柘植審査委員長総評

本年度コンテストの特徴は、建築内外の良好な関係性に寄与するフロントサッシ(店舗用建材)の事例が多く、審査に当たりこうした点を注視しながら選抜を行った。

内外の関係性とは、建築内の人の生活や活動と、建築外の様々な要素及びそれらの総体としての環境との間に生まれる様々なコミュニケーションである。環境には生物が生存するために必要な自然の状態と、人が生活するために必要な社会的な条件がある。近年注目されるESGやSDGsといった基準は、主に自然環境と社会環境に大別でき、その改善を意図している。自然環境は、気候、地形、水質などの自然の要素が組み合わさった状態を指す。それは大気、水、土地、森林、都市及び農村などが含まれる。社会環境は、人々が暮らし、働き、交流する社会全体の物理的、文化的、経済的な活動により形成される社会全体の状況である。この概念は多岐にわたり、文化、経済、政治、教育ほか様々な要素が含まれる。こうした自然環境と社会環境を構成する要素からは視覚、聴覚他いわゆる感性を刺激する情報が発せられる。

大切なことは、その過程で建築内外を仕切るフロント開口部を通過することである。つまり開口は多様な情報の質や量をコントロールできる装置であり建築内外の多様な関係性をつくり出す。審査ではこうした視点からフロントサッシ(店舗用建材)の特性を踏まえて、人と環境との関係性をどのようにコントロールして、どのような結果をもたらしたのかを精査した。快適性、機能性、デザイン性、将来性を考慮して理想的な内外の関係性を提示し、特に人と地域、社会、地球環境の未来に対して開口部・フロントサッシのあるべき姿を構想した作品を評価・贈賞対象とした。

小規模施設部門

大規模施設部門

新商品賞(スリムファサード)

特別賞