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競技者からのメッセージ

Message
女子日本代表 中村 知春 選手

ラグビーを始めたきっかけは?

最初は完全に好奇心からですね。大学卒業まで12年間バスケットボールをプレーして、ひと区切りついた感じがあったので、何か新しいスポーツをしたいなと思って探したところ、ラグビーが面白そうだなって。
女子ラグビーでフェニックスというチームがあるのをインターネットで調べて、『頼もう』って思って門を叩きました。

それまでも少しはラグビーという競技に興味はあったのでしょうか。

いえ、小学校からずっとバスケットボール1本できたので、それこそラグビーとアメリカンフットボールの違いさえわからなかったです。ただ、次やるなら、女子がプレーすること自体が面白いと思われるようなスポーツをしてみたかったというのはありました。自己紹介する時に、みんなの興味を引くような(笑)

中村選手の特徴はワークレートの高さ、フィットネス部分と見受けますが自分ではどうですか?

そこがなくなったら辞めなきゃいけないとさえ思っているくらいなので。
ただ、実際に参加した合宿での練習内容はとにかくキツかった。走ってばかりでしたし。
会社行って、合宿行って、合宿終わったら会社に戻って仕事するというパターンの繰り返しだったんですけど、とにかく練習がキツくて。新入社員ではあったものの、それなりに仕事上の夜の付き合いとかもあって、それなのに翌朝早くから練習だったり……。何度も『辞めてやる』と思ったりもしました。

それでも続けた理由は?

一緒に苦しい練習をした仲間の存在です。いまでも、当時の仲間とは特別な絆みたいなのは感じますし、彼女たちがいなかったら、とっくに辞めていたと思います。
みんなで夜中に泣いたり、朝が来るのが怖くて『起きたくないから寝ない』みたいな状態になったり。
みんなでボロボロになって、苦しさを共有しながら、何とか持ちこたえられました。

ラグビー自体の魅力も続けた理由だったのでしょうか。

ラグビーは痛みを伴うので、プレーしていて凄く絆を感じるスポーツだと思うんです。その絆の部分が『辞めたい』という思いから引き戻してくれるというか。自分の体がどうなっても、味方を行かせてあげたいとか。この人のために絶対止めてあげたいとか。そういうのがないと痛くてやってられない。自分が他競技出身だからこそ、ラグビーのそういう絆の部分というのは強く感じます。

周りのチーム員からはどうみられてるの?

みんなからは『適当だよね』と言われてます。笑
何となく、上に立つ人間として真面目すぎると、人のことが許せなくなっちゃうような気がして、そういうのは嫌だなという思いはあります。自分のルールみたいなのを押し付けることはしないでおこうと。その結果が『適当』という評価なんです。
何でも、『いいよ〜、いいよ〜』という感じで。締まらないといけない時に締まればいいのかなと思っています。

プレー以外でサクラセブンズとして感じ見てほしいところ(こだわっているところ)はなんですか?

こだわっているのは、『日本人らしさ』という部分。『なでしこ』のみなさんもそうだったりすると思うんですけど、『日本人女性ならではの強さ』を持っているチームというところは大事にしていきたい。
協調性だったり、ルールを守るといった部分は常に意識しながらチームづくりをしていきたい。
それはラグビー以外の部分でもです。ラグビー以外の部分がきちんとできない選手は代表選手になる資格はないと思いますし、そういう部分をきちんとしていかないと、ラグビーで上にいくこともできないというのは常々考えていることではあります。
『サクラセブンズ7か条』というのもあるんです。
自律、想いやり、感謝、敬意、誇り、礼儀、和の7つ。
みんなでミーティングを重ねる中で、こういうところを大事にしていかないといけないよねとか、こういう部分が足りないよねとか、自然と出てきたことを7つにまとめました。
ロッカーなど使ったところをきれいにするとか、荷物をきちっと並べるとか。ピッチ上でもお互いで意見を出し合う時にも、そこにリスペクトを持とうとか。そういう部分がプレーにも表れてきてくれたらいいなと思っています。

今年のサクラセブンズ、ここを注目してほしい点は

このチームのスタート時点で掲げられた目標が『国際大会で金メダル』というものだったので、当然その思いはあります。目標を達成するために、当然通過しなければいけないもの。徐々に近づいてきているので、みんなの中でも自然と意識は高くなっているのは感じます。今年に入って、フィールドでしっかり意見を出し合うようなところは見えてきました。

中村 知春 選手

アジア予選のライバルに関してはどうみていますか。

中国にしろ、香港にしろ、最終的にはそこに勝つことを目標にしているわけではないんですが、この前の試合でも、国を挙げて強化しているので、すごく強くなっているのは感じます。年々、厳しい戦いになってきています。
ただ、その一方で、自分たちが成長しているのも感じています。わたしたちは決して上手ではなくて、どちらかというと泥臭いスタイルのラグビー。攻守ともにしっかり粘って、ボールをつないで、フィジカルで劣る部分はひとりで止められないなら、ふたりで行って止めるという。何度でもタックルして、また立ち上がって、また止めて。
そういう泥臭い戦い方しかできないので、その中でプレーの精度を上げて行くことが大事になると思っています。
なので、そういう勝利にむかった泥臭さも観て楽しんで頂きたいです。

ところで、試合前のゲン担ぎみたいなものはありますか。

ロッカールームに入ってから音楽をかけることです。アップをしてから一度ロッカーに戻ってから試合になるんですけど、その試合に出て行くまでの3分くらいの間に大音量で音楽をかける。チーム的にみんなの気持ちが上がる曲を考えて……一時期は清水翔太さんだったんですけど、少女時代の時もあって、今はEgirlsです。
やっぱり、負けた時にかけた曲はかけられなくなるので、常に選曲カードを考えておかないといけないのが悩みだったりします(笑)。」

好きな言葉は?

どこかで聞いた言葉で『死ぬこと以外はかすり傷』みたいなのがあって、確かにそうだなと思ったことはあります。

とてもラグビーっぽい言葉ですね。

そんな感じで生きていきたいですね。