ベランダやバルコニーを後付けしたいけれど、どんなデザインや面積のものでも設置できるのだろうかと疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
後付けの場合、建ぺい率や容積率を超えたベランダ・バルコニーは設置できません。また、設置の際には建築確認申請の提出が必要なケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
他にも後付け時に気を付けたい注意点はいくつかあります。本記事では、ベランダ・バルコニーを後付けする場合の注意点と費用の目安について解説します。後付けを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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※記事内での費用はあくまで目安の金額で、住宅環境や情勢によって、費用が前後する可能性があります。実際の金額は施工業者にご確認ください。
日本大学工学部 建築学科 卒業。1988年から現在まで、ゼネコンから地元工務店で建築士としてで活動中。
【保有資格】目次
新築時ではなくても、ベランダ・バルコニーの増築や後付けは可能です。ただし、増築や後付けの場合、建ぺい率や容積率などを確認する必要があります。
加えて、近隣の日差しや住居のデザインとのバランスなど慎重に検討したいポイントがいくつかあるため、事前に把握しておきましょう。
ベランダ・バルコニーを後付けする場合、気を付けたいポイントは次の通りです。
特に、建ぺい率・容積率や建築確認申請は専門的な知識が必要なため、注意が必要です。
ここからは、それぞれのポイントについて見ていきましょう。
ベランダやバルコニーを増築する場合、建築基準法に適合していなければなりません。
建築基準法とは建築物の耐震や防火など最低限の安全性を定める法律です。ベランダやバルコニーを後付けする場合も例外ではなく、建築基準法に基づき安全性を確保する必要があります。
ベランダやバルコニーの後付けの場合、特に注意しなければならないポイントが建ぺい率と容積率です。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合を示した数値です。住居の場合、建ぺい率が低く設定されているケースが多くあります。そのため、後付けをしたら建ぺい率を超えてしまったというケースも少なくありません。
ただし、緩和規定として壁から突き出している長さが1m未満の場合、建築面積には含まれません。
容積率とは敷地面積に対する床面積の割合です。ベランダやバルコニーの場合、先端から2mは不算入とする緩和規定があるものの、床面積に含まれるケースがあるため注意しましょう。
容積率を算出する際に床面積に含まれるケースは次の通りです。
建ぺい率や容積率を超えた後付けはできません。事前にどのくらい余裕があるかを把握しておきましょう。
建築物を建てる場合や増築する場合、原則として建築確認申請が必要です。
ただし、「防火地域又は準防火地域以外で、増築の床面積が10平方メートル未満のもの」は建築確認申請は不要です。
ベランダ・バルコニーを後付けする場合、建築確認申請が必要かどうかも確認しておきましょう。
建築確認申請を提出する場合、既存建物の確認申請図書や完了検査済証などの書類が必要です。後付けに携わる建築士に必要な書類を確認し、事前に準備をしておきましょう。
参考: 建築基準法|e-Gov法令検索
ベランダとバルコニーを後付けする目的を設定し、用途を満たす仕様にします。
例えば、洗濯物を干すスペースと気軽に日光浴できるスペースでは設置する大きさや屋根などが変わります。
用途に合わせてベランダの大きさや位置、素材の設計を進めましょう。
ベランダ・バルコニーの後付けの場合、近隣の住宅の日差しを遮らないように注意しましょう。後付けによって近隣の日差しを遮ってしまった場合、トラブルに発展する可能性があります。
建築基準法に基づいて後付けをした場合、日照権侵害として問われるケースは殆どありません。しかし、近隣の住民とのトラブルを回避し、良好な関係性を築くためにも、近隣住民への気遣いを心掛けましょう。
日差しの問題が気になる場合、完全に遮らない素材を選択するとよいでしょう。
ベランダ・バルコニーの本体や床材として使用する素材には種類が多くあります。大きく分けて金属製と木製の2種類があり、それぞれ施工箇所や特徴が異なります。
例えば、金属製のベランダやバルコニーを後付けする場合、一般的にスチール製とアルミ製の2種類の素材から選択可能です。それぞれの特徴は次の通りです。
材質 | 特徴 |
---|---|
スチール製 |
|
アルミ製 |
|
スチール製は安価ではあるものの、定期的にサビ止めの塗料を塗る必要があります。金属製の材質を選択する場合、初期費用に加え、塗料などの材料費を含めたランニングコストがかかる点を把握しておきましょう。
ベランダやバルコニーの見た目にこだわりたい場合、床材に木製の素材を使用し、ウッドデッキにする選択肢もあります。
木製の代表例と特徴は次の通りです。
項目 | 材質 | 特徴 |
---|---|---|
天然木 |
|
|
人工樹脂 |
|
|
天然木は安全性を確保するために、防腐対策など定期的なメンテナンスが必要です。
また、樹脂製やタイルなどを床材に使用するケースもあります。樹脂製床材とタイル床材の特徴は次の通りです。
材質 | 特徴 |
---|---|
樹脂製(塩化ビニルなど) |
|
タイル(陶器や石材など) |
|
デザインだけでなく、機能性やメンテナンスの有無など素材の特徴を把握した上で、施工目的に応じたものを選択しましょう。
後付けの場合、ベランダやバルコニーの使い勝手や機能のほかに、外壁とのバランスを考慮する必要があります。
個性的なデザインのベランダやバルコニーを選んでしまうと、住居の外壁や屋根とのデザインのバランスが悪くなってしまう可能性があります。
外壁のデザインに合わせたベランダやバルコニーを設置したい場合、外壁塗装や張り替えのタイミングと同時期に設置を行うとよいでしょう。外壁と同じ色に塗装してもらうことで、統一感のあるデザインに仕上げられます。
ここでは、ベランダ・バルコニーの後付けの費用の目安について見ていきましょう。
工事費用は設置する施工業者によって異なるため、複数の業者から見積りをもらい、比較検討をする必要があります。また、材質や住宅環境によって本体費用や工事費用が変動するため、具体的な費用に関しては施工業者にご相談ください。
後付けで設置する一般的なサイズ(幅180cm×奥行き90cm)の費用の目安は、工事費込みで30万〜50万円です。
設置場所が1階か2階かによって費用は変動します。1階にベランダやバルコニーを後付けする場合、補強工事を行う必要がないため、設置費用は20万〜30万円程度まで抑えられるでしょう。
より広いベランダ(幅360cm×奥行き180cm)を後付けする場合の費用の目安は、1階取り付けの場合で30万〜50万円程度、2階取り付けの場合で40万〜60万円程度です。
幅360cm×奥行き180cmのサイズがあれば、余裕を持って活用できるでしょう。
また、ベランダやバルコニーに屋根や壁を設置する場合、40万〜70万円以上の費用が発生します。
本記事では、ベランダ・バルコニーを後付けする際に気を付けたいポイントについて解説しました。
後付けの際には、建ぺい率・容積率の算出や建築確認申請の提出が必要になるケースがあります。それぞれ緩和規定があるものの、建ぺい率や容積率を超えた面積のベランダやバルコニーは設置できないため注意が必要です。
また、工事費込みの目安費用としては幅180cm×奥行き90cmで30万〜50万円程度、幅360cm×奥行き180cmで30万〜60万円以上です。
しかし、施工業者によって設置費用や工事内容が異なるため、複数の業者から見積りを提出してもらい、比較検討するようにしましょう。
ベランダ・バルコニーの後付けにおいて、建ぺい率や容積率の算出方法がよく分からないという声も多く聞かれます。
また、後付けしたいベランダやバルコニーは緩和規定の対象になるのかどうかの判断は専門知識がなければ難しいでしょう。
後付けを検討している場合、一度プロに相談してみるのも1つの手です。
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