今すぐはじめる地震対策
自宅の備えや取り組み方法を解説

2021.11

今すぐはじめる地震対策|自宅の備えや取り組み方法を解説 今すぐはじめる地震対策|自宅の備えや取り組み方法を解説

地震はいつどこで起こるかわかりません。地震に備えてしっかりと対策を行いましょう。
ここでは家具の置き方や備蓄の内容、安否の確認方法や避難経路の確認方法などをご紹介します。家族構成や生活スタイルに合った対策を取り入れ、安全への意識を高めましょう。

地震対策の重要性

※地震調査研究推進本部2018年1月発表より ※地震調査研究推進本部2018年1月発表より

大地震の年表を表示

  • 1993年 北海道南西沖地震 発生 M7.8
  • 1994年 北海道東方沖地震 発生 M8.2
  • 1995年 兵庫県南部地震 発生 M7.3
  • 2003年 十勝沖地震 発生 M8.0
  • 2004年 新潟県中越地震 発生 M6.8
  • 2007年 新潟県中越沖地震 発生 M6.8
  • 2008年 岩手・宮城内陸地震 発生 M7.2
  • 2011年 東北地方太平洋沖地震 発生 M9.0
  • 2016年 熊本地震 発生 M6.5、M7.3
  • 2018年 北海道胆振東部地震 発生 M6.7

※地震調査研究推進本部2018年1月発表より

日本は、火山活動が活発な環太平洋変動帯に位置しています。そのため世界の0.25%という少ない国土しか持たない国ですが、地震の発生回数は全世界の18.5%ときわめて高い数字となっています。日本における有感地震(震度1以上)の回数は1年間になんと1000〜2000回と言われています。平均すると1日当たり3〜6回ほど。
南海トラフ地震や首都直下地震など近い未来に発生する可能性のある巨大地震についての予測もあることから、今のうちに地震対策をしておくことがとても重要です。

自宅で必ずやるべき地震対策5つ

地震に備えて自宅で取り組んでおくべき対策と、確認ポイントをご紹介します。地震対策のチェック項目にお役立てください。

  • 1家具・家電の配置の見直しと固定

    家具・家電の配置の見直しと固定

    家具・家電は転倒や落下防止の観点から、安全性の高い配置と固定が重要です。阪神淡路大震災で、家具が転倒した部屋は全体の約6割。また、室内での怪我の原因として約半分が家具等の転落下によるものだったという報告もあります。

    さらに、転倒した家具が出入り口をふさいだり、棚から落下したものが床に散乱したりするなど、速やかな避難の妨げになったケースも。「家具は倒れる」前提で考え、各家具を固定する際のポイントや注意点を確認しておきましょう。

    【タンスや本棚など床置きの家具】

    対策例

    ■L字金具とネジで、柱や壁の中の下地(桟木等)、もしくは鴨居に固定する

    ■前面がオープンな家具は収納物の飛び出しを防ぐために紐やバーを取り付ける

    ■本など重いものはなるべく低い位置の棚に収納し、家具の重心を低くする

    ■積み上げるタイプの家具は上下の家具を金具で連結したうえで壁に固定する

    ■家具は倒れてきたときに出入口をふさがない位置に置く

    ■前方に倒れると仮定し、家具の高さの範囲内に就寝スペースを設けない

    最も効果の高い家具転倒防止対策は、L型金具等で家具を壁にねじ固定することです。L字金具の取り付け箇所は家具の両端と中心部、大きさによって3〜4箇所程度が目安です。
    ただし、下地のない壁へのねじ固定は安心な転倒防止対策とは言えません。ねじを受ける壁側の強度がないため、地震で揺れた際に家具の重さで壁が崩れる恐れがあります。必ず壁の中の下地の位置を確認し、家具を固定するようにしましょう。

    また、マンションのコンクリート壁にねじ打ちはできません。コンクリート壁の面に背の高い置き家具は設置しないようにしましょう。

    ねじ穴をあけないタイプの防災グッズを使用する場合は、2つ以上を組み合わせる方法がおすすめです(突っ張り棒+耐震マットなど)。自治体によっては高齢者や障がいのある方を対象に、家具転倒防止器具の取り付け支援を行っていますので確認してみましょう。

    【キッチンキャビネットなど開き扉のついた家具】

    対策例

    ■両開き扉の場合、取手にS字フックをかける

    ■開き戸ロック(かんぬき)を取り付ける

    ■耐震ラッチ(耐震ロック)を取り付ける

    ■ガラス面に飛散防止フィルムを張る

    食器棚やオーディオラック、本棚やキャビネットなどの開き扉は、地震の揺れで開かないように対策をしましょう。特にお皿やグラスなど割れ物の多い食器棚は、扉が開けば、飛び出したガラスや陶器が凶器になります。床に破片が散乱した場合は避難の大きな妨げになり、ケガをする危険性も高まります。「コレクションを飾るから見た目が気になる」という場合は、滑り止めシートを棚に敷くことや、両面テープなどを使って収納物を固定することも、飛び出し防止に効果的です。

    【壁掛けの絵や時計など 壁面の家具】

    対策例

    ■落下しないよう壁と壁面家具を紐やチェーンでつないでおく

    ■壁面家具の重さに十分耐えられる強度の引掛け金具を使用して固定する

    ■額装はガラス板でなく、透明アクリル板へ交換しておく

    時計や額縁などの壁面家具は、しっかりと壁に固定しておくようにしましょう。また、地震の揺れで家具同士がぶつかりあい、壁から落ちることも考えられます。干渉しない程度の間隔を取っておくことも大切です。

    ピクチャーレールに絵などを飾っている場合、ワイヤーは2本以上で1つの絵を吊るようにしましょう。地震の際に揺れ幅を小さくすることができます。

    【冷蔵庫】

    対策例

    ■冷蔵庫用の転倒防止ベルトを取り付ける

    ■冷蔵庫と床の間に耐震マットを敷く

    ■開き戸ロック(接着テープで固定するものなど)を取り付ける

    ■冷蔵庫を勝手口付近や通路に設置しない

    冷蔵庫は重量があり、地震の揺れで移動したり倒れてきたりすると大変危険です。ガスコンロのそばに冷蔵庫を設置している場合、火事が起こった際に消火活動の支障になることも考えられます。
    リビングの通路脇に設置している場合は避難経路をふさぐ可能性もあり、注意が必要です。

    冷蔵庫メーカー各社から転倒防止ベルトがオプション品として販売されています。自宅の冷蔵庫に取り付け可能か確認しましょう。

    また、冷蔵庫は食糧庫です。倒れても中身が飛び出さないよう開き戸ロックをつけましょう。災害時の大切な食糧を無駄にしないよう対策を取っておきましょう。

    【テレビ】

    対策例

    ■テレビ裏に取り付ける耐震ベルトで設置場所に固定する

    ■テレビの足部分を専用ストッパーで固定する

    ■金具やねじを使い壁に固定する

    ■テレビの下に耐震シートを敷く

    テレビ本体の重さや形、壁の強度に応じた地震対策が必要です。壁に穴をあけられる場合は、金具とねじでテレビと壁を繋いで固定しましょう。壁に穴をあけられない場合は、テレビとテレビ台を強力粘着テープやねじで固定する耐震ベルトを利用すれば、テレビが前方へ転倒する危険性を軽減できます。耐震シートや耐震マットも有効です。防災グッズの使用は、2つ以上を組み合わせると安心でしょう。

    【照明】

    対策例

    ■吊り下げ照明は天井に金具を取り付けてチェーンでつなぎ、複数個所で固定する

    ■蛍光灯は、蛍光管の両端を耐熱テープで固定する

    シャンデリアやペンダントライトなどの吊り下げ照明は、本体の重力に揺さぶられて落下する危険があります。また、大きく揺さぶられた際に壁や天井にぶつかってシェードが割れる恐れもあります。天井から延ばした複数のチェーンでシェードをつなぎ、照明の揺れを軽減させるための対策をしましょう。ライトが複数並んでいる場合は、コード同士を横に連結させると揺れを軽減できます。蛍光灯も、蛍光管が外れる可能性があるので、しっかり固定しましょう。飛散防止タイプの蛍光灯や電球へ取り換えることもおすすめです。

  • 2生活必需品の備蓄

    生活必需品の備蓄

    平常時に生活必需品を備蓄しましょう。家族の人数に合わせ、最低3日分が必要です。地震の規模が大きければ復旧に時間がかかるので、1週間ほどの備蓄を用意しておくのが理想です。備蓄用として保存食を準備しておくことも大切ですが、普段から使っているものを少し多めに買うようにし、1つ使ったら1つ補充するというように備蓄を普段の生活に取り込むようにしましょう(ローリングストック)。賞味期限切れを防ぐことができ、災害時には、普段から食べているものが食卓に並ぶことから、安心して食事をとることができるでしょう。

    災害時の生活用水は、消防庁の目安で「1人1日3リットル必要」と言われていますが、これは飲料用に限った場合。トイレや炊事の水を含めると、生活には約300リットルの水が必要です。できるだけ水を使わないで済むよう、携帯用トイレやドライシャンプーを準備しておくと便利です。また、食用品ラップをお皿に敷いて料理をのせるようにすると、お皿を洗わずにすみます。

    用意する内容例
    飲料水(1人1日3リットルを目安に)、給水タンク、給水袋(給水車から水をもらうため)
    食料品 ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パン、缶詰、レトルト食品、加熱調理なく食べられる食品、栄養補助食品
    調理用品 カセットコンロ、カセットボンベ、缶切り、ナイフ、食用品ラップ
    日用品 懐中電灯、ラジオ、乾電池、モバイルバッテリー、ガムテープ、ロープ、軍手、常備薬、マッチ、ろうそく
    衛生用品 簡易トイレ、トイレットペーパー、マスク、消毒液、除菌シート、大きめのビニール袋、救急箱、使い捨てコンタクトレンズ
    状況に応じて必要なもの 生理用品、おむつ、おしりふき、粉ミルク、離乳食、高齢者用食品、入れ歯洗浄剤、老眼鏡、子供が好きなお菓子

    地震災害によってライフライン(電気・水道・ガス)が停止することも考えられます。太陽光発電が普及していることもあり、停電については比較的対策がしやすいといえます。生活必需品の備蓄とともに電力の自給自足化について検討してみてはいかがでしょうか。

    LIXIL 減災プロジェクト “大規模停電の減災を知る”を読んでみる

  • 3非常用持ち出しバッグの準備

    非常用持ち出しバッグの準備

    自宅が被災し、住めない状態になってしまった場合、避難所で一定期間避難生活を送ることになります。生活に必要なものを詰めたリュックサックなどを準備しましょう。非常時の食事は栄養が偏る可能性もあるため、サプリメントを用意しておくと安心でしょう。また、乳幼児が一緒の場合は、ミルク・紙おむつ・哺乳びん・消毒液なども準備してください。また、子供が好きな食べ物をこっそり忍ばせておくと、いざというときに役立つかもしれません。

    非常用持ち出しバッグは玄関や寝室の枕元など、すぐ持ち出せる場所に置きましょう。飲料や食料品は定期的に賞味期限を確認し、ローリングストックを実施してください。

    用意する内容例
    飲料水(1人1日3リットルを目安に)、給水タンク、給水袋(給水車から水をもらうため)
    食料品 ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パン、缶詰、レトルト食品、栄養補助食品、好きなお菓子
    調理用品 缶切り、ナイフ、食用品ラップ、アルミホイル、簡易食器
    日用品 懐中電灯、ラジオ、乾電池、モバイルバッテリー、軍手、常備薬、マスク、レジャーシート、新聞紙(簡易トイレ、防寒対策など)、使い捨てカイロ、ブランケット、マッチ、ライター
    衛生用品 簡易トイレ、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、歯ブラシ、ビニール袋、除菌シート、救急箱、使い捨てコンタクトレンズ
    衣類等 衣服、下着、タオル、スリッパ、雨具
    筆記具 筆記用具、緊急時の家族・親戚・知人の連絡先、広域避難地図(ポケット地図)
    貴重品 預金通帳(キャッシュカード)、印鑑、現金、健康保険証、運転免許証やパスポートなどの身分証明書、防災手帳、年金手帳、母子手帳、家・車の鍵(予備含む)、生命保険契約番号
    避難用品 防災頭巾、ヘルメット、水筒、笛やブザー
    状況に応じて必要なもの 家族の写真(はぐれた際の確認用)、生理用品、おむつ、おしりふき、粉ミルク、哺乳瓶、離乳食、抱っこひも、子供が好きなお菓子、処方箋、高齢者用食品、入れ歯洗浄剤、老眼鏡、お薬手帳
  • 4安否確認方法の共有

    安否確認方法の共有

    家族が離れた場所(学校や会社など)にいて地震が起きれば、お互いの安否確認も難しくなります。万が一に備え、日頃から安否確認の方法や集合場所を話し合っておきましょう。災害発生直後は、電話やインターネットがつながりにくくなります。復旧に時間がかかることも考えられますので、その場合は災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板を利用しましょう。

    【災害用伝言ダイヤル(171)】

    地震などの災害が起こったときに、「171」にかければ音声メッセージを登録することができます。また、登録された音声メッセージを再生し、安否情報を確認することもできます。「自分の居場所を連絡したい」「家族の無事を確かめたい」など、一刻も早くお互いの状況を知りたいときに、相手の声(録音メッセージ)を直接聞けることはとても安心できるのではないでしょうか。ぜひ事前に使い方を確認しておきましょう。ただし、INSネット・ダイヤル式のひかり電話(※)には対応していないのでご注意ください。
    ※電話線を使用したデジタル回線で、光ファイバーのインターネット通信を利用したNTTのサービス

    【災害用伝言板】

    災害用伝言板は、大規模災害時、各携帯電話会社によって開設され、文字メッセージで安否情報の登録が可能です。登録された情報の確認は全国どこからでもインターネット(パソコン・スマートフォン・タブレットなど)経由で行うことができます。各携帯電話会社によって若干運用が異なりますので、事前にホームページ等で利用方法を確認しておくことをおすすめします。

    【災害用伝言板(web171)】

    「災害用伝言ダイヤル(171)」のインターネット版で、お手持ちのパソコン・スマートフォン・タブレットなどから災害用伝言板(web171)サイト(https://www.web171.jp/)にアクセスして使用します。「災害用伝言ダイヤル」は音声メッセージですが「災害用伝言板(web171)」は 文字メッセージで安否情報の登録を行います。
    「災害用伝言版(web171)」は災害用伝言ダイヤル(171)・各携帯会社が運営する災害用伝言板と連携しており、システムをまたいで被災者の伝言を一括検索することが可能です。
    また、伝言が登録されたことを通知する機能もあるので、事前に利用者登録をしておくと安心です。

    なお、災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板、災害用伝言板(web171)は、体験利用ができます。

    体験利用提供日(2021年10月時点)
    ・毎月1日、15日
    ・正月三が日(1月1日〜1月3日)
    ・防災週間(8月30日〜9月5日)
    ・防災とボランティア週間(1月15日〜1月21日)

    ※災害が発生した際には体験利用ができない場合があります。

  • 5避難経路・避難場所の確認

    避難経路・避難場所の確認

    各自治体がハザードマップを作成しています。避難経路や避難場所は必ず確認するようにしましょう。避難経路は複数を検討し、実際に歩いてみることが大切です。危険な場所や迂回路、休憩ができそうな場所など、ハザードマップには載っていない発見があるかもしれません。

    ハザードマップを確認する

    加えて、自宅内の避難経路についても確認しておきましょう。速やかに避難できるよう出入口や廊下にはなるべくものを置かないようにし、停電に備えて地震保安灯を各所に設置しておくこともおすすめです。

    また、窓ガラスが割れて思わぬケガをすることも考えられます。ガラスに飛散防止フィルムを貼ることや防犯合わせガラスへ交換することで、危険に備えましょう。カーテンを閉めること、ブラインドを下ろしておくこともガラス片の飛散抑制に効果があります。

地震被害における住宅を取り巻く環境

地震被害における住宅を取り巻く環境 地震被害における住宅を取り巻く環境

国土交通省「平成30年度住宅の耐震化率」によると、日本では総戸数 約5360万戸に対して旧耐震基準の建物(昭和57年5月31日以前に着工)で耐震性に不安のある建物が約700万戸存在しています。

また、新耐震基準(昭和57年6月1日以降で着工)であっても耐力壁の量や配置のバランスが悪く、安心安全な建物とは言えないケースがあります。耐震診断を受ける目安は2000年基準(平成12年の建築基準法改正)より前に建てられたかどうかがポイントです。一度、自宅の建築年度を確認し、築年数が経過している場合は耐震性診断を受けることをおすすめします。

LIXIL 減災プロジェクト “大地震の減災を知る”を読んでみる

 耐震診断・耐震補強工事の補助金

耐震診断・耐震補強工事を行う場合、補助金制度を利用できる場合があります。各自治体によって対象の建物条件(築年数・建物の構造・建物用途など)が異なりますのでお住まいの地域の自治体ホームページを確認しましょう。

また、耐震診断は簡単な自己診断も可能です。専門家に相談する必要があるかどうか、まずは自己診断を行ってみましょう。

耐震自己診断をする

日常的に地震対策をすることが大事

「地震大国」と言われる日本。万が一の安心・安全は、一人一人の防災・減災への意識から生まれます。地震の瞬間は何もできないものと考えておきましょう。揺れた時に何もしなくても防災・減災が成り立つよう日頃から身の回りの整理をし、安全な空間をつくっておくことがなにより大切です。

各自治体や地域住民、ボランティアによる避難訓練の参加もおすすめです。地域の中でコミュニケーションをとっておくことが万が一の際に大きな力になります。また、体力づくり・健康維持を心がけておくことも備えにつながります。

地震の減災対策を始めましょう。「地震は起こる」前提で対策を行うことで自分自身や大切な家族を守ることができます(“減災とは” の特集記事を読んでみる)。

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