2018.9.28

階段の寸法には決まりがあった!基準と上りやすさの比較

住まいづくり

注文住宅は、自由に設計できるのが魅力です。しかし、家を建てる際には、いろいろな制約があることも少なくありません。たとえば、階段です。階段寸法には建築基準法による決まりがあるので、自由に設計することができません。実際には、法が定める基準よりも余裕のある寸法が昇降しやすくなっています。ここでは、法律上の基準はどうなっているのか、実際に階段を造る際にはどのような寸法にするのがよいのかについて紹介します。

階段の寸法

目次

  1. 階段寸法には建築基準法の最低基準がある!
  2. 建築基準法で決められている階段寸法は?
  3. 上りやすい階段寸法とは?
  4. リフォームで快適な階段寸法にするポイント!注意点は?
  5. 上りやすい階段寸法で快適な生活を!

階段寸法には建築基準法の最低基準がある!

階段のサイズは自由に決められると思っている人は少なくないかもしれません。実は、階段の寸法は建物の用途や面積によって決められています。階段の寸法に関しては建築基準法施行令の規定があるので、法が定める基準を守らなくてはなりません。万一規定に沿っていない階段を造ってしまうと、既存不適合建築物になる場合もあるので注意が必要です。

法律では、階段および踊り場の幅、蹴上、踏面、踊り場位置の4つについて基準を設定しています。住宅の設計者は、この建築基準法施行令で定められている寸法を基準として階段を設計し、家の中のどこに造るかを決めています。

階段寸法には建築基準法の最低基準がある

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建築基準法で決められている階段寸法は?

ここでは、階段の寸法を決める際に基準となる法の定めについて紹介します。法に適合した階段にするためにも、建築基準法施行令により決められている建物ごとの階段寸法は、どのような決まりになっているのか知っておきましょう。

建築基準法で決められている階段寸法

階段寸法の専門用語を解説

建築基準法施行令では、階段寸法について階段および踊り場の幅、蹴上、踏面、踊り場位置の4つを規定しています。それぞれ建築の専門用語なので知らないという人も多いもしれません。蹴上(けあげ)は、階段の高さのことをいいます。階段の踏面(ふみづら)から踏面までを測った高さが蹴上です。同じ階高(階から階までの高さ)なら、蹴上が低くなると段数が増え、蹴上が高くなると段数が減ることになります。踏面は、階段の踏面の長さ(奥行き)をいいます。踏面が狭いと足を置く場所が狭くなるので、安定感がなくなります。踊り場は、階段の途中に設ける平らな場所のことです。長い階段が方向転換するときや、使う人が途中で休むために造られます。

一般住宅の階段寸法基準

共同住宅の共用階段を除く、一般住宅の階段寸法の基準はどうなっているのでしょうか。建築基準法によると、一般住宅の場合の階段寸法は蹴上23cm以下、踏面15cm以上、階段と踊り場の幅75cm以上と決められています。ただし、実際にはこの寸法で階段を造ると、上り下りしにくい階段になることが多いようです。たとえば、蹴上がこの高さだと急だと感じる場合が多くなります。踏面も、大人の足のサイズを考えると15cmでは狭い場合が多いかもしれません。足を踏面にしっかりのせて安全に昇降するためには、もっと奥行きのある長い踏面にしたほうがよい場合も出てきます。

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上りやすい階段寸法とは?

階段の名称や法の定める基準についてわかったところで、ここでは、実際に階段をどう造ればよいのかについて紹介します。実際に上りやすいとされる階段の寸法や、具体的な寸法の計算方法について知っておきましょう。

上りやすい階段寸法

建築基準法の最低寸法だと上りにくい

階段寸法については建築基準法の基準がありますが、法が定めているのはあくまで最低寸法です。安全性などの観点から見て、最低でもこれだけは欲しいという寸法を定めたにすぎず、その寸法で造った階段が実際に使いやすいかどうかはまた別問題です。

どのような階段がよいのか、上りやすさは個人の感覚によるところも大きく、個人差があります。もっとも、建築法基準の最低寸法だと、毎日上り下りする階段としては急すぎると感じる人が多いようです。たとえば、多くの人が利用しやすく造られている公共施設などでは階段が緩やかに造られており、蹴上15cm、踏面30cmとなっているケースが多くなっています。ちなみに、踏面については一般的に20~30cmくらいあったほうが安全だともいわれています。これらを見ると、建築基準法の基準に沿うだけでは、現実的には昇降しにくい階段になってしまうことがわかります。

上りやすい階段寸法の計算方法がある

昇降しやすい階段は、蹴上と踏面のバランスによって決まるといわれています。上りやすい階段寸法の計算方法について、例をあげて紹介しましょう。一般的には、上り下りしやすい階段寸法を算出するには、蹴上の2倍に踏面を足して60cmになる寸法といわれています。蹴上×2+踏面=60cmという計算式です。60cmくらいが標準的な日本人の歩幅に合っているので、階段を上り下りしやすいというわけです。

これを、先ほどの公共施設などの緩い階段にあてはめると、15cm×2+30cm=60cmとなります。踏面も30cmと十分な広さを確保しており、安全に歩けるように配慮されていることがわかるでしょう。住宅の階段も60cmが上り下りしやすい階段の目安になります。たとえば、蹴上19cm、踏面22cmにすると、19cm×2+22cm=60cmです。60cmよりも小さいと小刻みに上り下りすることになるので、窮屈な階段に感じられることがあります。逆に60cmを大きく超えてしまうと、大股歩きで上り下りすることになるので疲れてしまいます。

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リフォームで快適な階段寸法にするポイント!注意点は?

ここでは、リフォームや新築で階段を設置する場合に気をつけたい点について紹介します。快適で使いやすい階段にするためのポイントや、上りやすい階段を造るために注意しておきたい点などについて具体的に見ていきましょう。

リフォームで快適な階段寸法にするポイント

上りやすい階段にするポイント

上りやすい階段にするポイントは、踏面、蹴上などの面積のバランス、階段の段数などとのバランスを取ることです。踏面が広すぎると歩幅を取るので上がるのに苦労しがちですし、蹴上が高すぎれば足を大きく動かさなければならないので、転倒の危険性も出てきます。階段の上りやすさには個人差もあるので、住む人の昇降のしやすさに配慮した階段を造ることが重要です。実際にその家に住む人が歩いてみてストレスを感じないサイズを調べてみるとよいでしょう。

ただし、家は長く住む場所なので、家族の年齢が高くなったときのことや子どもやお年寄りなどが家族として増えたときのこともしっかり考えておかなくてはなりません。そのときの考えだけであまり個性的な階段にしてしまうと、あとで不便や危険を感じることになってしまうこともあるので注意しましょう。

緩やかな階段の注意点

緩やかな階段を造るときには、いくつか注意点があります。緩やかな階段は、1段あたりの踏面を広くして傾斜を緩やかにします。そのため、上り下りしやすいというメリットがありますが、蹴上が小さくなってしまうので、同じ階高では段数が増えることになります。また、階段のために室内のスペースを大きく取られることにもなるでしょう。階段の面積が広くなるぶん、コストがかかってしまう点にも注意が必要です。階段にあまり場所やコストをとられてしまうと、肝心な部屋を思い通りに造れなくなってしまうかもしれません。

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上りやすい階段寸法で快適な生活を!

階段寸法は自由に決められるわけではなく、法律によって造り方の決まりがあります。ただし、法の定めはあくまで最低限の基準であって、実際の生活の中では上り下りしやすい実用的なサイズを考えていくことが必要です。快適な階段寸法を出す一般的な計算式はありますが、昇降のしやすさには個人差も大きいものです。住む人が毎日快適に昇降できる階段を造るためには、一般的な計算式を参考にしつつ、その人にとって最も上り下りしやすい階段寸法を割り出し、設計することをおすすめします。

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