利用者視点で考える性的
マイノリティ(トランスジェンダー
・ノンバイナリー)
マイノリティ
・ノンバイナリー)
ダイバーシティ&インクルージョン※1の重要な
テーマのひとつである「LGBT等性的マイノリティ」。
「LGBT」とひとくくりにされがちですが、
「LGB」は性的指向※2のマイノリティ、
「T」は性自認※3のマイノリティという
大きな違いがあります。
特に、トランスジェンダー※4の中には
外出先のトイレ利用で困る人も多くいます。
「出生時に付けられた性別※5のトイレ」か
「性自認に沿った性別のトイレ」かの選択で
困難を抱える人、
男女に分かれたトイレを
利用しづらいことで悩む人などさまざまです。
- 1. Diversity & Inclusion:多様性と包摂。「多様性の尊重」と訳されることが多い。
- 2.3.5. 性の多様性に関する基礎知識[SOGIって何?]をご参照ください。
- 4. トランスジェンダーの定義は[LGBTって何?]をご参照ください。当ページでは、Xジェンダーやノンバイナリーの人もトランスジェンダーに含めています。
性の多様性に関する基礎知識 その1
実は、「性のあり方」は誰もが必ず持ち合わせる要素の組み合わせであり、その組み合わせにより、一人ひとりのアイデンティティが形成されます。それぞれ顔や性格が違うように、性のあり方もまた多様です。まずは、誰もが持ち合わせている要素である「SOGI」、そして「LGBT」について、知っておきたい基礎知識をご紹介します。
SOGIって何?
LGBTって何?
LGBTの中でも、トイレ利用に特に
困っているのは「トランスジェンダー」
LGBTの人たちを対象に、職場や学校でのトイレ利用についてアンケートを実施したところ、「困る・ストレスを感じることがある」と回答した人は、「LGB」の人は17% に対し、「T」のトランスジェンダーは65%にものぼりました。「LGBT」とひとくくりにされがちですが、その中でも特に「トランスジェンダー」がトイレ利用で困難を抱えていることがわかりました。
職場や学校のトイレ利用で、
困る・ストレスを感じることはありますか?
困る・ストレスを感じることはありますか?
- 調査データ出典:性的マイノリティのトイレ問題に関するWEB調査, 2015(LIXIL、虹色ダイバーシティ)
トランスジェンダーの多くが
トラブルを経験
トイレで実際に経験したトラブルについて尋ねたところ、「他の利用者から不審な目で見られた、注意された」などがあがり、トランスジェンダー特有の困りごとがあることがうかがえます。「トラブルを経験したことがない」という回答も3割ありましたが、逆に言えば、7割の人が何らかのトラブルを経験していることになります。
外出先でトイレを利用した際、実際に経験したことがあるトラブルは?(複数回答)
トイレ利用での困りごとやトラブルは?
- FTX:Famale to X-genderの略、FTM:Female To Maleの略、MTF:Male To Femaleの略
- 調査データ出典:性的マイノリティのトイレ問題に関するWEB調査, 2015(LIXIL、虹色ダイバーシティ)
性の多様性に関する基礎知識 その2
日本では、出生時の生物学的な性をもとに男女が判断され、戸籍や住民票などに記載されます※1。つまり、一般的にいう「性別」とは、「出生時に付けられた性別※2」を指します。一方、「性自認※3」は自らが認識する性別です。両者が一致しない人の総称が「トランスジェンダー」であり、そのあり方もさまざまです。
- 1. 外性器からは男女の判断が難しい、性分化疾患の人もいます。
- 2.3. 性の多様性に関する基礎知識「SOGIって何?」をご参照ください。
トランスジェンダーもさまざま
「利用したいトイレ」は、
人によってさまざま
トランスジェンダーの人に、外出先でどのトイレを利用したいか希望を尋ねたところ、そのニーズはさまざまであることがわかりました。FTMとMTFは性自認に沿った「男女別トイレ」を希望する比率が高く、FTXとMTXのXジェンダーは「だれでもトイレ」などの男女共用トイレへのニーズがより高い傾向が見られました。
- FTM:Female To Maleの略、MTF:Male To Femaleの略、FTX:Female To X-genderの略、MTX:Male To X-genderの略。詳しくは[トランスジェンダーもさまざま]をご参照ください。
自由に選べるなら、どのトイレを利用したい?(公共施設)
- 調査データ出典:性的マイノリティのトイレ問題に関するWEB調査, 2015(LIXIL、虹色ダイバーシティ)
約半数が「利用したいトイレ」を
利用できていない
「利用したいトイレ」の希望に対し、実態はどうなのでしょうか。アンケート調査では、半数近い人が「トイレ利用」の希望と実態が一致していないことがわかりました。また、 理想のトイレについては、「だれでもトイレ」やコンビニのような「男女共用トイレ」を増やしてほしいという意見とともに、「トイレの選択肢」を求める声も多く見られました。
「トイレ利用」の希望と
実態の一致状況(公共施設)
理想のトイレは?
- 調査データ出典:性的マイノリティのトイレ問題に関するWEB調査, 2015(LIXIL、虹色ダイバーシティ)
求められる、
多機能トイレとは別の選択肢
トイレ利用時の困りごとやストレスについて尋ねたところ、トランスジェンダーの約6割が「だれでもトイレの利用時に気まずい」と回答。また、理想のトイレについても、車椅子ユーザーや乳幼児連れの人などが利用する多機能トイレとは別に、「男女共用で利用できるトイレ」の設置を求める声が多くあがりました。
職場や学校のトイレ利用で
困る・ストレスを感じる理由は?
困る・ストレスを感じる理由は?
- 調査データ出典:性的マイノリティのトイレ問題に関するWEB調査, 2015(LIXIL、虹色ダイバーシティ)
「男女共用広めトイレ」の設置
多機能トイレとは別の “選択肢” として、性別を気にせずに、気軽に利用できる個室トイレ「男女共用広めトイレ」を設置します。男女別トイレに入りづらいトランスジェンダーへの選択肢のひとつとなるだけでなく、多機能トイレの利用集中の緩和も期待できます。
男女共用トイレがあれば解決、
ではありません
男女共用トイレの充実を望む声がある一方で、性自認に沿ったトイレの利用を希望するトランスジェンダーも少なくありません。しかし現実として、出生時に付けられた性別のトイレを利用せざるをえない人も多くいます。
トランスジェンダーの約7割が
男女別トイレを利用
外出先でどのトイレを利用しているかを尋ねたところ、66% が「男女別トイレ」を利用していました。性自認に沿ったトイレを利用しているか、出生時に付けられた性別のトイレを利用しているかは人それぞれです。ゆえに困りごともさまざまですが、中にはプランや設備を工夫することで解決できることもありそうです。
- 「出生時に付けられた性別のトイレ」を利用している人の中には、「性自認に沿ったトイレ」を利用したくてもできない人、トラブルを避けるためにやむなく利用している人もいます。
実際に、外出先で利用しているトイレは?
男女別トイレ利用時の困りごとは?
- 出生時女性のトランスジェンダーの中には、性別違和の緩和のために男性ホルモンの投与を受ける人もいます。投与により生理が停止しますが、中断や体調により再開することがあります。
- 調査データ出典:性的マイノリティのトイレ問題に関するWEB調査, 2015(LIXIL、虹色ダイバーシティ)
トランスジェンダーへの
配慮ポイント例
トランスジェンダーの困りごとを解決することで、誰もが安心して快適に利用できるトイレになります。
擬音装置を設置することで、音のプライバシー確保にもつながります。座ると自動で鳴るオート擬音がおすすめです。
- 清掃・メンテナンス業者さまへのご説明等が必要です。
- 清掃・メンテナンス業者さまへのご説明等が必要です。
利用しやすいトイレのサインとは?
近年、ジェンダー配慮として従来の青/赤の配色ではなく、モノトーンや他の色を採用したり、ピクトデザインを変えたりするケースもあります。
そこで、男性が青、女性が赤のトイレピクトを組み合わせたサインについてどう思うか尋ねたところ、「形も色も変えなくてよい」と回答した人は、シスジェンダーで7割以上、トランスジェンダーも半数近くとなりました。一方、トランスジェンダーでは、「色を変えた方がよい」「形を変えた方がよい」と回答した人も約2割いました。
一般的な男女共用トイレのサインについて、どう思いますか?
- 調査データ出典:オフィストイレのオールジェンダー利用に関する意識調査, 2017(金沢大学、コマニー、LIXIL)
一般的な男女共用トイレのサインについて、どう思いますか?(トランスジェンダーの声)
- 調査データ出典:オフィストイレのオールジェンダー利用に関する意識調査, 2017(金沢大学、コマニー、LIXIL)
「男女共用お手洗」のサイン
「男女共用お手洗」の記号(左図)は、2018年10月に(公財)交通エコロジー・モビリティ財団にて公開され、その後2020年5月、経済産業省によりJIS規格(日本産業規格)制定されました。なおこの図記号には、【文字による補助表示を付ける場合は「男女共用 All gender」またはそのどちらかとする。色彩はモノトーンが望ましい】という備考が付記されています。
「男女別トイレ」のサインについて
近年、ジェンダー配慮として、従来の青/赤の配色ではなくモノトーンや他の色を採用したり、ピクトデザインを変えたりするケースもあります。
一方で、高齢者や知的・発達障害のある人、視覚や色覚に障害のある人にとっては、「わかりやすい」ことが重要なポイントになります。特に不特定多数の人が利用する公共施設の場合は、見慣れた従来型のサインの方がより多くの人が視認しやすいという利点もあります。
サインについても、施設の用途や利用する人の特性を考慮して検討することが大切です。