住宅収納スペシャリスト・ぱぱらくさんの新連載
「マイホームを建てよう」そう思い立ったとき、
「間取りを考えるのが難しい」「間取りで後悔しないか不安」「いろんな間取りがあり、何を選べば良いかわからない」・・・ と思うことはありませんか?
今月から「Living Deli」では、家づくりに詳しい住宅収納スペシャリストであるぱぱらくさん監修のもと、「これから家づくりをする人」のためにおすすめの間取りをガイドしていきます。
記念すべき第1回コラムでは、以下の順番に解説していきます。
間取りはどう決めれば良いのか?
はじめまして、住宅収納スペシャリストのぱぱらくです。
今回から、みなさんの後悔しない家づくりをサポートしていきますね。
はじめにお伝えしたいことは、「間取りの正解は家族によって違う」ということです。
間取りは一長一短で、必ずメリットとデメリットがあります。
「デメリットも理解したけど、自分たちの家族にとってはメリットの方が大きいな、だから採用!」という風に考えつつ、工務店やハウスメーカーの方と一緒に間取りを作っていくのがおすすめです。
これから家づくりを始める人のために、間取りを決めるまでの流れを紹介します。
- ①情報収集
- ②家づくりノートを作る
- ③ノートをもとに、設計担当と間取りを決める
もちろん、これ以外の流れを否定するわけではありません。
あくまでもおすすめする一例としてご覧いただければ幸いです。
①情報収集
<ポイント>
・WEBサイトとSNSを両方活用する
・カタログ請求も積極的に活用
・雑誌よりは本がおすすめ
この記事をご覧の方なら、おそらくSNSでも家づくり系のインスタグラムアカウントをフォローしているのではないでしょうか。WEBサイトとSNS、両方から情報収集することで間取りのメリットデメリット、実際に住んでいる方の意見を効率よく集められると思います。
気になる工務店やハウスメーカーがあれば、気軽にカタログ請求をしてみましょう。
WEBサイトよりも間取りの施工事例が詳しく載っていたりします。
コンビニや本屋でインテリア雑誌が目に付くと思いますが、間取りを考える上では雑誌よりも本をおすすめします。個人的におすすめなのは図書館で間取りに関する本を数冊借りること。
トレンドも良いのですが、数十年住むことになるマイホームです。自分にあった間取りにするため、色んなところから情報収集するのがおすすめです。
②家づくりノートを作る
ここで大事なのは「情報収集したうえで、家族の思いをまとめる」ということ。
良い間取りというのは住んでいる人”全員”が納得した間取りです。
・旦那さんの希望ばかり採用されて、家事がしにくい間取りになってしまった
・奥さんの希望ばかり採用されて、間取りにあまり納得していない
こんな風になってしまってはもったいないです。
家づくりや間取りなんてものは「自分たちの好きな暮らし」を実現するための手段でしかありません。情報収集と同時に、家族みんながどういう暮らしがしたいのか一目でわかるものを用意しましょう。
③ノートをもとに、設計担当と間取りを決めていく
実際に間取りを決める際は、法律や建築の知識が必要ですので設計担当の方と進めていくことになります。
家づくりノートを作っておけばそれを設計担当の方に渡すだけで要望が伝わり、間取りを決めるのもスムーズになるのでおすすめです。あと、ノートを作っておくと設計の方が気の利いた提案をしてくれることも。
我が家の経験ですが、間取りの希望として「子供を見ながら家事ができるカウンターキッチンにしたい」とノートに書いていたんですね。ただ家の形状からすると採用しにくい。
そんなとき、設計の方が、「この間取りはどうですか?カウンターキッチンではないのですが、キッチンにいながら家族がどこにいても気配が感じられます」と提案してくれました。
「なぜこの間取りを取り入れたいのか」までノートに書いて設計の方に見せておくと、間取り決めがスムーズに進むのでおすすめです。
人気の間取り一覧
ここからは、まずは知っておきたい人気の間取りを「住宅収納スペシャリストぱぱらくが見た注目ポイント」付きで紹介していきます。
・回遊動線

回遊動線とは、1つのスペースに色んな箇所からアクセスできる間取りのこと。
家の中に行き止まりがなく自由にぐるぐる回れるため、動線を短くすることができます。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①移動時間が少なくなるため、時短になる
②特に水回りはおすすめ(キッチン、ダイニング、お風呂)
③ただし間取りに制限が出る場合も。大事なのは家事動線を短くすること。「回遊できる間取り」にとらわれすぎないように!
・シューズインクローゼット
「お部屋事例集」より
シューズインクローゼットは土間収納と同じ意味でも使われる、玄関とつながる収納スペースです。
アウトドア用品やベビーカーなど、「屋内には入れたくないけど完全屋外も困る」というものを収納するのにとても便利。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①場合によっては自転車などを入れる場合も。何を収納するかよく考えよう
②防災用の水や食料、ゴミ・ダンボールの一時仮置きにも便利
③ガレージや屋外倉庫を置けるならその方が安く済むので、大きさはよく考えよう
・キッチンパントリー
「お部屋事例集」より
パントリーはもともと食料庫という意味で、キッチンとつながった収納スペースです。
常温保存できる食品のストックや生活用品を収納できます。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①お弁当箱やお菓子作りセットなど、かさばる物が多い家庭には特におすすめ
②お米や水のストックなど、どれだけのスペースが必要かはよく考えよう
③奥行きは30cm程度がおすすめ。奥に収納した食品は使いづらい
・ワークスペース
「お部屋事例集」より
ここ2〜3年で在宅勤務するようになった人も多いのではないでしょうか。
ワークスペースがあると夫婦の仕事や作業はもちろん、子供たちの読書や宿題スペースにもなります。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①個室にこだわらなくても、半個室やカウンターを設けるだけでも作れる
②ダイニングやキッチン付近にあると家事の合間の休憩場所にもなる
③しっかり作業するなら、書類の収納やコンセントも考える必要がある
・ウォークインクローゼット
「ヴィータスパネル」(LIXIL製品)
ウォークインクローゼットは歩いて出入りすることのできるクローゼットです。
収納力が高く、家族の衣服をまとめて収納することもできます。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①ファミリークロークとして使うと衣服の総量がわかりやすく、管理しやすい
②回遊動線にしておくとさらに使いやすい
③使わないモノを置いておく物置になってしまわないよう注意
・ランドリールーム/サンルーム
ランドリールームは洗濯をするためのスペース。サンルームは太陽光が取り入れられるようになっていて、室内干しができるものです。
お風呂やウォークインクローゼットに近い場所に作ると、洗濯動線がよくとても便利になりますよ。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①天気や虫を気にせず洗濯ができる
②回遊動線にしておくとさらに使いやすい
③湿度に注意。換気や除湿機能など、湿気対策を一緒に考えると良い
・洗面所収納
洗面所や脱衣所には意外と多くの収納が必要です。
間取りを考える時にはじめから検討に入れておくと便利なのでおすすめ。
シャンプーやボディソープなど、浴室用品のストックなんかも収納できますよ。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①バスタオルや下着、パジャマの収納が便利
②美容グッズや掃除用品のストックにも使える
③おすすめは幅1m、高さ1.8m以上
・対面型キッチン
キッチンは「ノクト」/室内ドアは「ラシッサD ヴィンティア」のラフオーク。床材は「ラシッサ Dフロア」のラフオークF(全てLIXIL製品)
カウンターキッチンとも呼ばれます。キッチンで料理をしながらリビングが見えるので、家事をしながらでも家族の様子がわかり、会話することもできます。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①キッチン内部が見えにくいので、いつもキレイにしなくてもOK
②ダイニングとくっつければ、配膳がとても楽になる
③夫婦や家族で料理するなら、通路幅の確保が必要
・水回りをまとめる
「お部屋事例集」より
水回りをまとめるとは、キッチン・お風呂・洗濯機を近い位置に配置するということです。家事は水回りで行われるものが多いため、特に洗濯をする時の動線がよくなります。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①回遊動線にするとさらに便利になる
②配管をまとめられるので、施工コストが安くなる
③間取りの制約を受けやすいので、設計の方とよく相談すると良い
・リビング続きの和室
畳は「アクセント畳」のグリーン、床材は「ラシッサ Sフロア」のクリエダークF。室内引戸は「ラシッサS」のクリエダーク(全てLIXIL製品)
赤ちゃんをお世話するスペースにもなるし、来客時は寝室としても使えます。仏壇も置けますね。引き戸を開けるとリビングとつながって開放感が出せますし、何かと使い勝手が良いと思います。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①小上がりにすると座ったり立ったりが楽になります
②引き戸を閉めると独立するので、ワークスペースとしても使える
③1部屋増やすことになるので、当然ですがスペースが必要
・玄関の独立洗面台
独立洗面台は「どこでも手洗」のカウンター(ムージャンホワイト/ホワイト)手洗器セット(マットホワイト)。(LIXIL製品)
ここ数年で必要性が高まってきた間取りです。玄関に入ってすぐに手を洗えるスペースですね。家族だけでなくお客さんにも手を洗ってもらいやすいです。
【住宅収納スペシャリストが見た注目ポイント】
①子供や来客にすぐ手を洗ってもらいやすいのが便利
②メインの洗面台ではないので、収納などを気にせずおしゃれな空間を演出できる
③単純にコストアップになる
本当にやって良かった、おすすめの間取り
ここからは、ぱぱらくがマイホームに取り入れて本当に良かった、おすすめの間取りを実際の写真付きで紹介します。
①1階にファミリークローク
老後のことを考えて1階で生活が完結するようにしており、家族全員の衣服をここに収納。ざっくり4分割していて1人分のスペースが決まっているので、服を持ちすぎていないかの判断ができるようになっています。
ハンガーの下は無印良品の引き出し収納、天井付近は帽子や紙袋などの軽いもの。ブレーカーもここにあります。
②シューズクローク・土間収納
予算の関係で家を大きくすることができず、1畳程度しか作ることができませんでした。
もともとの間取りプランには土間収納がなかったのですが、こちらから提案して作って大正解。これがなかったらと思うとゾッとします。
アウトドア用品、工具、防災用品、ゴルフバッグなどを収納。ゴミの仮置き場としても。
③リビング収納
普段のかばんやおもちゃ、DVDやゲーム類を収納しています。
2階に子供部屋があるんですが、小さい子供って結局親が見えるところでしか遊ばないんですよね(笑)。リビングベンチの下は絵本収納にしています。
④キッチンパントリー
我が家のキッチンはI型(壁付け)で収納があまりないので、近くにパントリーを設置しました。
腰より下にはお米やお水、重たいストック用品、胸の高さはカフェグッズや文房具などの小物類、高い棚にはインスタント類やお弁当箱など、軽い物を収納しています。
⑤建物の中央に階段
何気なく使っていて気づきにくいのですが、建物の中央に階段というのは各部屋への動線が短くなり便利なのでおすすめしたい間取りです。
我が家の場合はリビング階段というわけでもないのですが、家に帰ってから子供部屋まで誰とも顔を合わせない・・・みたいな状況にはなりません。
2022年現在、長男は7歳で次男は3歳。反抗期が怖くもあり楽しみでもありますね(笑)。
⑥物干しテラス
我が家が一番優先させたのは家事動線でして、物干し場所が1階にある間取りになっています。
洗濯動線は「洗濯→干す→取り込む→収納」まであるんですが、その動作が半径2mほどのスペースに全て収まっています。本当に便利なので、かなりおすすめしたい間取りですね!
⑦洗面所収納
先述したとおり、洗面所は意外と多くの収納が必要な場所。我が家は壁一面に収納を設置しました。実際採用してみてやはりおすすめしたい間取りです。
一番下の段は別で洗濯したいおしゃれ着を入れるかごが置いてあり、お風呂掃除グッズのストックもここ。腰の高さに家族の下着やパジャマなど普段よく使うものが入っています。上の段は美容グッズや薬、生理用品など。
全て無印良品のやわらかポリエチレンケースを入れており、サイズを合わせて棚を作っています。
自分に合った間取りは人それぞれ。夫婦で要望をまとめよう!
ここまでの内容を改めてまとめます。
まず、間取りを決めるまでの流れは大きくわけて3つあります。
- ①情報収集する
- ②家づくりノートを作る
- ③ノートをもとに、設計担当と間取りを決める
この記事を含めネット上にはたくさんの情報があります。しかし間取りの正解は人それぞれ。家族でどういう暮らしがしたいのかという要望をまとめて、それをもとに工務店やハウスメーカーの方と間取りを決めていきましょう。
それでは、次回もお楽しみに。
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【この記事で紹介した間取り】
人気の間取り一覧
- 回遊動線
- シューズインクローゼット
- キッチンパントリー
- ワークスペース
- ウォークインクローゼット
- ランドリールーム/サンルーム
- 洗面所収納
- 対面型キッチン
- 水回りをまとめる
- リビング続きの和室
- 玄関の独立洗面台
ぱぱらくおすすめの間取り
- 1階にファミリークローク
- シューズクローク・土間収納
- リビング収納
- キッチンパントリー
- 建物の中央に階段
- 物干しテラス
- 洗面所収納