はじめまして。
北海道札幌近郊の家具屋「Objet(オブジェ)」で代表を務めている、北悠太です。
初回となる今回のコラムでは、自己紹介がてら、私の好きな家具のテイストや日々手がけている家具のデザインやモノづくりへの思いをお話させていただければと思います。
国籍を問わず、心惹く“古い”家具たち
Objet 「01.Shelf」
インテリアに携わる仕事柄、これまでたくさんの家具に触れてきました。
その中でも、私が特に心惹かれるモノの共通点は“古い”こと。
デンマーク、フランス、アメリカなどのヴィンテージやアンティーク家具から、日本の古家具まで。国籍はさまざまですが、50年、60年、それ以上前に作られた「古いモノ」に魅力を感じます。
経年変化による雰囲気なのか、デザインのディテールなのか
潔さなのか、構造なのか。
上手く表現はできないけれど、自分が思う「なんか良い」。
そうゆう感覚に近いかもしれません。
古いモノをベースにした「Objet(オブジェ)」の家具づくり
「Objet」ではヴィンテージ品やアンティーク家具など、「古いモノ」から着想を得て、新たな形を生み出しています。
古い家具と向き合ってディテールや作りを探っていると、理に叶っているデザインがたくさんあるんです。
表面上の見た目だけではなく、意図され、なるべくしてその形になったモノ。
作り手でないと気に留めることはないかもしれないけど、ヴィンテージやアンティークの家具にはそういった気づきがあります。
そして、実は家具を製作する上で構造に用いる技法は、今も昔もさほど変わりがありません。
そう考えると古いモノにベースに置いて、新たなデザインを考える事は当然なのかもしれませんね。
無垢材と突板を使った、適材適所のモノづくり
「Objet」で使用する樹種は、主にオーク材です。
粘り強い木目が魅力で、古くから親しまれている木材の一つですね。
基本的には無垢材と突板という2つの素材で構成しています。
無垢材とは原木の丸太から製材、加工された「木」そのものです。
重厚感があり頑丈、経年による色合いの変化が感じられる素材で、どこを切っても削っても自然な木目が現れます。そのため、切削や装飾加工により様々な形や表情を作り出す事が可能です。
Objet「01.Book Shelf」
突板とは原木を薄くスライスしてシート状にして、合板等に貼り付けた材料です。
無垢材で製作された家具よりもコストを抑えられ、統一された綺麗な木目で家具を製作する事ができます。
自然な木目が魅力的な無垢材ですが、気温や湿度の影響で稀に割れや反りが発生するという短所があります。
一方、突板はそのような割れや反りはほぼなく、一定の品質を保つ事が可能なので、無垢材では再現出来ない薄い板厚で家具を構成する事が可能です。
Objet「 04.Wall Shelf」
突板と無垢材、それぞれに魅力と特性があり、この2つの素材を適材適所で使うからこそ表現できる形があります。
量産品のように生産効率ばかりを考えるのではなく、普遍的でありながら、ひと手間、ふた手間の手仕事を感じられるモノづくりを心がけています。
それと、普段の生活の中で「こんなモノがあったら面白いかも」という視点。
少し「遊び」を感じられるようなモノづくりも大切にしています。
今回は「Objet」での家具のデザインやモノづくりについて、お話しました。
作り手の考えやデザインの意図、素材に焦点を当てると、日常の家具やモノ選びがもっと面白くなるかもしれません。
日々の暮らしに豊かさと楽しみをプラスする。
そんなお手伝いができればと願っております。