こんにちは、PINT代表の中地です。
過去2回のコラムでは私の愛用している商品と素材の紹介をしましたが、今回は毎日のお気に入りのワンシーン、コーヒーの時間をご紹介します。
仕事の合間を癒しのひと時にする、コーヒーグッズ
PINTは京都に実店舗があり、営業時間は午後のみ。午前中はオンラインショップや商品企画、別注製作などの業務をしています。
私はコーヒーが好きなので、朝店に着いてから、仕事を始める前に淹れて楽しんでいます。
店の一角に小さなシンクを設けて、キッチンコーナーに。リンゴ箱を積んで、その上にペイントした板をのせています。
キッチンコーナーは、バックヤードではなく店内の一部として、実際に使っているPINT商品の経年変化の展示サンプル、オリジナル商品の試作品、私物や古物などを置いています。過去の試作サンプルが買えたりもする、混ぜこぜスペースです。
営業時間外にはミニキッチンとして使っていて、ここでコーヒーを淹れたり、お弁当を食べたり。PINTの商品を色々実験して楽しんでいます。
木製の茶筒をコーヒー豆ケースとして愛用
PINT「ろくろ挽きの欅の木の茶筒」
PINTの初期、8年ほど前からずっと扱っている「欅の木の茶筒」。40年以上茶筒を製作されている職人の技で、これ以上にできないほど精度の高い茶筒です。
欅をろくろで削って作っていて、本体・内蓋・外蓋全て欅の無垢材。オイル仕上げのため、木は呼吸を続けていて調湿作用もあります。密閉度はかなり高く、湿気を逃してくれるので、茶葉にとって良い状態になるのです。
緑茶に限らず、中国茶やハーブティーの茶葉を入れて使ってくださる方も多いですが、ときどき珈琲豆に使うお客さんもいて、私もマネして使っています。
元々は茶葉を入れる用途なので、水や洗剤などで洗いません。
中に入れる茶葉の種類を変える際、前の茶葉の香りが残って気になれば、炒った古い茶葉を入れ、ひと晩置いて香りを取る程度。
一度珈琲豆を入れると油分がしっかり内側に付くので、基本的には珈琲豆専用になります。
茶筒の外側は使う度に手で触るので、色濃く、艶が出て美しく経年変化していきます。
珈琲豆の場合は茶葉とは違って、内側も豆の油分で色がどんどん濃くなるので、その表情の変化を楽しみたい方におすすめします。
(密閉性だけで言えば、ゴムパッキンや金属の方が高いと思います。)
コーヒーメジャーは木とは違う素材で薄いものがいいので、カリタのステンレス製のものを使っています。
手軽に楽しむには小さめの電動コーヒーミルを
デロンギ「うす式コーヒーグラインダー KG79J」
珈琲は豆で購入して、飲むときに挽いています。店にいると、たっぷりと待っている仕事がどうしても気になるので、手軽な電動ミルで。
店は狭いし一人なので、小さなものを選びました。
店の近くや通勤路には焙煎した豆を販売している美味しい喫茶店も多いので、豆の種類や挽き具合など、色々と試しています。
個人的には苦味がしっかりある、昭和の喫茶店タイプの味が好みです。
まろやかな味わいを引き出す、焼き漆で仕上げた鉄瓶
PINT「鉄瓶 鶴首 1.0L」
お湯を沸かすのは鉄瓶で。
白湯を飲むとわかりやすいのですが、鉄瓶の鉄分で、水がまろやかな感じになります。
コーヒーを淹れた時のはっきりした違いは細かく説明はできませんが、個人的には鉄瓶を愛用しています。
さらに湯垢が付いて錆びにくくなって育つ経年変化と、鉄の素材感を愛でて楽しむことができます。
PINTで扱うこの鉄瓶は、山形鋳物。
手作業の工程も多い製法で薄造り、漆の焼き付けで仕上げた色と質感が特徴です。容量1.0Lと小ぶりで、一人でも、数名の来客時にも使い勝手の良い大きさ。小さめな分、軽いのも嬉しいところです。
カセットコンロは今はない形と質感が好きで、中古で買った古い型番。鉄瓶の底面積が小さいので、五徳をのせて使用しています。
素材感を楽しむ、陶器と真鍮のコーヒードリッパーセット
「コーヒードリッパー 黒 焼き締め」「コーヒードリッパー用 真鍮台」「コーヒーサーバー 黒 焼き締め」全てPINT
コーヒードリッパーは、急須を中心に製作する三重県四日市の南景製陶園のコーヒー器具セットを愛用しています。急須のほかにも、茶器やシンプルなうつわ類、コーヒー器具なども製作しています。
(Living Deliでも同じく、南景製陶園の急須や陶器を取り扱い)
ドリッパー、真鍮台、サーバーの3点を組み合わせて使っています。
ドリッパーとサーバーは陶製で、釉薬をかけずに高温で焼成した焼締めで、きめ細かな土の素材感が特徴。ドリッパーには市販のコーヒーフィルターをセットして使っています。
サーバーを使うときは、熱々を1杯、残りは冷ましながらちょっとずつ飲んでいます。サーバーを使わずに、ドリッパーと真鍮台をカップにのせて1杯分だけ淹れることも。
何度も同じ言葉が出てきてしまいますが、特にたまらないのが真鍮台の素材感と経年変化。また、この真鍮台はカップの中が見やすく注ぎながら量が把握できるので、使いやすさも抜群なのです。
うつわは気分や季節に合わせて選ぶ
うつわはあまり詳しくないのですが、素材や仕上げなどには興味があるので、実験を兼ねつつ、そのときの気分に合わせて色々なうつわを選んでいます。
陶器、磁器、焼締め、耐熱ガラス、木+漆、竹+漆、紙+漆など。厚みや飲み口の形で使い心地が変わってくるので、それぞれの違いを楽しみながら試しています。
寒い時期には厚みもあって、柔らかい口当たりの陶器や漆器を選ぶのが好みです。
ドリップで淹れるコーヒーの温度なら、持てないほどうつわが熱くなることも少ないので、手で温かさを感じられる取手なしのものを使うことが多いです。
素材感と経年変化を楽しむコーヒーグッズで、癒しの一杯を
今回は普段のコーヒー時間をご紹介しました。
素材感と経年変化への愛情が目立ちますが、あくまで日常の、気取らない、私なりのコーヒー時間と道具の使い方としてご覧いただけたらと思います。
コーヒーに限らず、道具を選ぶ上では「使う毎回、毎瞬間が楽しいこと」が一番大事。
だからこそ、経年変化が美しく、天然素材をそのままに活かしたものを選んでいます。
使う度に育ち、汚れや傷がついても悲しまず、むしろ味として楽しめる、日々の生活にそんな幸せな瞬間が増えます。
また、色々な素材や形を試すことは、新たな使い心地の発見にもつながります。それぞれに向き不向きがあるし、自分の気分にもよっても良いものは変わる。正解がないからこそ、終わることのない小さな発見を楽しめるものです。
統一感や専門道具で揃えるよりも、“もの”のありのままを受け入れながら、色んなテイストを混ぜこぜで使っていくのも時にはいいのではないでしょうか。
PINTを始めた理由そのものですが、私は「“もの”の生まれ方」や「日々の暮らしの中での“もの”との関わり方」に一番の関心があります。
PINTのWEBサイト、「みんなのどうぐ」「みんなの使い方」という取り組みにも表れているので、興味がありましたらぜひご覧ください。
皆さんも、自分なりの心地よい暮らしの時間や、“もの”との楽しい付き合い方を深めてみてくださいね。
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