大谷猶子さんインタビュー後編 大谷猶子さんインタビュー後編
病院のように、一人一人のあらゆる髪の悩みに向き合いたい
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大谷猶子さんは、自身が営むヘアサロンが目指すところを「病院」と表現します。その心とは?
さらに、髪のすこやかさと関わりの深い水へのこだわりについても、じっくり伺います。

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ヘアサロンの様子

ニューヨークから日本に戻ったのが2003年末のこと。大谷さんは、二人のお子さんの子育てを優先しながら、フリーランスのヘアスタイリストとして活動。子育てが一段落した2014年、満を持して自分の土壌たるサロンを開いた。

髪にまつわるすべてを
カバーできる場に

ヘアサロンの雑誌類

「ここでは髪に関わるすべてをカバーしたいという気持ちでやっています。私自身ファッションが大好きなので、もちろんファッションとしてのヘアスタイリングも大事にしたい。でも実際にお客さまと接していると、髪で悩んでいる人がすごく多いんですよね。髪質や白髪だけでなく、たとえば毛髪疾患だったり、ストレスから来る円形脱毛症だったり、抗がん剤治療を受けた人、パーマ液やカラー液などの薬剤にかぶれてしまう人……。ありとあらゆる髪の悩みやトラブルに応えられるよう、個人レベルでお付き合いをしていきたいと思っています。そう、病院のように」

ヘアサロンにあるレコード

髪にまつわるポジティブな面だけでなく、ネガティブな悩みもそっくり受け止めて向き合いたいという。なるほど病院だったのか――。そう聞くと、白いカーテンにも、外から遮断された静かなプライベート空間にも納得がいく。

「今は、疲れている人も本当に多くて。アーユルヴェーダの資格を持っているので、どうにか生かしたいと思っているのですが、今のところ髪を切る時間で精一杯なんです」
わずかににじむもどかしさに、飽くなき探求心が潜む。

いかに塩素を除去するかに
心を砕く

浄水シャワー

「髪にとっては、水の質にこだわることも重要です。水道水の質を保つために塩素は必要なのですが、それがタンパク質に悪影響を及ぼして、結果、髪の表面のキューティクルを荒らしてしまう。塩素はシャンプーで一旦は落ちますが、すすぎに普通の水道水を使うと、付着したまま残留します。肌も同じですが、肌には再生する力があります。でも髪は、自力で再生することができないんです」
髪の大敵である塩素を除去するために、サロンではシャワーヘッドの中に浄水器を取り付け、折々チェックシートによる塩素チェックも怠らない。

インタビューを受ける大谷猶子さん

浄水へのこだわりは、さらに自宅においても徹底されている。大谷さんは、私生活にあっては二児の母でもあるのだ。
「東日本大震災の後、子どもたちがまだ小さかったので、歯磨きに使う水すらも気になってしまって浄水器を付けました。幼い子ども、特に新生児は、免疫ができる前にまったくバリアのない状態で塩素を吸収してしまうので、口にする水はもとより肌や髪に触れる水も、注意深くケアする必要があると思います」

髪が好き――
シンプルな思いに導かれて

ドライヤーをする大谷猶子さん

わからないことがあれば調べ、知りたいことはとことん追求する。水の話にしても、大谷さんが発する言葉の数々は、ともすれば「ファッション」や「感覚」で語られがちなヘアスタイリストの印象とは一線を画す。
「ちゃんと知識があったほうが、何かあったときにケアもできるし、安心していただけると思うんです」 皮膚科学をより深く学ぶために、時間を捻出して皮膚科の医師や薬剤の開発に携わる専門家との勉強会に参加し、子どもたちが眠った後、ひとりサロンに戻ることも珍しくない。
思わず「なぜ、そこまで?」と問いかけると、間髪入れず返ってきたのは「髪が好きなんです」というひと言。呆気ないほどシンプルな答えにはしかし、「この人に髪を委ねてみたい」と思わせる潔さがある。

撮影/名和真紀子 取材・文/河合映江 
取材日/2018年8月30日

大谷猶子さんインタビュー前編

ヘアスタイリスト

大谷猶子さん
インタビュー前編

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大谷猶子さんプロフィール
PROFILE

大谷猶子(おおたに なおこ)

ヘアスタイリスト、毛髪診断士。都内の理容室、美容院勤務を経て渡米。ニューヨークのヘアサロンで経験を積む。帰国後、雑誌や広告で活躍。現在は「無印良品」のスキンケア、ヘアケアのアドバイザーやワークショップなどを手がけながら、完全予約制のヘアサロン「Hair Orutane」を経営。管理理容師免許、欧米コスメトロジーライセンス、アーユルヴェーダディプロマを取得。日本毛髪科学協会会員。

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