2019.3.22

パントリーの配置は家事の動線に注意!理想的な間取りとは?

住まいづくり

マイホームやリフォームを考える時に、キッチン周りの計画は重要です。スペースに余裕があれば、パントリーを設けるとすっきりしたキッチンになります。パントリーの設置を検討する場合には、広さや間取りとの関係を考えておく必要があります。とくに、家事を行う際の動線への配慮がポイントです。パントリーとキッチンは、家事動線に沿った無駄のない、機能的な配置が理想的。パントリーの基礎知識から、間取りを検討するうえでの注意点をご紹介します。

目次

  1. パントリーとは
  2. パントリー設置にあたっての注意点
  3. パントリーに必要な広さ
  4. パントリーのある理想的な間取り
  5. パントリーの間取りをこだわると魅力的なキッチンになる!

1.パントリーとは

パントリーとは、食品や調理器具を収納する収納庫のことです。住宅の中でも、キッチンはもっとも雑然としやすい場所といえます。調理のためには、さまざまな道具・器具や食材が必要です。調理器具のなかには、便利だけれどかさばるものも多いため、いかに収納するかが悩みどころになっています。また、生鮮食料品は冷蔵庫に入れれば見た目もすっきりするのですが、常温で保管できる調味料や穀物類などは置き場所に困るものです。

使い勝手を考えると、引き出しなどにあまり細かくしまい込まないほうがよいのですが、そうするとキッチン全体が雑然とした印象になってしまいます。買い物の回数を減らすために、食材を買いだめする習慣を持つ人も多くなってきています。この場合にはさらに収納スペースが必要になるため、間取りを工夫してパントリーを設置するのが最も合理的な解決法といえるのです。

パントリーの魅力

パントリーのメリットは主に4つあります。1つ目は、大量の食材や調味料、普段使わない調理器具などをすぐに使える状態で保管しておけることです。床下収納を活用する方法もありますが、どちらかといえば長期保存品向きなので、収納物にすぐに手が届くパントリーのほうが日常使いとしては便利でしょう。2つ目は、災害時に必要な物のストック場所としても使えることです。災害対応の水や食材などは長期保存が可能なものが多くなっています。目の届くところに保管してあれば、消費期限に気づかずに過ぎてしまうようなことも避けられるでしょう。

3つ目は、安いときに買いだめできることです。スーパーの特売日や、郊外にある安売り店舗で多めに買い込んできても、パントリーがあれば収納場所に困ることはありません。また、週末に買い物に行って、1週間分買い込んでくるようにすれば、時間が有効に使えます。4つ目は、なんといってもキッチンを容易に片付けることができる点です。調理台にはなるべく物を置かないようにして、必要な時にパントリーから取り出すような間取りにしておくと、スッキリしたキッチン空間が維持できます。

パントリーのタイプ

パントリーには大きく2つのタイプがあります。キッチンから近い場所の壁面を利用するものと、専用の空間を仕切るものです。生活スタイルから考えた必要収納量や、キッチンに割り当てることができる広さや間取りの自由度によって、どちらにするかを選ぶと良いでしょう。

壁面収納タイプ

壁面収納タイプのパントリーとは、キッチンの反対側の壁面などに収納スペースを作るタイプです。キッチンの壁側にあれば、必要な物に腕を伸ばすことで、それほど動かなくても取れるので、調理作業の効率が上がります。また、調味料などが不足していても、一目でわかるため、食材の管理も簡単です。設置のポイントは、キッチンに出入りする通路部分と調理作業スペースを結ぶ動線に沿って、無駄な動きをしないで済むような場所に計画することです。

壁面収納パントリーに扉を設ける場合は、動線を阻害しないように扉の種類を選ぶ必要があります。たとえば、開き戸よりも引き戸のほうが、パントリー前のスペースの幅は狭くても動線的には問題ありません。ただし、引き戸は収納スペースを半分隠してしまうので、収納物全体への一覧性は低下してしまう点には注意が必要です。なお、コンパクトな住宅などでスペースに余裕がない場合は、パントリーを設けずに幅の広い食器棚をパントリー的に利用する方法もあります。

ウォークインタイプ

スペースに余裕がある場合は、ウォークインタイプのパントリーがおすすめです。これは、小さな専用の空間をパントリーにしたものです。空間を仕切るウォークインタイプの場合、ダイニングからの調理器具や食材への視線を遮ることができるため、キッチン周りの生活感を抑えることが可能です。とくにインテリアデザインに凝った住宅などでは効果的でしょう。

ウォークインタイプであれば、部分的にワインセラーなどを設けることもできます。なお、勝手口からキッチンまでの動線上に設けるパントリーは、ウォークスルータイプと呼ばれます。買い物から帰って、そのままパントリーに食材を収納したり、とれたての野菜など土がついた物を廊下の床を汚さずスムーズに保管できたりして便利です。ただし、ウォークスルータイプは部屋の両側に出入り口を設けるため、ウォークインタイプと比べると収納力は下がります。

2.パントリー設置にあたっての注意点

さまざまなメリットがあるパントリーですが、設置の際にはいくつかの注意点があります。1つ目は、開口部が1つのウォークインタイプの場合、空気が抜けにくいので湿度や温度が高くなったり、臭気がこもることがあります。開口部と反対側に通風のための換気口や窓を設けておくと良いでしょう。2つ目は、ワインセラーなどの通電が必要な設備を設置する場合は、設計段階からコンセントの位置や容量を考慮しておく必要があります。

3つ目は、収納スペースが大きいために、物の位置を把握できにくい点が挙げられます。どこに何をしまったのかわからなくなるのです。あらかじめ、主要な物の定位置を決めておくようにしましょう。4つ目は、パントリー設置のためには、十分なスペースが必要になる点です。パントリーには収納スペースと動線スペースが必要なので、少なくともトイレ程度の面積は割り当てないと、使い勝手に問題が出てくるでしょう。5つ目は、パントリーとキッチンとの距離です。調理作業の効率を考えて、なるべく移動距離が短くできるように間取りを工夫しましょう。

3.パントリーに必要な広さ

キッチンで使う道具・器具や食材の寸法から考えると、パントリーの各部に必要な寸法を割り出すことができます。まず、棚については、奥行きが30〜45cm程度にすると使いやすいでしょう。たとえば、ワインのボトルは約30cmです。ワインラックに寝かせて保管するとして、ラックの幅を入れても45cmあれば余裕を持って収納可能です。なお、キッチンで使うものの寸法は、おおむねハンディーサイズなので、あまり奥行きが深いと奥のものが取り出しにくくなってしまいます。次に、パントリーに出入りするための間口(幅)は、80〜90cm程度が理想的です。

器具や食材を持って出入りするので、狭すぎないようにします。パントリー内の動線幅は、60cm程度が目安です。たとえば、スペースに余裕がある住宅で、両側に棚を持つウォークインタイプのパントリーを設ける場合を考えてみましょう。棚の奥行が45cmで通路幅が60cmとすれば、壁の内法寸法は150cmとなります。よりコンパクトにして片側だけに棚を設けるのであれば、内法寸法は105cmです。空間で仕切らない壁面収納タイプのパントリーであれば、奥行きが45cm、幅90cm程度の食器棚や市販の組み立て式ラックをパントリー代わりにする方法もあります。

4.パントリーのある理想的な間取り

住宅の間取りでパントリーの場所を決めるには、家事動線から考えるとよいでしょう。まず、パントリーとキッチンは隣接させます。調理スペースと、食材や道具・器具の保管場所は、近いほうが時間と労力の節約になるからです。つぎに、パントリーと外部も隣接させます。食材は外部から持ち込まれるからです。買い物から帰って、玄関や勝手口からすぐにパントリーに移動できれば、荷物の移動距離が短くて済みます。さらに、パントリーからキッチンへの動線が繋がっていれば、時間がない時でもすぐに食事の支度が始められるのです。つまり、玄関や勝手口の隣にパントリーがあり、その先にキッチンがつながっているという間取りが、最も理想的といえます。

5.パントリーの間取りをこだわると魅力的なキッチンになる!

快適なキッチンを実現するためには、ぜひパントリーを設けましょう。スペースに余裕がある場合には、ウォークインタイプやウォークスルータイプがおすすめです。また、コンパクトなキッチンであれば、壁面収納タイプも便利に使えます。どちらも、動線の幅を十分に確保しつつ、棚の奥行や幅に注意して設置すれば、キッチンの使い勝手が格段に向上することでしょう。

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