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―タイル命名100周年企画「タイルを創る」Vol.1―タイルの「焼く」をもっと知りたい。

窯の中のタイルの様子
窯の中のタイルの様子

“火”によって生まれる魅力的なタイルの表情

「焼き物」であるタイルは、製作時の火の扱いによってその性質や表情をコントロールされています。この焼成(しょうせい)と呼ばれる工程において、大きく分類される手法が「酸化焼成」と「還元焼成」です。酸化焼成は、ガスなどの燃料が窯の中で不完全燃焼することなく、十分な酸素と共に燃える状態で行われるもの。一方、還元焼成は酸素が少ない状態で不完全燃焼の状態を作り焼いていくものを指します。この焼成方法の違い、そして温度の差などにより、タイルの原料に含まれる成分との化学反応が変化し、色や表情に個性が生まれるのです。

内海粘土

ともに内海粘土

内海粘土

酸化焼成(十分な酸素のなかで、1200℃前後の高温で焼く)したもの

内海粘土

還元焼成(酸素が不十分ななかで、1200℃前後の高温で焼く)したもの

帝国ホテルで用いられた黄色のレンガの再現実験では、温度や焼成方法を変えながら、実物に近い表現を探った

かつて「帝国ホテル」に施工されたレンガを再現するプロジェクトにおいては、知多半島の「内海粘土」を用いて、焼成方法と温度を変えながら複数のサンプルを作り、現物と比較を行っていきました。950度付近では、明るく赤っぽさの残る表情であったのに対し、温度を上げるごとに、より土っぽさのある落ち着いた色合いに変化していきます。また、酸化焼成時は明るい色合いとなり、還元焼成時は濃い暗めの色合いに近づきました。このプロジェクトでは、1200度前後、十分な酸素の中で酸化焼成されたものが、当時の黄色のレンガに近いものとして導き出されました。

タイルづくりの歴史と経験が上質な製品を生む

窯に入れるタイルは、焼きムラなどが生まれないよう人の手で一つずつ並べられていく

窯に入れるタイルは、焼きムラなどが生まれないよう人の手で一つずつ並べられていく

タイルの製造工程では、原料の調合から焼成までにも複数の段階が存在します。まず、原料の粘土に20%程度の水分を加え、成形しやすい状態にします。その粘土を捏ねて金型に押し込み、タイルの形に整え、次に乾燥室で水分を飛ばしていきます。タイルの形状やサイズによって乾燥できる時間や最適な温度は異なり、3日間から長いもので5日間をかけて乾燥工程が行われます。そして、釉薬をかけて窯に入れるための棚板に並べられていきます(無釉品もあり)。

窯の中
窯の中

窯の左右の壁にはガスによる火の吹き出し口があり、火と熱が窯の中でうまく対流するように配されている

続いて工場に並ぶ、大きな窯の中に台車を入れ、焼成が始まりますが、窯内部の火の吹き出し口の位置にも工夫が施されています。窯の両端にある火の吹き出し口は、左右で非対称の位置にあり、焼成中に窯全体で火と熱が対流するようになっているのです。ここからはタイルの形状や釉薬によって、数時間から2日間ほどをかけて焼成と放熱が行われていきます。火の強さや温度、焼成にかける時間は機械で制御されているとはいえ、それを決定する基準は、熟練の職人たちの経験とデータによるものです。大量に同じ品質の製品を生み出すために、すべての工程を徹底的に管理するシステマチックな部分と、土という有機物に思い通りの表情を与えるための“人の感覚”が融合したものがタイルと言えるのではないでしょうか。

※令和4年4月12日、それまで様々に呼ばれていた陶製の建築資材が「タイル」と名称を統一されて100周年を迎えます。

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