TORAFU's TILE LAB 連載記事

タイル自体の特性を引き出すことで空間の魅力は高まる

素材からアプローチしてデザインすることも多いトラフは、素材に触れながら魅力を発見し、引き出すことを大切にしている。後半では、トラフの鈴野浩一氏がタイルの奥深い世界に触れることになったきっかけと、タイルにどのような魅力とポテンシャルを感じているのかについて、詳しく伺った。

鈴野氏がタイルに本格的に興味を持ったのは、INAXライブミュージアムで2013年に開催された展覧会「建築の皮膚と体温 – イタリアモダンデザインの父、ジオ・ポンティの世界」の会場構成を手がけたことから。鈴野氏は、次のように振り返る。

「タイルでもこんなものをつくることができるのか! と驚きの連続でした。シンプルな形状をしたタイルでも、組み合わせ方で重なったり、段差が付いたりと、表情が変わって見えます。また、この企画ではジオ・ポンティがデザインしたタイルを、メーカーのINAXとともに忠実に再現する試みをしました。制作過程で何度か見せてもらい、オリジナルの現物と照らし合わせて検証することもしたのですが、タイルを相談しながらつくることができることを知り、新鮮でした。それまでは、タイルは既成品をカタログから選ぶという認識しかなかったからです」。

それ以来、国内外の各地を訪れるときには、タイルの使用事例に目が留まるようになったという。注目するポイントは、色使いであったり、パターンであったり、形状であったり、質感であったり、使われる部位やシチュエーションであったり。何か心に残るシーンには、タイルが関係していることが多いのだとか。

「特徴的なタイルの使い方を見かけて面白いと感じるのは、タイル自体の魅力や特性が、それぞれに活かされているからだと思います。自分たちは、CGでテクスチュアをマッピングして貼り付けるように素材を選ぶようなことはしたくありません。素材が持つ力を引き出しながら、タイルも使いたいと考えています」。

焼き物であるタイルの魅力は、まず物質感にあると鈴野氏は挙げる。

「色ムラがあっても、自分たちには手作りの面白さと感じますし、厚さが見えなくなると、存在感が薄まります。例えば、バラツキのある色合いや厚みを強調することはできないかと考えることもあります。均質で均一な製品が求められる時代もあったと思いますが、今は多少の揺り戻しを受けているのではないでしょうか。こうした質感は、タイルメーカーのカタログを見ていてもなかなかわからないですし、多くの製品がカタログにあるなかで埋もれてしまうので、気に入る製品を選び出すのは難しいとたびたび感じますね」。

製品の質感に触れ、特性を詳しく知り、さらには新たなアプローチをする発想を得るため、鈴野氏が時折しているのは、製品の工場見学だ。タイルの製造工程をたどる様子を、次回はお届けする。