族の思い出や趣味の小物を飾ったりと生活を豊かにします。パントリーやクローゼット等の収納は用途に合わせた空間デザインをしています。」
近藤さん:「パントリーは位置もいいですね。このような対面キッチンで調理をするときは基本が横移動ですよね。下ごしらえをして洗い物をして調理してと、横一列の動線です。その延長線上にパントリーがあるのがとても使いやすい。またこの配置は、ダイニングリビングからアクセスする際にキッチンで作業する人の動線とぶつからないこともメリットです。」

さらに近藤さんは階段脇のニッチにも注目。
近藤さん:「階段に作ったニッチが良いですね。この大きさもポイント。『階段にあるニッチ』には、役目があると思っています。階段はパブリックなスペースからプライベートなスペースに移動する場所なので、例えば家族の写真だったり手形だったりを展示することで家族で話をするきっかけになったり、話をしなくても家族それぞれの思い出が頭に浮かびます。」
収納扉「ラシッサD パレット」グレーアッシュ
近藤さん:「思い出は、しまい込んだままではなくときどき引っ張り出して思い出すから、思い出になるんです。ときどきでいい、年に一度でも出して飾ることで、家族の絆が強くなる。そんな役目があるのかなと思った作品でした。」