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ものづくりLAB

―タイル名称統一100周年企画―
ツバメアーキテクツ×LIXILやきもの工房
ツバメとつくるタイル 第二回

なぜか気になる「みたらしタイル」

「みたらしタイル」のサンプルをじっと見て、触って違いを確かめる。化粧釉薬の色や表情、光沢感と、素地の質感との対比などがおもしろい。

化粧の色ががらりと変わるおもしろさ

絵柄となる化粧釉薬の素地への掛け方に偶然性があらわれる「みたらしタイル」は、4人の気持ちを大きく動かした。素地はパウダー状の粘土を金型に充填し、圧力成型した乾式プレスタイル。ツバメはそこに掛ける化粧釉薬のイメージを「土の色に」と芦澤さんに依頼。さらにその印象をドロドロ、サラサラ、その中間の3つにしたいと伝えた。芦澤さんは「土の色とか、泥染めのイメージが希望だったので、粘土を水で溶いた泥を化粧材料として使ってみました」。ドロドロ、サラサラの具合は、泥に混ぜる透明釉薬の量で調整した。千葉元生さんは「透明釉薬の量の違いで、こんなに色がちがうんだと驚きました。泥だけのときはマットな色味なのに、透明釉薬が入ると光沢が出て、違う色に見えるのがおもしろい」。4人とも驚いた現象だ。「使い分けても、一緒に並べてもいいですね」。顔料を混ぜて着色したサンプルもつくられた。使用面で課題となったのは化粧材料が掛かっていない素地の露出部分の汚れやすさ。次回の試作として、防汚のために透明釉薬を全体にスプレー掛けし、コーティングしたサンプルを依頼し、検討することにした。

左/泥に透明釉薬を多く混ぜて、流し掛けしたサンプル。透明度の高い光沢感とマットな素地との対比が際立っているのが魅力。
右/300角を使い、サイズ感を検討するため、焼成後にさまざまな大きさにカットしてある。カットしてずれたとたん、おもしろみが出る。

左/泥を顔料のクロマイトで着色し、少なめに透明釉薬を混ぜたサンプル。ディップにより鳥の姿のような空白ができて表情が生まれた。
右/流し掛けもカットする方向やサイズによって、まったく違う印象のタイルができあがる。

「みたらしタイル」のサンプルをつくるにあたり、化粧手法、化粧材料、泥に混ぜる透明釉薬の量によるバリエーションを芦澤さんがチャート化してくれた。ツバメが選ぶ参考資料とした

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