2018.9.28

外断熱と内断熱の違いは?メリット・デメリットを徹底解説

住まいづくり
外断熱と内断熱の違い

断熱方法には、外断熱と内断熱があります。断熱性能が優れていると、冷房や暖房の効きがよく、光熱費も抑えられます。しっかり断熱をしていれば、室温が外の気温に左右されにくくなるので、夏は涼しく冬は暖かく、快適に過ごすことが期待できます。そのためには、建物にあった断熱方法を選ぶことが大切です。ここでは、外断熱と内断熱の特徴とその違いについて説明します。また、それぞれのメリットやデメリットも合わせて紹介します。

目次

  1. 外断熱の基本的な特徴とは?
  2. 外断熱と内断熱の違いとは?
  3. 外断熱にかかるコストはいくら?
  4. 木造の場合と鉄筋コンクリート造の場合の外断熱の特徴
  5. 外断熱か内断熱かを比較検討しよう!

外断熱の基本的な特徴とは?

外断熱の基本的な特徴

断熱をする方法には、外断熱と内断熱があるということを聞いたことがある方もいるでしょう。断熱を行うには、特徴を知ったうえで適した方法を選択する必要があります。外断熱について、どのような特徴があるのかを具体的に見ていきましょう。

外断熱の定義

断熱とは、断熱材を建物の内部に入れることで、外気の熱の出入りを遮断するものです。この断熱材をどこに設置するかによって、外断熱になるのか、または内断熱になるのかが決まります。外断熱は、柱の外側で熱を断ちます。柱と壁のあいだに断熱材を設置して断熱します。外断熱は、ぐるっとひと続きで建物を包み込む、非常に気密性が高い工法だと言えます。そのため、屋内の温度を外へ逃がしません。冷暖房の使用を抑えることを目的に採用される工法です。

外断熱の役割

外断熱は、建物全体を断熱材で包み込みます。よって、熱も逃さず、防湿性もあります。外断熱にすると、屋外の気温と室内の気温差が少なくなるので、結露が起きにくくなります。建物内部に結露が生じると、建材を腐らせたり、カビなどが繁殖したりするおそれがあります。カビはアレルギーの原因にもなるといわれているため、内部結露は部屋の中からはみえませんが、できるだけ発生させないよう、防湿することが大切です。

外断熱の工法

外断熱の工法には2種類あります。1つが湿式工法です。これは、コンクリートに断熱材を密着、または接着させる工法です。コンクリートに密着させるので軽量かつ透湿性のある素材が用いられます。建物が軽量化されるメリットがあり、壁面内での夏型結露が起きにくいという特徴があります。もう1つの工法が、乾式工法です。支持金具を設置し、外装材を施工する工法です。支持金具とは、外装材を支えるための金具のことをいいます。乾式工法は、外壁材と断熱材との間に水蒸気を排出するための通り道を設けているのが特徴で、湿気による建材への影響がありません。

外断熱に使われる断熱材の種類

外断熱に使われる断熱材は2種類に分けられます。繊維系断熱材と発泡プラスチック系断熱材です。繊維系断熱材では、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバーが使用されます。グラスウールは、細い繊維状に加工した断熱材です。繊維糸が細ければ細いほど優れた断熱性能があります。ロックウールは、鉄炉スラグや玄武岩を加工して細い繊維状にした断熱材です。セルロースファイバーは、パルプ・新聞古紙を綿状に粉砕して木質の線維を活用して作られた断熱材です。

発泡プラスチック系断熱材では、ポリスチレンフォームやウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームがあります。ポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂・難燃剤・発泡剤を混ぜ合わせて作られた断熱材です。ウレタンフォームは、ポリイソシアネート・ポリオールを主原料とした断熱材になります。ポリエチレンフォームは耐吸湿性・耐吸水性に優れた断熱材です。フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えた断熱材です。

外断熱と内断熱の違いとは?

外断熱と内断熱の違いとは?

外断熱と内断熱は、同じ断熱をするという役割があっても、大きな違いがあります。単純に価格のみで判断すると、後悔してしまうかもしれません。ここでは、外断熱と内断熱にどのような違いがあるのかについて紹介します。

外断熱のメリット

外断熱は、建物全体を断熱材で包み込んでいるので気密性が高いことが特徴です。そのため、結露の発生を抑制することができます。建物の内側と外側の温度差が小さくなり、冬でも結露が発生しにくくなります。さらに、家が長持ちするというメリットもあります。結露が発生しにくいことにより、カビや錆びによる住宅の劣化を抑えられるためです。また、建物全体を断熱材で覆っているので、柱などの構造体を保護できるともいえます。

外断熱のデメリット

高気密で省エネというメリットも多い外断熱ですが、デメリットもあります。その1つが、外壁が厚くなることです。外断熱をするには、建物を建てる敷地や間取りに多少なりとも余裕がなければなりません。狭小地やデザインが複雑な間取りには向かないでしょう。もう1つのデメリットとして、耐震性に不安があることが挙げられます。外断熱は、断熱材の上から外壁材を留めるため、地震に対する多少の不安があります。また、高気密・高断熱であるがゆえに、換気も欠かせません。外断熱をする場合には、同時に換気計画を立てる必要があります。

内断熱のメリット

内断熱は、昔から使われている方法で、さまざまなメリットがあります。まず、外壁に影響がないことです。外断熱と違って、柱のあいだに断熱材を設置するので外壁が厚くなることはありません。都会などの狭小地でもデザイン性を損なうことなく、断熱をすることができます。また、外断熱よりも費用が安いというメリットもあります。建物全体を覆う外断熱と異なり、部分の断熱となるので、その分だけコストも抑えられます。内断熱は日本では一般的な施工方法ため、技術面での安心感もあると言えます。

内断熱のデメリット

内断熱のデメリットは、外断熱に比べて気密性が低いことが挙げられます。外断熱のように建物全体を包み込んではいないため、隙間ができてしまいます。また、気密性の低さから、結露が起きやすいという面もあります。結露の発生は、建物が劣化につながります。結露の発生には、住宅の構造が鉄筋コンクリート造か木造かによって差が出ることがあります。一般的には、木造に比べ鉄筋コンクリート造の方が、外側と内側で温度差が出やすく、結露が発生しやすくなると言われています。

外断熱にかかるコストはいくら?

外断熱にかかるコスト

外断熱に比べて内断熱のほうが安くなることが一般的です。しかし、エアコン代や住宅が劣化するスピードを加味したランニングコストを含めると、結果的に外断熱のほうが安くなる場合もあります。外断熱は初期費用こそ高くなりますが、数十年単位でみるとコストがかからない工法だと言えるでしょう。

木造の場合と鉄筋コンクリート造の場合の外断熱の特徴

木造の場合と鉄筋コンクリート造の場合の外断熱の特徴

住宅の構造が、木造と鉄筋コンクリート造では、断熱方法にも違いがあります。一般的に外断熱は鉄筋コンクリート造の場合に用いられる工法です。鉄筋コンクリート造では構造躯体そのものが蓄熱層となるので、構造の外側に断熱するのが効果的です。対して、木造や鉄骨造で外断熱とする場合には、外張り断熱となります。外張り断熱とは、柱の外側から全体を包んで断熱する工法です。つまり、蓄熱効果のない建物に利用される工法だと言えます。また、温度を上昇させるのに必要な熱量である熱容量が大きいのは鉄筋コンクリート造です。

外断熱か内断熱かを比較検討しよう!

外断熱か内断熱かを比較検討

住宅を建てるからには、快適に過ごせて耐久性のある工法を採用したい方がほとんどでしょう。外断熱には気密性があり、結露しにくいというメリットがある反面、コストが高く換気が欠かせないなどのデメリットもあります。住宅に外断熱を取り入れるかどうかは、メリット・デメリットの両方をよく見て、よく検討するようにしましょう。

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