大学生と考える、
プラスチック資源循環の
未来
vol.1 津市リサイクルセンター編
東京都市大学からの参加者(左より)
同大学院総合理工学研究科1年 加藤凜香さん、同大学理工学部機械システム工学科4年 金川秀造さん、
同大学理工学部機械システム工学科4年 神田沙緒里さん
プラスチックごみによる環境汚染が年々深刻化するなか、世界のプラスチック廃棄量は増え続け、過去20年で2倍*1になっていることをご存知でしょうか?日本人の一人当たりの容器包装プラスチックの廃棄量は世界2位*2ですが、回収されたプラスチックの7割は、汚れや素材別に分けることが難しいなどの理由で焼却されています。
LIXILでは、そうした再資源化が困難だった廃プラスチックを原料にした循環型素材「レビア」を開発し、三重県津市の久居工場で生産しています。また、津市とプラスチック資源循環についての協定を締結し、地域から排出されたプラスチックをレビアの原料にする活動も進めています。
未来の暮らしや社会、環境に大きなインパクトをもたらす新素材「レビア」は、環境問題やサステナビリティへの意識が高いと言われるZ世代の目にどう映るのでしょうか? LIXILは東京都市大学の学生と廃プラスチックリサイクルの現状とレビアの環境価値を学び、自由な発想でレビアの可能性を考えるワークショップを行いました。その模様を3回に分けてお届けします。
次世代人材を育むPBL(Problem/Project Based Learning 問題解決型学習)に力を入れる東京都市大学では、アイディアソンやハッカソン授業などを通して社会課題解決に挑む「ひらめきプログラム」を2021年度より実施。今回参加した3人も同プログラムに所属しています。
自然に還らないプラスチック
日本で排出されるプラスチックごみは全体で年間約769万トン*3。私たちの日常はプラスチック製品にあふれていて、プラスチックに触れない日はないほどです。
プラスチックは自然環境下で非常に分解されにくい特徴があり、環境汚染などさまざまな問題の原因となります。そのため、責任を持って回収し、適正に処理する必要があります。
普段私たちが目にするプラスチックごみは、ごみの収集場所に集められるところまでです。その後どのように処理されているのか、一般の人がその工程を見る機会はほとんどありません。レビアの原料となる「リサイクルが難しいプラスチックごみ」とはどんなものかを知るため、LIXILとプラスチック資源循環についてパートナーシップを結んでいる津市のリサイクルセンターに向かいました。
収集後の容器包装プラの深刻な問題
津市リサイクルセンター
津市リサイクルセンターは市内で排出される一般廃棄物のうち、分別して収集されるペットボトル、容器包装プラスチック、その他プラスチック、びん、金属、燃やせないごみ、危険ごみを適正に処理するリサイクル施設です。今回はレビアに関連の深い容器包装プラスチックの処理工程を見学しました。
津市の人口27万人分の容器包装プラスチックごみは、ピットと呼ばれる貯留槽に一旦ためられます。のぞくと足がすくむような巨大空間です。
容器包装プラスチックのごみピット。深さ12m、貯留量は133トン。見慣れたお菓子や食品のパッケージも所々に見られる
クレーンで持ち上げられた容器包装プラスチックごみは、重量別に選別された後、手選別レーンに送り出されます。ここでリサイクルできるもの、できないものを人の目で選別していきます。
手前から軽量物、重量物、軽量物の手選別レーン。集中して手早く選別する作業員
加藤さん瞬時の判断が必要で大変そうですね。この選別作業は、機械で行うことはできないのですか?
津市リサイクルセンター 小宮伸介さん光学選別機や磁選機など分別機械もありますが、それだけではごみとごみの間の異物などは取り除けないので、最終的には人の手に頼らざるを得ないです。
「汚れがひどく取り除けないものは可燃ごみになりますと呼びかけていますが、なかなか難しいですね」と小宮さん
手で選別し終えた容器包装プラスチックごみは、効率良く搬送するため圧縮梱包され、再資源先に届けられます。
圧縮梱包(ベール化)された廃プラスチックの山。ベール1つの大きさは1㎥、重さは約250〜300kgにもなる
小宮さん手選別の工程で再利用できないと判断したものは焼却処分せざるを得ず、課題となっていました。LIXILさんとのパートナーシップにより、今後はレビアの原料として活用いただけることになります。市民の皆さんに分別に協力をしていただき、資源循環を呼びかけていた担当者として、とてもうれしく思います。
加藤さんこれまであまり深く考えずにごみを捨てていましたが、ちょっとした心がけで資源になるか、ならないかの違いが出ることに驚きました。
津市の先駆的なプラ資源循環計画
処理工程の見学後、津市とLIXILがプラスチック資源循環についての協定を締結することになった経緯について伺いました。
津市環境部 西川直希さん津市では、市の皆さんに分別に協力いただくことで資源循環を進め、廃棄物の量を減らす努力をしてきました。今回処理工程を見学していただいた容器包装プラスチックについては回収した約3,600tのうち、1,300tが焼却処分せざるを得ない状態になっており、これを何とかリサイクルできないものかと考えていました。
そんな折、LIXILさんが再資源化できないプラスチックを活用できる「レビア」を開発したことを知りました。レビアを生産する久居工場の所在地は目と鼻の先です。課題であった汚れのある容器包装プラスチックを再資源化できる上、市内でレビアを使えば地域内で資源循環も実現できます。そこで、2025年3月28日、プラスチック資源循環の推進に関するパートナーシップ協定を締結しました。
レビアの原料には再資源化が難しいとされる、塩素を含んだソーセージやハムなどのラップ、お菓子の袋などアルミが入った複合プラスチックも活用できると聞いています。近い将来、津市の家庭で出た容器包装プラスチックが入ったレビアが市内の公共施設などに使用され、地域で循環されることを期待しています。
見えてきたプラごみと自分との関わり
廃プラスチックの処理現場を見学し、汚れのある容器包装プラスチックの再資源化が課題になっていることがわかりました。食べ残しの混入などに頭を悩ませてきた市町村にとってレビアは、有望な課題解決策です。
加藤さん手作業で分別している現場を見ると、分別を意識していかなければならないなと思いました。圧縮梱包したベールを見たのも初めてで、ごみの出し方について改めて考えさせられました。
神田さん小学生の社会科見学でごみ処理場に行って以来で勉強になりました。津市はもともと容器包装プラスチックと製品プラスチック*4を分別収集して、焼却ごみを減らしていたと聞きましたが、分別に力を入れてきたことが、今回の協定締結にもつながったことが理解できました。
金川さん自分の中でプラスチックと認識しているものが容器包装プラスチックなのか製品プラスチックなのか区別がついてなかったので、その区別は大事だと今日改めて思いました。
自分はごみをほぼ燃やすごみとして捨てていたのですが、燃やしてしまうとせっかくの資源がなくなってしまうのでリサイクルは大事だと思いました。
ごみを捨てた先には、必ず分別や処理をしてくれる人がいます。気候変動や廃プラスチックによる環境汚染が大きな課題となっている今、持続可能なリサイクルを広げるためには、プラスチック製品を使う側も、捨てた先のことまで想像して分別する意識が必要だと気づかされる体験でした。
vol.2では、レビアを製造するLIXIL久居工場で、廃プラスチックがどのように製品化されていくのかを紹介します。
- OECD (2022) Global Plastics Outlook
- UNEP (2018) SINGLE-USE PLASTIC
- 一般社団法人 プラスチック循環利用協会「プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況」(2020年)
- 例えば、歯ブラシやビニールシート、ポリバケツなど、プラマーク(リサイクルマーク)がついていないプラスチック製品。津市は先駆的に分別回収に取り組み、再資源化を実施。