「組み合わせて楽しめるLIXILの建材と人気家具店とのコラボレーションで彩る“私らしい”コーディネートレシピ「スタイル手帖」。今回はLiving Deli編集室から、 “和”のテイストを取り入れた落ち着きのある空間をご提案します。
「和風の部屋づくり」といえば、畳や襖、縁側などのアイテムを思い描きがちですが、今回ご提案するのは、木目調の床材のお部屋。現代の生活に馴染ませつつも和の雰囲気を演出できるコーディネートです。
背の高いアイテムは控え、ボリューム感のある低めのアイテムを選ぶことで、日本の暮らし方のひとつである「床での生活」を意識できるようコーディネートしています。
LIXILの選べる室内ドアからは「ラシッサS」を選び、ほっとくつろげるような“優しさ”を感じる空間づくりを目指しました。
※この空間に登場するアイテムリストは、ページ下部「
框組みの室内ドアとダークトーンの床を中心に。和風のクラシックスタイルを提案
選べる室内ドアは「ラシッサS」のクリエペール。合わせた床は「ラシッサ Sフロア」のクリエモカF。(全てLIXIL製品)
今回のテーマは「和風のクラシックスタイル」。
クラシックと言っても “昔懐かしい”雰囲気ではなく、現代の私たちの生活に寄り添うようなスタイルを意識しました。
セレクトした室内ドアは、複数の部材を組立てて一枚の扉にした「框(かまち)組み構造」のもの。しっかりとした重厚感が魅力です。クリエペールのナチュラルな木の色味がアイボリーの壁色とも馴染み良く、ライン状に配置されるガラス窓が、シャープな表情を見せてくれます。
床材に選んだのは「ラシッサ Sフロア」のクリエモカF。室内ドアに合わせて明るい色調に統一するという選択肢もありましたが、ほっとくつろげる “落ち着いた空間”を目指すために、あえてトーンを落とした色味を合わせています。
“落ち着き”と“安心感”が魅力。どっしりとした佇まいのアイテムたち
落ち着きや優しさを感じる部屋づくりを実現するために、“木の温もり”を感じられるアイテムを揃えました。
背面デザインも印象的な「ソファ アルジ 3P」(NIPPONAIRE)
どっしりとした佇まいが、空間に安心感を与えてくれるソファは、このコーディネートの主役とも言える存在。
飛騨高山産のフレームを使用しているほか、ファブリックには倉敷製の帆布を採用するなど、国産にこだわった逸品です。ファブリックのカラーは、日本古来の「海松茶(みるちゃ)」という色。こげ茶でもないグレーでもない、奥行きのある色味が味わい深く、優しい表情を見せてくれます。
座面も一枚構造で、肘掛けのない広々とした造りなので、思わずゴロリと横になりたくなるはず。
センターテーブルは「タイホウ」(NIPPONAIRE)。木の素材感を感じられる天板が魅力
角張った脚と、しっかりと厚みのある天板が特徴的なセンターテーブルは、ソファの存在感に負けることなく調和してくれています。材質はホワイトオークで、はっきりとした木目や節が見られ、和の雰囲気を高めてくれます。
直線ラインと無垢素材の風合いで、和の空気感を高める
テレビ台として使っているのは、さまざまな組み合わせができる収納アイテム「Vietas(ヴィータス)」のクリエペール(LIXIL製品)
今回のコーディネートで意識したポイントは二つあります。
一つは、無垢材ならではの風合いを感じられるようなアイテム選び。そしてもう一つが「直線的」な空間演出であることです。
畳や障子など、和室に多く見られる格子状のグリッドラインを、インテリアにも落とし込むことで、フローリングでも「和」の雰囲気を高めることができます。
テレビ台として使用している「Vietas」シリーズは、バリエーション豊富な壁に固定する収納商材。
今回は背の低いタイプを“見せる収納”として使用しましたが、扉をつけることもできるほか、組み合わせ次第で機能的な壁面収納にすることも。しっかり固定するタイプは、地震等にも安心です。
「見せる」「使う」「しまう」の3つの視点から、ライフスタイルに合った組み合わせを考えるのも楽しいですね。
照明は「Mallee-pendant S」(ARTWORKSTUDIO)。ふんわりとした優しい光が広がる
この空間で唯一の丸いアイテムが、リビング部分の照明です。これは寺院などで見られる「丸窓」や、酒蔵などの軒先にぶら下がっている「杉玉」、「提灯」をイメージして選びました。
樹脂でコーティングした麻紐で作られているので、和の空間にもしっくり馴染み、網目からこぼれる柔らかい光は、今回の“優しさ”を意識した空間演出にぴったりです。
少しの辛口要素が、部屋全体の“優しさ”を引き立てる
ダイニングテーブルの「ボート3」に合わせたチェアは「ノキア2」(全てNIPPONAORE)
全てのアイテムを無垢材で統一することも考えましたが、少し辛口要素を取り入れるため、ダイニングテーブルには、スチール素材を使ったものを選びました。四角いフレームを重ねたような印象の脚も“直線的なデザイン”を意識。
はっきりと木目が見られる天板には、センターテーブルほどの厚みはありませんが、木の色味や木目の強さに統一感があるので、同じ空間に置いても馴染んでくれています。
合わせるチェアは、座面が黒くツヤのあるものに。背板部分には無垢の曲げ木を使っており、背中を包み込むような心地良さが魅力です。
ダイニングテーブルの角は、面取りされていて手触りも滑らか
コーディネートする上で重要なポイントとなる「空間の重さ」は、素材の厚みや色のトーンで調整できます。ダークカラーやどっしりとした存在感のものを多く用いると、空間に重みと厚みが増し、反対に明るいカラーや繊細な表情のアイテムは、軽やかな印象に。
今回のコンセプトである“優しい雰囲気”を目指し、コーディネートの完成図を描きながら重軽のバランスを調整していきました。
また、無垢素材の中に「黒」の要素が少し入ることで、空間の引き締め効果があるだけでなく、優しい雰囲気を引き立てる役割も担ってくれています。
現代的な空間に「和」のテーマ性を持たせる形と色の選択
ポスターは「HARE (野ウサギ)」(Teemu Jarvi)。水墨画のようなテクスチャが和の演出にぴったり
今回、アクセントカラーとして「黒」を用いましたが、もし色味を追加するなら「辛子色」などの日本ならではの落ち着きのあるカラーがオススメです。
ソファの傍に置いたグリーンも、「竹」をイメージして選びました。
このように「色」や「形」に和をイメージするようなアイテムを数点取り入れると、空間全体が落ち着きある和の雰囲気を帯びてくるはずです。ぜひ参考にしてみてください。
・撮影:山田健司
・取材執筆:佐藤有香