開放感あふれる空間に!下がり壁を上手く部屋に取り入れよう

2018.10.22 住まいづくり

大空間をソフトに仕切る機能として、古くから日本家屋で用いられているのが下がり壁です。もともと大きな空間を取りにくい日本家屋では、部屋ごとに間仕切りをしてしまうとかなり窮屈に感じられます。そこで、天井から下の方へ数10cmほど下がっている壁を空間の変わり目に配することで、さりげなく空間を仕切るという工夫がなされるようになったのです。下がり壁は部屋のデザイン性にも大きく影響するため、どのような位置に設置するかという点が重要となってきます。

目次

  1. 下がり壁とは?垂れ壁と同じもの?
  2. 下がり壁で空間を仕切るメリット・デメリット
  3. 部屋をもっとオシャレに!下がり壁にこだわりを
  4. 下がり壁を使った空間デザイン実例集
  5. 必ず必要?キッチンの下がり壁について
  6. 下がり壁を上手に活用しよう

1.下がり壁とは?垂れ壁と同じもの?

下がり壁(さがりかべ)とは、天井から下のほうへ40cmから50cmほど下がっている壁のことです。別名で垂れ壁(たれかべ)ともいいます。壁の下側は開放空間になっていて大きな空間の中でも圧迫感なく、さりげなく空間を仕切る機能を持つので、狭小空間の多い日本家屋では非常によく利用されてきました。昔の日本家屋では、床の間と部屋の間仕切りとして欄間の入った下がり壁などが用いられていた伝統があり、今日の下がり壁にもそのデザインに伝統の名残が受け継がれています。
さらに、下がり壁はデザイン性や間仕切りとしての機能だけでなく、防火機能を持つことでも知られています。法律では天井から50cm以上下に突き出した下がり壁は「防煙壁」と呼ばれ、いざというときには煙の広がりを止めて、避難をしやすいようにするという役割を果たします。

2.下がり壁で空間を仕切るメリット・デメリット

それでは、次に下がり壁によって空間を仕切ることのメリットとデメリットについて説明していきましょう。空間の仕切り役として非常に役立つ下がり壁ですが、配置やレイアウトに気をつけておかないと、少し使いづらいものになってしまうこともあります。

2-1.メリット

下がり壁の最大のメリットは、ドアや壁を使うことなく、空間をさりげなく仕切ることができるという点です。家の中の大空間はあこがれの対象ですが、日本の住宅ではそうそう広い空間をいくつも取ることができないという事情があります。そこで、リビングとキッチンの間やダイニングとリビングのあいだなどを下がり壁で仕切ることで、部屋全体の開放感を損なうことなく、部屋を仕切ることができるというわけです。この下がり壁はデザインの変化をつけやすいので、たとえばアーチ型、素材をガラス材にするなどのアクセントを加えれば、空間全体をおしゃれなものに変える効果も期待できるでしょう。広い空間での防火・防煙対策としても下がり壁は機能し、普段の生活でもキッチンからの匂いや煙が広がるのを防ぐ役割も果たします。

2-2.デメリット

空間の間仕切りとして優れた機能性を発揮する下がり壁ですが、使いどころを誤るとデメリットが感じられることもあります。まず、下がり壁で注意しておきたいのが明かりの入り方に関する点です。下がり壁の位置によってはカーテンや照明を適切な場所に設置できないことがあり、部屋の内装を考えるうえで制約が出てしまうおそれがあります。下がり壁を設置する定番スポットであるキッチンは、部屋の奥の方の光の入りにくい場所にあることが多いため、下がり壁の配置によってキッチン全体がより薄暗くなってしまうということも起こりがちです。
また、防炎壁でもある下がり壁は、その規定上天井から50cm以上下にまで延びているため、もともと天井の高さが低めのリビング空間に配置されると、せっかくの開放感がそこなわれ、視線がさえぎられてしまうということもあるでしょう。したがって、下がり壁は空間の配置や広さとの相性をよく考えて設置する必要があると言えます。

3.部屋をもっとオシャレに!下がり壁にこだわりを

下がり壁というとまっすぐに天井から壁が途中までのびている、というイメージを持つ方が多いですが、実はデザインのバリエーションが豊富です。下り壁は形状を自由に変えられるので、アーチ型、三角型、あるいは波型を取り入れることで、空間の雰囲気をおしゃれに、かわいらしく変えることも可能となります。アーチ状の下り壁は開放部分を通り道のような設計にすると、まるで家の中に小さなトンネルがあるかのような空間を演出できることでき、空間に遊び心をもたらしてくれるでしょう。
素材をガラスなどに変えることも可能で、こうした工夫によって視線を遮らない空間の仕切りを作ることもできます。

4.下がり壁を使った空間デザイン実例集

それでは、次に下がり壁を上手に使った実例を紹介していきます。下がり壁はデザイン性だけでなく、機能性の面でも自分たちの住まいに合うように工夫して設計することで、生活空間に非常によい影響や効果をもたらすことができるのが特徴です。

4-1.ヨーロッパ風にする

部屋をヨーロッパ風にアレンジしたいという場合には、アーチ型の下がり壁がおすすめです。やや直線的になりがちな部屋のレイアウトに大胆な曲線を取り入れることで、一気にヨーロッパ風のおしゃれさ、かわいらしさが生まれます。人気のスタイルである南欧スタイルやフレンチシックのレイアウトと相性よく、モダンな家具類ともよく合います。曲線のカーブのデザインによって、開放感を調整することも可能です。

4-2.ソフトな目隠しとして使う

下がり壁の重要な機能の1つは、大きな空間をさりげなく仕切るということにあります。プライベイトスペースとパブリックスペースを分けることで、家づくりの上で自然な形にゾーニングすることが可能です。また、土間の物置、キッチンスペースなど、来客時にあまり目にしてほしくないスペースとのあいだに下がり壁を配置すると、ソフトな目隠しとしての役割も果たせます。下がり壁の形状や長さを調整して、間仕切りとしての機能を優先させる方法もあるということです。

4-3.複数の部屋を区切る

下がり壁はリビングキッチン、リビングダイニングといった場所の境目だけでなく、大空間をいくつかに区切って、複数の部屋に一体感を持たせるということもできます。子育て世代に人気のLDKは家族で集まりやすく、広い空間を共有できますが、このLDKと下がり壁は非常に相性がよいです。家族が集まる空間と子供の遊ぶ空間をさりげなく分けるだけでなく、見通しが良いため、子供に目が届きやすいという利点があります。複数の部屋を下がり壁で区切ることも全体としての一体感が感じられるので、ゆったりとした空間が好きな世帯には人気のアレンジです。

5.必ず必要?キッチンの下がり壁について

下がり壁を作ることの多いキッチンは、建築基準法で内装制限の規定が細かく決められています。もともとキッチンは火気使用室と定義されていたので、キッチン周りは準不燃材以上の不燃材で仕上げることが義務付けられていたのです。さらには、オープンキッチンを作る際には防煙壁を設置するか、あるいはもし設置しない場合はリビング、ダイニング全体を準不燃材で作らなければいけないという基準が定められていました。この制限はデザイナーの悩みどころで、実質的にキッチンでは防煙壁となる下がり壁の設置が必須となっていたわけです。
しかし、この内装制限が平成21年より緩和され、戸建住宅に限り、コンロ周りの材質規定を満たせば防煙壁を作る必要がないということになりました。その結果、戸建住宅では必ずしもキッチンに下がり壁を作ることを検討する必要がなくなったので、キッチンの内装やデザインに関する自由度はかなり増したと言えるでしょう。その代わり、コンロ周りの規制はより厳しくなっています。なお、集合住宅についてはこの規制緩和は対象外なので注意してください。

6.下がり壁を上手に活用しよう

このように、日本家屋で古くから利用されてきた下がり壁は、使い方やレイアウト、そしてデザインの工夫によって、現在でも広い用途のある空間装置と言えるでしょう。下がり壁を作ることの多いキッチンは建築基準法の規制との兼ね合いもあるので、開放的な空間や明るいキッチンが欲しい場合には工夫が必要となります。
素材や形状のアレンジによって、家の中の空間におしゃれなインパクトを与えることもできるので、空間デザインにこだわりたい方はよく内装業者やデザイナーと相談したうえで、うまく活用するとよいでしょう。

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