木造住宅には欠かせない?火打梁の役割について知っておこう

2018.10.22 住まいづくり

木造住宅の天井部分などを見ていると、四隅のところに斜め方向にかかっている梁が設けられているのを目にすることがあります。この斜め方向にかかっている梁が「火打梁(ひうちはり)」です。建物を補強する役割と同時に、デザインとしておしゃれな見せ方で作られていることも多い火打梁は、地震などの災害の多い日本の木造建築には欠かせない構造部材のひとつです。そこで今回は、火打梁に関する基本知識について紹介していきます。

目次

  1. そもそも火打梁とは
  2. 木造建築には絶対必要?火打梁を使うメリット・デメリット
  3. 設計上火打梁が必要になるケースについて
  4. 火打梁の素材や寸法は?
  5. 火打梁の配置について
  6. 火打梁を設計に取り入れるときの注意点
  7. 火打梁を入れるなら信頼できる業者に

1.そもそも火打梁とは

「火打梁(ひうちはり)」とは、木造建築の床組みや小屋組みが、台風や地震などの災害によって水平方向に変形することを防止するために設けられる、斜めに組まれた横木、梁のことです。縦方向、横方向の梁のあいだを、ちょうど直角三角形になるように組まれている斜め方向の梁といえばイメージが湧くかもしれません。木造住宅の耐震性を上げるとともに、床部分の補強をするという役割を持っています。1階の床の下部に設けられる火打土台、2階などの床や小屋組に設けるものを火打梁といい、日本の木造建築には欠かせない部材のひとつです。火打土台は床の下にあるので普段は目にすることはありませんが、火打梁は天井部分に露出しているものもあります。目に見える火打梁はデザイン性という点でも注目を浴びていて、さまざまなバリエーションの火打梁が登場しています。

2.木造建築には絶対必要?火打梁を使うメリット・デメリット

それでは木造建築において火打梁を使う工法を採用することによる主なメリットとデメリットを紹介していきます。建物の耐久性とデザイン性の両面でメリットのある構造ですが、同時に使い勝手の難しい側面もあるという点が特徴です。

2-1.火打梁を使うメリット

火打梁は風水害や地震などの多い日本の風土にあって、日本家屋の建築構造を補強するために培われてきた伝統的な部材です。現代でも、さらに進化したかたちで受け継がれ、建物の水平方向への変形を防ぎ、強度を上げるために多くの木造建築で採用されています。 木造建築の耐久性を保つために欠かせない火打梁ですが、古民家のリノベーションなどが注目されていることもあって、近年では、あえてデザインのひとつとして露出させる「梁見せ天井」として使われるケースも増えてきました。梁の組み方や材質の選択によっておしゃれな空間を演出することができるので、装飾装置としての機能にも着目されつつあるのです。

2-2.火打梁を使うデメリット

火打梁を採用することによるデメリットは、やはり建築に必要な部材が増えてしまい、施工期間や材料でコストが増えるという点が挙げられるでしょう。部分的な素材の数が増えるため、施工の難度や手間は火打梁なしの工法(たとえば剛床工法)と比べても、かなりかかってしまいます。さらに、火打ち梁を使った床では、床板を乗せるところに「根太(ねだ)」という横木を使いますが、根太の上に床板を貼るため、どうしても床の位置が高くなってしまうという難点を抱えています。
また、内装のデザインを考えたときに梁見せの火打梁が邪魔になってしまうこともあります。火打梁は建物の構造材のひとつなので、見た目に邪魔だから取り除くというわけにはいかないのが難点と言えるでしょう。

3.設計上火打梁が必要になるケースについて

火打梁は木造建築の構造材として非常に重要な部分となっているので、建築基準法によってしっかりとした仕様規定が定められています。規定によれば「床組及び小屋ばり組の隅角には火打材を使用し、小屋組には振れ止めを設けなければならない」(建築基準法施行令第46条第3項)となっているため、床や小屋組の部分で梁や桁が直交した隅角には必ず火打梁を設けなければなりません。ただし、火打梁工法に代わって採用されることの多い「根太なし工法(剛床工法ともいう、厚さ24mm以上の構造用合板を使った根太や火打梁を使わない工法)」による建築の場合では、火打梁を設ける必要はないということになっています。

4.火打梁の素材や寸法は?

火打梁は、本来は建物の構造材のひとつに過ぎないので、天井や床下の見えない部分に存在することが普通です。したがって、火打梁といわれても、あまり想像がつきにくい方も多いでしょう。そこで、実際にどんな素材やサイズがあるのかについて、その基本的な情報を解説していきます。

4-1.火打梁の素材について

火打梁には基本的に木材が使用されます。代表的な素材は「杉」「カラ松」「エゾ松」などの針葉樹の木材です。構造材としての役割が重要になるので、やはり強度の高い素材が好まれます。梁見せ天井などでデザイン性も考慮して設置する火打梁では、白っぽい見た目が美しい「エゾ松」「トド松」などが採用されることもあります。
また、鋼製の既製品の金物である「火打金物」を使って火打ち梁を作るケースも増えてきており、強度と軽量化の両面で火打梁にもさらなる進化が見受けられるようになってきています。

4-2.火打梁の寸法について

火打梁に使用する木材には、断面の寸法が90mm×90mm以上のものが採用されています。梁見せとして露出させる場合の火打ち梁には、105mm角程度で少し太めのサイズを採用することが多いです。取り付ける位置は隅角部分から750mm前後の位置が基本とされていて、鋼製の火打ち金物の場合には700mmほどの位置にボルトを打ち込みます。
火打梁に囲まれた床部分の面積は、フラット35「品格性能表示評価基準」によれば16平方メートル以下が推奨されていますが、これより大きな床面積の場合にはさらに小梁を設けて火打梁の数を増やすといった工事を行い、建物の耐久性、剛性を確保できるように設計することが多いです。

5.火打梁の配置について

火打梁に囲まれた面積が16平方メートル以下推奨となっていることには、法令で定められている強度基準と関係があります。基準では、火打梁1本当たりの負担面積(平均負担面積)が決められていて、その平均負担面積が5平方メートル以内に収まるように、火打で支える面積(火打構面)の大きさや火打梁の数を調整する必要があります。
たとえば、6畳1間の床面で火打梁を使用する場合、平均負担面積は火打構面(このケースでは6畳の面積約10平方メートル)を火打梁の本数で割った数値になります。火打梁4本なら平均負担面積は約2.5平方メートルです。
したがって、推奨される基準を満たす火打構面面積であると判断されます。こうした専門的な部分は専門家に任せるとして、火打梁を組む床板には一定の面積上限が定められているということを理解しておけばいいでしょう。

6.火打梁を設計に取り入れるときの注意点

火打梁を設計に取り入れるときに注意すべきは、吹き抜けや勾配天井のように、デザインを重視した建築設計の建物を作る場合です。大きな吹き抜けと階段が隣り合っている場合などでは、十分な床の強度が確保できないことがあるので、火打梁を適正に配置する必要があります。吹き抜けは1階部分と2階部分の関連性を考慮して構造設計をしなければなりませんし、勾配天井の場合には屋根面に対して火打梁や構造用合板などを配置して強度を保つように工夫しなければならないでしょう。建築基準法の基準は最低限の基準であるため、こういった建築デザインを採用する際には、専門家による構造検討を行うことをおすすめします。

7.火打梁を入れるなら信頼できる業者に

建物の耐久性と深く関わりのある火打梁は、木造建築のデザイン性を高める構造体としても注目を浴びています。しかし、その材質などによって建物の強度が大幅に変わるため、構造設計上の問題をしっかりクリアしていることが大前提となります。特に、建物のデザイン性にこだわりたい場合は専門家や信頼できる業者とよく相談したうえで依頼しましょう。

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