持続可能な社会とタイル
近年、さまざまな場面で「持続可能性」が意識されるようになりました。今回は、「持続可能な社会」とタイルとの関わりについて、2つの視点から考えてみようと思います。
天然石の美しさを、誰もがいつまでも楽しめるように。
まずひとつ目は、タイルで「希少石」を再現することで、豪華でデザイン性の高い美しい空間を、多くの方に提供し続けられるという特長を取り上げます。
天然の石の美しさは、数億年に及ぶ地球のダイナミズムの美しさです。近年、人間がそれを掘り出して、楽しめるようになったこと自体は喜ばしいことですが、特に希少石と呼ばれるような石に関しては、乱掘しないで維持することを考える必要があります。それは同時に、天然の希少石が、非常に高価で特別な人だけのものになりがちだということです。この「数億年に及ぶ地球のダイナミズム」の美しさを、誰もが楽しめるようにするために、タイルの果たす役割はとても大きいと思います。
写真01
写真02
デジタルプリントの技術が進化して、複雑な自然の表情も、タイルで緻密に再現することが可能になりました。DTLで紹介している「プレジャート」は、希少なオニキス、大理石柄のタイルです(写真01)(写真02)。採ること自体が難しく、採れたとしても非常に高額になってしまう希少なオニキスや大理石を、タイルで表現。環境維持に貢献できるばかりでなく、理想的な美しい柄にコントロールできるなど、タイルならではのメリットもあります。
写真03
写真04
スペインで採石されるネロ マルキーナも、種類が少なく希少な黒大理石です。「マルモア」は、このネロ マルキーナを表現したタイル(写真03)。他にも「マルモア」には黒地に白のまだら模様が特長のブラックアンティークを表現したタイルがあります(写真04)。
デジタルプリントの技術によって、高級感のある深みのある黒を誰もが楽しめるようになっています。
地球や自然の豊かさを感じる表現がトレンドに。
これは余談ですが、タイルの意匠のトレンドとして、自然物をありのままに再現し、より自然の表情を取り入れようという動きがあります。たとえば、複雑に折り重なった地層のような表現や、自然の鉱物に近い印象の表現が出始めています。
タイルは劣化しにくく、空間を長く持続させる。
ふたつ目の視点は、「タイル自体の高い耐久性」です。ご紹介したように、タイルは希少石や自然物をリアルに表現しながら、耐久性やメンテナンスのしやすさといった性能に関しては「セラミック品質」です。タイルは天然石に比べ劣化しにくく、防汚性に優れています。酸や水に弱いということもありません。その建物・その空間を、長く持続させていくという視点からも、タイルは非常に価値のある素材だと思います。
いにしえより、人々は高い耐久性を求めて、石材の代わりにタイルを使用してきました。そしていま、デジタルプリントの技術などによってタイルの意匠が進化し、より幅広い表現が可能になりました。さまざまな素材の代わりとして使用でき、しかも高い耐久性を持つタイルは、地球環境に負荷をかけないひとつのソリューションになる可能性を秘めているのではないでしょうか。
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