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機能LAB

ホテルの部屋のニオイは、低減できるか?

タイルは、デザインばかりでなく、「空気環境を整える」などといった“機能性”も進化しています。この機能LABでは、進化したタイルの“テクノロジー”を取り上げ、「機能性を持ったタイルによって、どんな空間のどんな快適をデザインすることができるのか?」を考えていきます。今回のテーマは、「ホテルの部屋のニオイ」です。

部屋のニオイが、リピート利用に影響する。

何度も訪れたくなるような、快適なホテルをつくる。そのためには、「部屋のニオイ」が重要な要素となってきます。
LIXILの調査では、ホテル利用者600人のうち56%の方が、「部屋のニオイが気になったら、その施設はリピート利用しない」と答えました。「リピート利用しない」と考えるものを聞くこの質問で、「部屋のニオイが気になった」は、「トイレの傷み・汚れ」とともに第1位となっています(図1参照)。同様の質問を旅館利用者200人に対して行った結果でも、45%の方が「部屋のニオイが気になったら、リピート利用しない」と答えています。宿泊者が次々と変わる客室では、部屋に染み付いたニオイが気になるものだということが、調査結果にもはっきりと表れました。

(図1)

Q. 客室の設備について『この施設はリピート利用しない』と考えるものをお知らせください(いくつでも)。(ベスト5をご紹介します)
この施設はリピート利用しないと考えるものの図
この施設はリピート利用しないと考えるものの図

また、ホテル・旅館の利用者およびスタッフに対して、「客室に入った際の『部屋のニオイ』は気になりますか?」とたずねたところ、利用者・スタッフともに60%以上の方が「気になる」と答えています(図2参照)。「たまに気になる」まで含めれば、なんと9割以上の方が「ニオイ」を気にしていることがわかりました。

(図2)

Q. 客室に入った際の「部屋のニオイ」は気になりますか?
部屋のニオイは気になりますか?の図
部屋のニオイは気になりますか?の図

機能性タイルで、部屋のニオイは低減できるか?

「何度も訪れたくなるような、快適なホテル・旅館」になるためには、「部屋のニオイ」に気を配る必要があることは間違いありません。では、この課題に対して、機能性を持ったタイルは、どこまでこたえることができるのでしょうか?

中野サンプラザホテルでは、モダンで快適な安らぎの客室空間を提供するために、機能性タイル(エコカラットプラス)を、天井と壁面の接する上部に施工。LIXILでは、エコカラットプラスがホテルのニオイに対してどのくらい効果的なのか、中野サンプラザホテルのご協力のもと、ニオイのモニター評価を実施しています。

(写真1)中野サンプラザホテル 照明下での客室

(写真1)中野サンプラザホテル 照明下での客室

(写真2)壁面上部がエコカラットプラス

(写真2)壁面上部がエコカラットプラス

この検証試験で取り上げたのは、ホテルの客室で問題となりやすい「タバコ臭」と、食物のニオイの代表として「キムチ臭」です。チェックイン後に、ある部屋ではタバコ10本を喫煙する、別の部屋ではキムチ320gを食べることを想定し、翌日のチェックアウト時に臭気濃度とニオイ容認率を確認。この試験結果を、機能性タイル(エコカラットプラス)の施工前と、施工後で比較調査しました。

※臭気濃度:臭気のある気体を無臭空気で希釈し、ニオイが感じられなくなった希釈倍数。数字が大きいほどニオイが強い。ニオイ容認率:そのニオイを受け入れられる人の割合。
※詳しくは【ニオイのモニター評価 試験方法】を参照。

(図3)

タバコ臭
タバコ臭 臭気濃度の変化
タバコ臭 ニオイ容認率
タバコ臭 ニオイ容認率
キムチ臭
キムチ臭 臭気濃度の変化
キムチ臭 ニオイ容認率
キムチ臭 ニオイ容認率

※部屋の使用条件、気象、換気などの環境条件によって異なります。

その結果(図3)、「タバコ臭」は機能性タイルを施工したことで臭気濃度は約半分となり、そのニオイを容認する人も22%増加しています。「キムチ臭」に関しては、施工後、臭気濃度は80%も低減。ニオイを容認する人も17%増えています。機能性タイルが、「ホテルの部屋のニオイ」というストレスを低減するための対策になり得ることがわかります。

(写真3)エコカラットプラスの拡大写真

(写真3)エコカラットプラスの拡大写真

この機能性タイル(エコカラットプラス)が、なぜ、ニオイを低減するのかについて、簡単にご説明します。エコカラットプラスには、目に見えないナノサイズの孔(あな)が大量にあります(写真3)。この孔がニオイや湿気を吸着するのに最適で、非常に優れた空気洗浄力を発揮するのです。ゼロエネルギーで活躍するので、環境にもやさしい建材と言えます。
(詳しくはこちら。)

最後にもうひとつ、名古屋JRゲートタワーホテルの事例をご紹介します。
JR名古屋駅に直結したこのホテルでは、快適に過ごせる癒しの空間を追求。機能性とデザイン性を両立させることを目指し、エコカラットが採用されました。写真のベッド側の壁面がエコカラットです。「脱臭」とともに「調湿機能」に優れ、客室内の「空気の環境向上」に寄与するほか、「上品で温かみのあるインテリアデザイン」としても評価されています。
今回は「ホテルの部屋のニオイ」に焦点を当てましたが、エコカラットは非常に多くのデザインが提案されていますので、下記リンクよりご覧いただければと思います。

(写真4)名古屋JRゲートタワーホテル 客室

(写真4)名古屋JRゲートタワーホテル 客室

(写真5)ベッド側壁面のエコカラット(内装壁タイル:ECP-315/RAX2相当品)

(写真5)ベッド側壁面のエコカラット(内装壁タイル:ECP-315/RAX2相当品)

*ご紹介した調査概要は下記になります。

【宿泊施設に関する調査】インターネット調査/2017.LIXIL
●利用者:1 年間にプライベートで国内ホテル(シティ・ビジネス・リゾート)に宿泊した20~79歳男女、n=600、旅館に宿泊した20~79歳男女、n=200
●スタッフ:国内ホテル(シティ・ビジネス・リゾート)・旅館に勤務する20~69歳男女のうち、フロントクラー・ハウスキーピング・客室係・支配人・施設管理(設備・清掃)等に従事している人、n=300

【ニオイのモニター評価 試験方法】
●通常宿泊環境において、1泊でのたばこの喫煙または、キムチを食べた想定に基づき (たばこ:10本 キムチ:320g)、たばこ臭とキムチ臭を発生させ、1泊時の客室臭気の評価をエコカラットプラス施工前後において実施。(評価期間中は、空調及び、換気扇は停止した状態) エコカラットプラス施工前後において、臭気捕集による三点比較式臭袋法での臭気濃度 測定及び捕集臭気で非容認率の測定を行いました。ホテル客室43m3に対して、エコカラットプラスは4m2施工しました。
※非容認率とは:そのニオイを“受け入れられない”と回答した人の割合

*エコカラットは、通産省工業技術院名古屋工業技術研究所(現独立法人産業技術総合研究所 中部センター)共同開発商品です。
*ご紹介した試験結果は、弊社試験結果であり、使用条件、気象・換気などの環境条件によって異なります。

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