素敵なインテリアで暮らすゲストに“私らしいスタイル”をコーディネートしてもらう「スタイル手帖」。今回は個人デザイン事務所『kalon design』代表のAtsukoさんに再びご登場いただきました。
ウェディングのペーパーアイテムや真鍮表札のデザインなど、グラフィックデザイナーとして幅広いデザインを手がけるAtsukoさんの作品は、ナチュラルな雰囲気の中に温かみを感じるものばかり。
また、自宅を紹介したInstagramにもファンが多く、日々の暮らしを丁寧に、豊かに過ごすためのこだわりが随所に散りばめられています。
今回はAtsukoさんにLIXILの選べる室内ドアから「ラシッサS」を中心としたコーディネートを考えていただきました。
\ 「スタイル手帖」とは? /
組み合わせて楽しめるLIXILの建材と人気家具店とのコラボレーションで彩る“私らしい”コーディネートレシピ集です。
※コーディネートはゲストのご自宅のインテリアではありません
※この空間に登場するアイテムリストは、ページ下部「
シンプルなアイテム選びで、ゆったりと流れる時間を演出
選べる室内ドア「ラシッサS」のプレシャスホワイトに合わせて、床は「ラシッサDフロア」のチェスナットFをチョイス。(全てLIXIL製品)
Atsukoさんがコーディネートしたお部屋のテーマは「大人のくつろぎ空間」。しっとりとした落ち着きと、柔らかさを兼ね備えた空間を提案してくれました。
Atsukoさん:「今回のお部屋は、二人暮らしを想定。同じ空間で過ごしていても、それぞれ自分の時間を楽しめる…。そんな自立したカップルを思い浮かべてコーディネートしました」
白い壁とドア、ナチュラルなホワイト系の床材が明るい空間と、穏やかな雰囲気を演出しています。
Atsukoさん:「あえて窓無しのドアにすることで“自分たちだけの場所”を演出することができます。シンプルさを大切にしたかったので、アイテムを置きすぎず、ドアも主張しすぎないプレシャスホワイトの色味をセレクトしています。ブラスゴールドの握り玉がインテリアのアクセント。床材もホワイト系の木目調のものを選び、壁色と調和させました」
アクセントの黒で優しい雰囲気を程よく引き締める
ポイントに取り入れられた黒アイテムで、空間に大人っぽさをプラス
木の風合いを生かしたナチュラルテイストの家具の中に置かれた、黒いチェアや照明が、部屋全体をモダンな雰囲気に仕上げています。柔らかさとシャープさの良いとこ取りをしたような空間演出です。
Atsukoさん:「家具は“優しさ”を感じられるような雰囲気になるアイテムをセレクト。でも、優しいだけでは大人の空間としてまとまりが悪いので、黒色のアイテムを取り入れてバランスを取りました。黒が多ければ多いほどクールな印象に、少ないほど柔らかな空間になります。偏りすぎないよう、アクセントカラーの黒は全体の20%を超えないように意識しました」
背の高いインテリアは控えめにし、リビングテーブルをあえて置かないという選択も特徴的です。
Atsukoさん:「部屋の真ん中の空間を、ぽっかりと空けたかったんです。空白をたくさん取り入れ、ダイニングテーブル、ソファ、ラウンジチェアの『くつろぎスポット』を3箇所作りました」
ひとつの空間にくつろぎスペースを複数取り入れるのは、Atsukoさんらしいコーディネートですね。
角張りと丸みのあるインテリアの投入で、メリハリのある空間に
ダイニングスペースで目を引くのが黒いチェア。個性的な形が愛らしく、角張ったテーブルとの相性もぴったりです。素材も色味も異なりますが、各々の特徴を引き立て合っています。
ダイニングチェアは「KOMAKUSA DINING CHAIR」(NIPPONAIRE)、テーブルは「DINING TABLE TUSKER」(NOWHERE LIKE HOME)
Atsukoさん:「このダイニングチェアを見た瞬間、今回のコーディネートの全体像が見えました。チェアの黒でテーブルとのコーディネートを引き締めつつ、なおかつ全体を包み込んでくれるようなニュアンスがとても気に入りました。マットな質感がシャープさとまろやかさを兼ね備えています」
“二人暮らし”を想定してのコーディネートですが、大きめのダイニングテーブルをチョイスした背景にも、Atsukoさんらしいこだわりが。
Atsukoさん:「お客さまも呼べるし、自分たちでテーブルコーディネートも楽しめる…。さまざまな用途に使うことを想定して大きめのサイズにしました。テーブルのどっしりとしたフォルムが、ダイニングチェアの柔らかさを引き立ててくれるので、今回のテーマにぴったりだなと感じました」
オブジェ風の小物をプラス。静けさの中にも遊び心を散りばめて
木のインテリアは親しみやすく、ほっとくつろげる空間を演出してくれます
Atsukoさん:「テーブル、TVボード、ラウンジチェアはいずれもチークの無垢材のものを選びました。床の色が明るいからこそ、その上に置くインテリアはリンクさせたいなと思い、この3点のテイストを揃えています。ホテルライクのような非日常さではなく、日常的に落ち着ける空間を目指しました」ラタンを編み込んだチェアは「LOUNGE CHAIR TUSKER」(NOWHERE LIKE HOME)。その脇には「LUCA STOOL UG」(ASPLUND)をサイドテーブル代わりに配置
個性的な形のサイドテーブルも、マットな質感で目立ちすぎることなく部屋全体に馴染んでいます。
Atsukoさん:「ゆったりとした空間演出にしたかったので、小物を多用していません。その分、椅子や机をオブジェっぽくして楽しんではいかがでしょうか。おしゃれなアイテムを足していくだけではなく、アイテムを控えてシンプルにすることでも、心地良い空間は作れるんですよ」
間接照明も個性的。ソファに負けないくらい存在感を放っています。ソファは「PANAMA SOFA」(ASPLUND)
アイボリーのソファは部屋全体とも馴染みよく、脚のない佇まいも安定感を感じることができます。
Atsukoさん:「ソファには、空間に溶け込みつつも『そこにあるから落ち着く』というどっしりとした安心感を求めました。“部屋の主”のようなイメージでしょうか(笑)。ソファに置いたクッションにもダークカラーを選び、ダイニングチェアに視線が集中しないよう工夫しています」チーク無垢材のTVボードは北欧風のナチュラルでシンプルなデザイン。「TV BOARD TUSKER」(NOWHERE LIKE HOME)
Atsukoさん:「ダイニングテーブルと同様に、TVボードもどっしりと四角いフォルムのものを選びました。大人らしい静けさは、シャープな要素があったほうが演出しやすいもの。男女ともにくつろげる空間を目指したので、あえて角張ったアイテムも多く採用しています」
柔・静・温を肌で感じるリラックススタイル
くつろぎスペースを複数作ったAtsukoさんのコーディネート。
和やかで心地良い空気が流れるこの部屋で、各々の「お気に入りポイント」でリラックスする姿が浮かびます。ユニークな形の間接照明やサイドテーブルなど、散りばめられた個性的なアイテムも使うほどに愛着が増していきそう。
家具に個性を求めることで、『飾りすぎなくても、素敵な空間は作れる』ということを教えてくれました。
・撮影:山田健司
・取材執筆:佐藤有香