坪庭とは日常に潤いをくれるもの!良い点と気になる点を知ろう

2018.10.22 住まいづくり

せっかく家を建てるのなら庭のある家を作って生活してみたいと考える方は多いでしょう。しかし、日本の住宅はどうしても敷地面積が小さく、建物内部は手狭になりがちなので、なかなか庭を作るスペースを確保しにくいという事情があります。そこで、そんな日本の住宅事情に合うかたちで、癒しや日本的な風情たっぷりの空間を演出できると注目されているのが「坪庭」です。今回は、そんな坪庭のメリット・デメリットや、設置にかかる費用やその注意点などについて説明していきます。

目次

  1. 坪庭とは?起源と合わせて理解しよう
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  3. 坪庭のメリット・デメリット
  4. どんな場所に坪庭が作られることが多いのか?
  5. 坪庭を設けることでかかる費用
  6. 坪庭とは癒しや楽しさをもたらしてくれる小さな贅沢空間

1.坪庭とは?起源と合わせて理解しよう

坪庭とは、周りを塀や垣根で囲われた小規模な和風の庭のことです。寺社や仏閣、貴族や武家の屋敷にある日本庭園で培われた美意識を、一般庶民の民家に取り入れる形で発展してきました。その発祥は、間口が狭く、奥行きの長い構造だった京都の町家であるとされています。奥行きのある町家では採光や通風のための空間を確保する必要があったため、建物の機能面においても坪庭は重要な役割を果たしていたのです。
通常の坪庭とは、町家の中庭や玄関脇などのスペースに配置され、垣根や塀で囲われたなかに草木や竹、灯篭や飛び石、鹿威しなどの装置やオブジェを、趣向を凝らして配置します。和風にこだわらず、洋風の坪庭や照明を使ったモダンなデザインなど、バリエーション豊かな坪庭もあります。理想的な坪庭とは、そこに住む方の好みやニーズを満たした「癒しの空間」であるということが言えるでしょう。

2.坪庭のメリット・デメリット

では、坪庭を取り入れることで、具体的にどのようなメリットとデメリットがあるのかを説明していきましょう。その機能性やデザイン性の特徴を押さえておくことで、坪庭をどのように取り入れるべきなのかをしっかりと検討することができるようになります。

2-1.坪庭があることのメリット

まずは坪庭を取り入れることのメリットについてです。デザイン性を追求したスペースの使い方として、坪庭は多様なメリットをもたらします。狭小住宅ならではのいろいろな悩みを解決する、機能面でのメリットも大きいです。

2-1-1.明かりを取り入れやすい

坪庭は、周りを建物に囲まれた家や、建物の構造上、光を取り入れにくい家などに、明かりをもたらす効果があります。坪庭は小さな中庭としての機能があるため、庭の周囲に壁面が増えることで、窓や縁側の空間などの開放空間をもたらすことができるのです。このため、坪庭を中心に家のなかへさまざまな方向から明かりを取り入れやすくなります。窓の位置や数、坪庭のオブジェの種類、配置などによって光の量を調節することも可能です。

2-1-2.通気性が良い

坪庭の重要な機能性のうちのひとつが、通気性です。もともと風通しの悪い京町家で取り入れられたのは、風の通り道を作ることと採光のためでした。現代でも坪庭は民家の入口近くや、風の通る場所に配置されることが多いです。たとえば、奥行きの長い建物の中心部分、あるいは通り沿いに面した場所など、構造上や防犯上、窓を設置しにくいところでは、坪庭が通気性と開放感をもたらしてくれることでしょう。小さな中庭として機能すれば窓が増えるので、通気性や採光の点でも大きなメリットを得られます。

2-1-3.開放感がある

坪庭には狭小空間を広く見せるという効果を期待できます。部屋の延長として坪庭が目に入ることで、視覚的な広がりを感じられ、小さな部屋であっても開放感のある空間となるでしょう。また、坪庭を中心に「コの字型」に部屋を配置しておけば、広がりを感じさせながらもそれぞれの部屋同士の距離感が程よく保たれるので、圧迫感なく家全体が視野に入る家の構造を作ることが可能です。そのため、子育て世帯や2世帯住宅などの家での坪庭は、セキュリティーという面でも効果的に機能すると言えるでしょう。

2-1-4.景色を楽しめる

もちろん、坪庭は景観としての機能を持つので、四季折々の草木や花などを植えることで、四季の移り変わりを目で楽しむことができます。和風だけでなく、ウッドデッキを置いたり、洋風のガーデニングスペースにしたりと、自分たちの好みに合ったイメージの空間を作ることも可能です。玄関周りの坪庭だと帰宅時に、浴室の近くなら入浴中、リビングの周りなら家族団らん中に、心身ともにリラックスできる生活空間となります。

2-1-5.安全な子供の遊び場にできる

坪庭を囲んで部屋の配置をレイアウトすれば、お互いの部屋同士でのコミュニケーションがとりやすくなる点もメリットです、特に、リビングなどから目の届きやすいところに子供部屋があれば常に子供の安全を確保できます。また、坪庭そのものも子供の遊び場として最適です。外で遊ばせるよりも安全ですし、小さなプールを置いたり、バーベキューをしたり、ペットとの遊び場にしたりと、家のなかで手軽に遊べる場所としても非常に有効です。

2-2.坪庭があることのデメリット

では次に、坪庭を作ることで起こるデメリットについても見ていきましょう。坪庭は家の構造に重大な影響をもたらすため、さまざまな点で注意するべきことがあります。家のメンテナンスにも大きく関わってくる部分です。

2-2-1.居住部分が狭くなる

坪庭は生活に必須となるスペースではありません。家の敷地面積自体が広く、坪庭のためのスペースを作る余裕があれば問題はないですが、都市部で家づくりをする場合のように限られた敷地だけしかないケースでは、居住部分を圧迫することになるでしょう。また、無理に坪庭を作ってしまうと思ったように間取りが取れなくなり、家事や生活するうえでの動線がかなり複雑になってしまうおそれもあります。したがって「家づくりで何を最優先にするのか」をよく検討したうえで、坪庭の設置を考えておかねばなりません。

2-2-2.断熱性が悪くなる

坪庭を取り入れると、家のなかに多くの開口部を作ることになります。壁よりも窓のほうが熱損失は大きくなるため、坪庭を作る際には断熱性を考慮した家づくりが必要です。建物内部の構造が複雑になる傾向があるので、冷暖房のコストも上がることも検討しなければならないでしょう。断熱性の高い窓やサッシ、効果の高い断熱材の仕様なども必要になりますが、その分だけ建物にかかる費用負担も増えることになります。

2-2-3.手入れの手間がかかる

手入れの手間がかかることもデメリットのひとつです。坪庭は小さなスペースであっても屋外にありますから、少しのあいだでも放置しておくと、草木や植栽が生え放題になってしまいます。芝生や手のかかる植木の管理は専門の植木職人に依頼する必要もあるでしょう。そうなると、坪庭の管理、維持に関しても余分な費用が掛かってきます。
手間のかかる植栽や仕掛けなどを最小限にし、子供の遊び場として最小限の空間にしておくこともひとつの方法です。家族での使い方に合わせて、できるだけ管理に手間のかからない坪庭を作る工夫が重要です

3.どんな場所に坪庭が作られることが多いのか?

坪庭とは、敷地面積の狭い家のなかで工夫して作られる「癒し」のスペースです。具体的に坪庭が置かれる場所は、玄関、浴室の外側、リビングの周り、そして2階へと続く階段ホールの先などが代表的です。いずれも開口部から光を取り入れやすく、なおかつ屋内の風の通り道となる場所となっていて、坪庭の強みである景観の良さや通気性、採光性の良さといった長所を生かすことができるでしょう。家族がリラックスして過ごす場所の近くに作られるという点も重要なポイントです。

4.坪庭を設けることでかかる費用

日々の暮らしにアクセントを加えてくれる坪庭ですが、気になるのは設置と維持に伴うコストの問題です。まず、中庭のような形で坪庭を作ると、外壁の面が増え、建物の形状は複雑化します。そのため、家の強度の確保や断熱性や採光性を調整する窓やサッシを設置する必要があり、さらに屋外の照明装置や給水・排水装置などを備えるなどのコストが発生するでしょう。おおよその目安としては、30坪の土地に中庭付きの家を建てると、その建築費用の相場は、中庭なしの家と比べるとおよそ1.5倍から2倍ほどになります。ただし、使用する大きさや配置する位置などによっても費用は変わってきますので、注意が必要です。
そして、坪庭はメンテナンスにも費用がかかり、手間も多くなりがちです。また、冷暖房にかかる費用もかかってきます。窓が多くなりがちになるので断熱性が低く、冬場はすぐに室内温度が下がってしまうので、冷暖房だけでなく断熱性の高いサッシや2重ガラスなどを採用しなければならないケースが多いです。植栽に凝る場合には、その手入れや排水装置などのランニングコストもかかるということに注意しましょう。

5.坪庭とは癒しや楽しさをもたらしてくれる小さな贅沢空間

このように、坪庭とは狭小空間に建てた家のなかにあっても屋内へ光や風を取り込むといった機能性、そして、その風情や景観を楽しむことで癒しや楽しさをもたらしてくれるという贅沢な空間です。断熱性やメンテナンスの面で解決すべき問題はありますが、部屋同士のつながりをゆるくつなげて、家族同士の遊び場、交流の場としても機能します。家を建てる際はぜひ坪庭を作ることを検討してみましょう。

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