キッチン会議

夫婦がなかよくなるキッチン自分以外の人がキッチンを使うと…

LIXILキッチンテクノロジージャパン商品部デザイングループ生活研究チーム 川内友香さん

取材 | 2016.8.9

「キッチン会議」では自分らしいキッチンを見つけ出すためのヒントを、
みなさんと真面目に、時には頭をやわらかくして話し合っていきたいと思います。
毎回コラムで話題を提供したり、建築家や専門家の意見を紹介したり、
アンケートを通してみなさんの暮らしぶりや考えをうかがったり。
さまざまな視点でキッチンを見つめながら、「キッチンの答え」を一緒に考えていきましょう。

多くの人は自分以外の人がキッチンを使うことに不満があるのだそうです。使ったものがもとの場所に戻っていない、掃除が不十分、調理道具や食器が濡れたまましまってあるなど、本当はパートナーにも手伝ってもらいたい料理や片付けですが何かと不満が残り、せっかく手伝ってもらっているのにかえって迷惑という話もよく聞きます。そこで「ものが自然にもとの位置に戻したくなるような形状や表示など、また誰でもが綺麗に掃除ができるような仕掛けを考えたい」と言います。

川内さんはLIXILのキッチン商品開発チームの要のポジション、行動観察と言われる手法で徹底的にユーザーの行動を観察することから新たな商品づくりの視点を発見していくチームのメンバーです。肉眼で見るだけでなく数台のカメラでビデオに撮りそれを様々な視点で分析を続けていきます。“リシェル”についても前身の”サンヴァリエ ピット”という商品や従来のシステムキッチンの使用状況をビデオにおさめ、1500時間という膨大な記録を分析し、商品開発を行いました。2009年に開始しその観察から2つの課題を見つけだします。

1 調理の時の動線は無意識にキッチンと平行に動いており、前後の動きは30センチ以内ということ。そして下部収納からものを出す時は扉を大きくはあけずに、動きを最小限にして隙間からものを取り出すような行動をしているということ。

2 それ以前のキッチン扉のポケット収納では2段階の操作、押すと引く2つの動作があったが、引くほうはあまり使わない、ひとつの動作で下、奥のものまでが見える、そして取り出せることが必要だと。
こうした発見を商品開発につなげました。ひとつの動作で開閉、ななめに開くことと、引き出しになることを実現、中はワンボックスで仕切りがなく、一目で中身がわかるようにしたのです。

その後それらのかたちを検討していきます。現在のかたちとしての販売開始は2013年、膨大な時間をかけて“リシェル”は登場します。
こうしてできた商品は先の課題であった「元の位置に戻しやすくする」、「一目でわかりやすい」など、他の人とキッチンを共有した時に生まれる不満を解消していきます。夫婦が仲良くなるキッチン、まだまだ改善は進むことでしょう。リシェルは2013年以降、さらに料理が楽しくなる工夫がすすんでいます。
みなさんからも是非ご意見お寄せください。

最後に今後の商品開発についての展望を伺うと、「落ち込んでいる時でも、キッチンの前に立つと元気になる、料理がしたくなる」。そんなキッチンを目指したいとも。お話を伺いながら今後の新しいキッチンの登場がますます楽しみになります。

川内友香
LIXILキッチンテクノロジージャパン商品部デザイングループ生活研究チーム

商品の詳細はコチラ
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