タイルで、内と外をつなぐ。
インテリアとエクステリアの壁や床に同じデザインを用い、「内と外をつなぐ」ことを考えたとき、タイルは最適な素材のひとつと言えます。今回は、多くの事例をご紹介しながら、「内と外をつなぐ」素材としてのタイルの可能性についてお話ししたいと思います。
写真A01
写真A02
写真A03
※使用製品 ストーンタイプコレクション
写真B
※使用製品 ストーンタイプコレクション ボーダーL
写真C
※使用製品 アステルト
まずは、住宅の事例をいくつかご覧ください(写真A~写真C)。
内壁と外壁に同じ仕様のタイルを張ることで、窓をはさんで内と外がつながり、開放的で広がりのある空間を演出しています。街の音や風、季節を感じるバルコニーと、やすらぎと安心感があふれるリビング。2つの空間がつながったとき、守られていながら自由で広がりのある新たなリラックス空間があらわれます。
日本人は昔から、外の風景を内に取り入れる“借景”や、自然を描いた襖(ふすま)、あるいは内と外の境界をあいまいにする縁側など、「内と外をつなぐ空間」に慣れ親しんできました。日本人には「内にいても外を感じられる」ことを好む国民性があるのかもしれません。
写真D01
写真D02
写真D03
※使用製品 細割ボーダー
写真E01
写真E02
※使用製品 ラグナロック モデリッサ
LIXILでも「内と外をつなぐ」提案は以前からあり、その素材として、特に細いボーダータイプのタイルや凹凸差の大きい素材が多く使用されていました(写真D、写真E)。そのような「外壁タイル」をそのまま玄関やリビングに持ち込むことで、独特の高級感が醸成されます。
実は、写真A~Cや写真F、Gの壁に使用されているのも「外壁タイル」(ストーンタイプコレクション)です。外壁タイルは内壁タイルよりもざらっとした質感が特徴で、よりリアルな石の表情を持つものもあります。カタログの分類上は「外壁」となっていても、この石の表情を生かして、インテリアとして「内壁」に使うことができます。
写真F01
写真F02
写真G01
写真G02
タイルの表現の幅が大きく広がった現代では、焼き物らしい素材感、たとえば、土味のタイルや、ビンテージ感のあるレンガ調、木調や金属調のタイルで内と外をつなげるなど、好みに合わせてタイルを選ぶことができます。
※タイルの面状によっては家財や服などにキズや擦れが発生するものもありますので、タイル選びの時には実際にタイルに触って確認いただくことをおすすめします。
また、キッチンバックや浴室壁面には使用できない場合がありますのでカタログなどで使用条件のご確認をお願いします。
「内と外をつなぐ」デザインは、住宅に限らず、非住宅でも「広がりのある空間」を生み出します。写真H、Iでは、壁、床ともに、内と外を同じデザインのタイルを使用。外の風景から内へ境界なくつながり、エントランスから奥へ奥へと広がっていく印象的な空間を作り出しています。
写真H01
写真H02
写真H03
写真I01
写真I02
写真I03
写真I04
「内と外をつなぐ」デザインは魅力的ですが、内と外で求められる機能が違うため、同じ色柄、同じサイズで使える素材は限られてきます。
たとえば、雨がかかるような床面は「滑らない」ことが求められ、表面に細かな凹凸が必要になり、全体にザラッとした面状になります。一方、建物内の床面は「掃除のしやすさ」が優先され、ザラつきよりもツルツルとした表面が求められます。
タイルの場合、そもそも汚れがつきにくく、泥がついても雨が降ればある程度流れていくという特徴があります。さらに、防滑材を使う・使わないという加工の違いによって、見た目は同じまま「滑らない」ことと「清掃性」を高いレベルで両立できます。
また、タイルは水や光による経年変化がほとんどないため、経年によって内と外の表情や色の違いが生じる心配がありません。「内と外をつなぐ」素材として、タイルほど適した素材はないのではないでしょうか。
写真J01
写真J02
写真J03
長く続いたCOVID-19の影響もあり、明るさや風通しの良さが求められています。外につながる空間は、いまの時代に合ったデザインと言えるでしょう。
事例でご紹介したタイルの詳細もぜひご覧いただき、「タイルで内と外をつなぐ」ことをご検討いただけたらと思います。