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ものづくりLAB

―タイル名称統一100周年企画「タイルを創る」Vol.2―タイルの土のこと、もっと知りたい。

タイルの原料となる粘土は、複数の土の他、顔料などが調合されて作られる
タイルの原料となる粘土は、複数の土の他、顔料などが調合されて作られる

“土”の持つ個性、特性を活かした製品開発

DTLの製品を始め、LIXILのタイルは色や質感など様々バリエーションを展開しています。そして、その個性的な表情を作り出す大きな要因となるのが原料の「土」です。既製品だけでなく、特注品にも対応するなかで、クライアントが求める色と質感を表現し、さらにその品質を安定して製造するために、原料の調合とサンプル作りが繰り返されています。

焼物の原料となる土は、採れる土地によって様々な性質を持ち、焼き上がりの多彩な表情を生み出す

焼物の原料となる土は、採れる土地によって様々な性質を持ち、焼き上がりの多彩な表情を生み出す

タイルは主に「石もの」と呼ばれる磁器質の原料を用いたものと、「土もの」と呼ばれる粘土を用いたものに分かれます。日本における土もののタイルは、建築資材として使われていたレンガから発展したもので、素材もレンガと同じような原料を用いてきたことで、かつては赤みのある土色の製品が主流でした。ちなみにこのレンガやタイルが赤いのは、日本で採れる粘土の性質によるものです。近年では材料や製造工程の研究により、様々なデザイン、美しい仕上がりのタイルが人気ですが、昔ながらの“土っぽさ”や“焼き物らしさ”を感じさせる風合いのタイルも愛され続けています。実際にLIXILでは、重要文化財や歴史ある建築の補修工事において、当時のものを復元した建材を特注いただくケースも多くあります。

数千種類の“土の調合レシピ”から生まれる多彩なタイル

調合のための研究室には様々な産地の土が用意されている

調合のための研究室には様々な産地の土が用意されている

LIXILのタイル工場には、製造ラインの他に、原料の調合を行う研究室が併設されています。ここでは、常時20種類以上の性質の異なる土を用意し、開発担当者が調合レシピの製作に取り組んでいます。混ぜ合わせる土の分量を変えながら複数のサンプルを作っていくのですが、多い場合は1製品に8種類ほどの原料を掛け合わせる場合もあります。タイルは、同じ品質の製品を大量に必要とすることが多い建材です。また、一度開発したものを改修工事で再度製造することもあり、作り続けるなかで品質にばらつきが出ないようにすることも重要です。原料となる土は自然物で、産地で枯渇してしまうリスクもゼロではないため、複数の素材を混ぜておくことで、調合を変えても同じような素材で補い、可能な限り色や表情を再現できるように備えています。

製品に求められる色や質感を表現するため、土や顔料の調合を変えながら多くのサンプルが作られる
製品に求められる色や質感を表現するため、土や顔料の調合を変えながら多くのサンプルが作られる

製品に求められる色や質感を表現するため、土や顔料の調合を変えながら多くのサンプルが作られる

原料の調合では、青やピンクといったカラフルな色合いを出すために顔料を、表面の素材感を生み出すために骨材を入れることもあります。混ぜ合わせる素材によって、硬さや吸水率が変わるため、建材としての耐久性を持ったものになるよう調整するには、開発者のノウハウや、長年タイルづくりを続けてきたメーカーとしての膨大なデータが活かされます。LIXILには数千種類に及ぶ原料の調合レシピが蓄積しており、特注の際は、数種類から10種類以上のサンプルピースを製作し、使う人が納得のいくタイルを作るための体制を整えています。

※令和4年4月12日、それまで様々に呼ばれていた陶製の建築資材が「タイル」と名称を統一されて100周年を迎えます。

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