「収納スペース」は、家づくりで注目してほしいポイントのひとつ。収納が十分でないと、物が出しっぱなしになり、部屋全体が散らかった印象になってしまいますよね。すっきりと清潔感のある雰囲気をキープしたいなら、できるだけ収納力のある部屋づくりを意識するのがおすすめです。
また、収納スペースを出入りするための「動線設計」も家事効率や片付きやすさにつながる大切な要素。キッチンからパントリー、ランドリールームからファミリークローゼット、ソファからリビング収納など、「日常の中の動き」を意識した動線を確保すると、家族みんながスムーズに動くことができ、ストレスなく生活できるはず。
今回は、「3つの回遊動線のある家」の事例に沿って、収納スペースの作り方や、動線設計のポイントをご紹介します。
ランドリールーム・ファミリークローゼット・LDKを回遊。家事と身支度の動線をコンパクトに

今回の空間では、キッチンのそばにランドリールーム兼洗面所・脱衣所・ファミリークローゼットをレイアウトしています。
引戸:写真右「ラシッサS」コージーライトグレー、引戸:写真左「ラシッサS」コージーライトグレー
写真右側のドアが、ランドリールーム兼洗面所、左側のドアがファミリークローゼットの入り口です。家事で多くの時間を過ごすキッチンから、ランドリールーム、洗面所、ファミリークローゼットの空間を回遊できるようにしたことで、家事の中で一番動線が長い、衣服の「洗う」「干す」「収納する」の洗濯動線をスムーズに。さらに、他の家事の動線とも繋がりやすい仕組みを目指しました。
①ランドリールーム兼洗面所
床「ラシッサ Sフロア 耐水UDわん」クリエチェリーF、洗面化粧台「カスタムバニティ」プレーントープ/モルティグレージュ/クリエチェリー、メイクコーナー「耐水メラミンカウンター」クリエチェリー
ランドリールームの中に入ると、正面に洗面スペースがあります。洗面台に設置している洗面ボウルは、バケツが置けるくらい十分な深さと広さがあり、「子どもの靴やユニフォームを予洗いする場所がほしい」という悩みにも応えてくれるはず。
横にはメイクコーナーを設置。お子さんが成長してくると、朝の身支度で洗面スペースの取り合いになることもあると思います。洗面台とは別に「メイクのための場所」を確保することでストレスなく朝の仕度を進められるのではないでしょうか。また、美容家電の置き場所としても最適です。カウンターは水や汚れに強いメラミン仕様に。
引き出し「ヴィータス」クリエチェリー、引戸「ラシッサS」コージーライトグレー、壁タイル「エコカラットプラス」ファインベース ホワイト、室内物干し「室内物干し 天井付けタイプ」※パイプは市販品
メイクコーナーの後ろには、洗濯物を畳んだりアイロン台としても活用できる幅の広い引き出しを設置しました。天井には、ハンガーをかけるためのパイプを2本取り付けているので、洗濯機から取り出して、すぐに室内干しをすることも可能です。また、ランドリールームは湿気がこもりやすいため、壁面の一部にエコカラットを取り付けました。
②脱衣所・浴室
棚「ぴったり棚」プレシャスホワイト
ルーバードアの向こう側は、浴室につながる脱衣所です。湿気がこもりやすい場所なので、ルーバータイプの引戸を採用。ルーバーの開閉角度が調整できるので、目隠しと換気を使い分けることができます。
また、脱衣所と洗面スペースを分けられると、プライベートが保たれるのでおすすめ。タオルやパジャマなどを収納できるよう、幅の広い棚を取り付け、お風呂上がりの着替えが脱衣所内で完結するように設計しました。
③ファミリークローゼット
正面のドア「ラシッサS」中折れドア プレシャスホワイト、洗濯機上部の棚「すっきり棚」クリエチェリー
ランドリールームから脱衣所に通じるドアの反対側にある、白い中折れドアがファミリークローゼットへの入り口です。通常幅のドアや引戸のどちらもが設置しにくい間取りのため、今回は中折れドアをセレクト。折れ戸式で省スペースで開閉ができるため、このようなスペースに制限がある場合には、中折れドアが活躍してくれます。
クローゼット「ヴィータス パネル」、床「ラシッサS」クリエアイボリーF
ファミリークローゼットは、1カ所に家族全員の衣類を収納できる場所。各部屋にクローゼットを設けた場合、洗濯した衣類を各部屋に運ぶ手間が発生してしまいます。ランドリールームの隣にファミリークローゼットを配置しておけば、すべての洗濯物を1カ所にしまうことができ、家事効率アップに繋がります。
また、最近では共働き世帯を中心に「畳む」よりも「かける」収納を好む方が多いので、クローゼット内にヴィータス パネルを活用して、ハンガーパイプを多く取り付けました。
壁面収納「アクセントボード」プレシャスホワイト
壁面にはマグネット対応のアクセントボードを設置しているので、マグネットでフックを取り付けて、アクセサリーやバッグを掛けるなど、自由に使い方を考えてみても良いでしょう。

ファミリークローゼットからも、キッチン側に出られる引戸があります。着替えをしたい場合は、この引戸から直接クローゼットに入り、洗濯物の片付けをしたい場合は、ランドリースペースから入るなど、目的に合わせて最短距離で動けるのが回遊動線の大きなメリットと言えるでしょう。
こちらの引戸は、4枚のパネルに8種類のガラス・木パネルから好みに合わせて選ぶことができます。今回は目線を遮りたい高さの2枚のみ木パネルをセレクト、上下は明り取りと抜け感を確保するためエッチングガラスにしています。
整頓されたLDKを保つためには、収納力のあるパントリーとリビング収納がおすすめ
回遊できるパントリーで、人も風も通りやすく。

食品ストックなど、キッチンダイニング周りで使うものを収納するための「パントリー」は、キッチンの裏側にレイアウト。ぐるりと回遊できるようになっています。
収納スペースに行き止まりを作ってしまうと、奥に物を詰め込んでしまい、気づけば「奥のものが取り出しにくい」という状況になってしまいがち。回遊できるようにすれば、部屋の奥に物を詰め込む心配もなく、風通しもキープできるので、食品などをより衛生的に保つことができます。
折れ戸「ラシッサS」プレシャスホワイト、棚「ヴィータス パネル」
パントリーの入口はドアを設けず開口のみに。その分LDKからパントリー内部が見えるため、扉付の収納と冷蔵庫にしてすっきりと見えるように工夫。
写真左側「ヴィータス パネル」、右側「すっきり棚」プレシャスホワイト

収納部分には、取り出しやすさとしまいやすさを考えて、L字型の棚板や奥行きの浅い棚板を取り付けました。また、買い物袋を置いて仕分けできるように、デスクほどの奥行きのある作業台を設置したことも、家事効率を意識したポイントです。
収納棚として取り入れたヴィータス パネルは、サイドのレールに棚やフックなどのパーツを好きなように設置できるアイテム。レールの高さは家の中にある様々な物が使いやすく納まるように考えられています。頭を悩ませずとも綺麗に片付くため、日々家事で使う場所におすすめです。
マグネットボード「アクセントボード」プレシャスホワイト、棚「すっきり棚」プレシャスホワイト
パントリーにはマグネットボードもおすすめ。エプロンやミトン、エコバッグ、またレシピやチラシなど、壁を利用してたっぷり収納できます。
リビング収納に一工夫でワークスペースにも。
ドア:写真左「ラシッサS」リビング側:プレシャスホワイト/収納側:ボトルグリーン、引戸:写真右「ラシッサS」リビング側:プレシャスホワイト/収納側:セージグリーン、テレビ台「一枚棚」クリエオーク
リビング収納はテレビ台の裏側に。リビングには、書類や救急箱、子どもの学校関係のアイテムや作品など、置き場所が定まらないものも多いのではないでしょうか。大きめの収納スペースをリビングに作っておくことで、散らからずにすっきりと整頓された状態を保つことができます。
収納「ヴィータス パネル」、スツール「カロット オーク」(NOWHERE LIKE HOME)
こちらのリビング収納も、パントリーと同様に左右両側に入り口があり、どちらからでも出入りすることが可能です。
ドアの裏側はカラーを変えて遊び心を。デスクでオンライン会議をする場合には、緑のドアが背景になる設計です。
また今回は、リビング収納の出入り口に、「ドア」と「引戸」の両方を設置しました。ドアは壁面を有効活用しやすい一方で、開けたままの状態だと、扉が邪魔に感じることもあります。一方の引戸は開けた状態でもすっきりとした印象を保つことができますが、「扉を引き込むためのスペース」が必要に。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、「どんなふうに空間を活用したいか」を考えながら、扉の種類を選ぶと良いでしょう。

リビング収納の一部に、デスクスペースを作っておくのもおすすめです。ちょっとしたデスクワークや書類整理、リモートワークでオンライン会議をするときに、リビングと分断された場所があれば集中しやすく、作業もはかどるのではないでしょうか。
動線と収納を意識して、暮らしを心地良く整えよう
複数の空間を効率的に行き来できる動線や、片付けやすく取り出しやすい収納があると、生活がより快適に感じられるはずです。新しく家を建てるとき、マンションをリノベーションするときには、現在の動線や収納の課題に目を向けて、「どうすればストレスを感じにくくなるか」を設計に取り入れてみてはいかがでしょうか。
取材執筆:佐藤有香
撮影:神出 暁