組み合わせて楽しめるLIXILの建材と人気家具店とのコラボレーションで彩る“私らしい”コーディネートをご提案する「インテリアレシピ」。
今回は人気家具店「CRASH GATE(クラッシュゲート)」の静亜希子さんに、アンティークスタイルの空間をご提案いただきました。
アンティーク調のアイテムは、レトロで味わい深い雰囲気を持ち、落ち着いた大人の空間を叶えてくれます。アンティークスタイルを作る上で重視したいアイテム選びや組み合わせのポイントを静さんにお聞きしました。
▼使用したアイテム
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□室内ドア…ラシッサD ヴィンティア(ボトルグリーン)
・把手…スクエアL(ブラスゴールド)
・ガラス…アンティークガラス
□床材…ラシッサ Dフロア(チェスナットF)
□壁面タイル…エコカラットプラス(ネオトラバーチン グレー)
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- 目次
- (1)「黒」と「ゴールド」を差し色に。アンティークスタイルの基本
- (2)ラタン素材で「抜け感」を。重くなりすぎない空間作りのコツ
- (3)「ミッドセンチュリー」と「ハンドクラフト」のアイテムも好相性
- (4)異素材同士を馴染ませるなら、「テイストの統一」が大切
- (5)深みのあるグリーンのドアに、淡色系の床を組み合わせて
- (6)「黒」のさじ加減で楽しむアンティークなインテリア
「黒」と「ゴールド」を差し色に。アンティークスタイルの基本
クラシカルな雰囲気を楽しめるアンティークスタイルは、重厚感や経年変化を感じるカラーと、美しいフォルムのアイテムで構成することが特徴です。
品が良くシックなインテリアを多く取り入れるため、アイテム一つひとつのデザインにこだわりたいという方、フォルムが美しいものに惹かれるという方におすすめしたいスタイル。
今回は、佇まいが美しいラタンチェアを主役にしたアンティークスタイルのコーディネートを紹介します。イメージとしては、成人したお子さんがいるご家庭の親子3人が夜にお酒を楽しんでいるような、そんな大人の空間を想像しながら考えました。
アンティークスタイルの空間を意識する上で欠かせないのが、差し色となる「黒」と「ゴールド」。黒は「重厚感」を、ゴールドは「経年変化」を感じさせてくれるカラーです。
ただし、黒を多用しすぎると暗く、重たい印象になってしまうため、お好みのテイストに合わせて、部屋のバランスも気にしながらアイテムをセレクトしましょう。
ラタン素材で「抜け感」を。重くなりすぎない空間作りのコツ
アンティークスタイルの差し色となる黒とゴールドは、レトロでクラシカルな印象を与えてくれる組み合わせです。しかしすべてのアイテムを黒で揃えてしまうと、重たくて暗い印象の部屋になってしまうため、部屋全体の印象を決める「重さの調整」が必要になります。
そのためには「色味のバランス」を意識することが大切。
今回のコーディネートでは、ベースとなる色を引き立てるアソートカラーの黒は全体の2割、ゴールドは0.5割くらいのアクセントに留め、部屋全体のベースカラーは、軽やかさを感じられるベージュと壁や床と馴染みの良いグレーのアイテムを選びました。
「MARBLE CENTER TABLE」(CRASH GATE)、「DEPALAⅡ SOFA」(RELAX FORM)
アンティークスタイルで、バランスを取る際に意識したいのが、「色味の足し引き」。
「明るすぎる」と感じたときは、モノクロのアートや黒いフラワーベースなどの小物で空間を引き締めましょう。部屋全体を俯瞰で捉えながら、色味を微調整していくことで、収まりの良いポイントが見つかるはずです。
「黒系のアイテムばかりピックアップしてしまった」というときは、部分的に部屋のベースとなるカラー(白、ベージュ、グレーなどの無彩色)のアイテムに変えてみてください。
「抜け感」を作ることも軽やかさを演出するためのテクニック。存在感の大きい家具で取り入れると効果的です。
例えば、今回の主役とも言えるダイニング部分のラタンチェアは、木、ラタン、真鍮という3つの異素材の組み合わせで構成されています。
「 DINING CHAIR SKAVE 」(NOWHERE LIKE HOME)
しっかりと安定感のある佇まいですが、透け感のあるラタン素材が入っているため重たさを感じません。
深い緑が美しいボトルグリーンカラーのドアも、ガラス窓有りのデザインをセレクトしたことで、重厚感と抜け感のバランスが程よく取れたと感じています。
他にも、大理石を使ったサイドテーブルの脚部分には華奢なラインのものを、広い面積を占めるソファやラグは、馴染みの良いグレーとベージュにするなど、重さと軽さのバランスを考えながら選びました。
「ミッドセンチュリー」と「ハンドクラフト」のアイテムも好相性
アンティークスタイルには、「ミッドセンチュリー」と「ハンドクラフト」のアイテムもマッチします。
「ミッドセンチュリー」とは、1940〜60年ごろに流行したデザインのこと。この時代のインテリアは、シンプルというより個性を際立たせたデザインが多く、アンティークスタイルとの相性がとても良いです。
壁面のアート:左「 Closeness 」右「 COMPOSITION」(PAPER COLLECTIVE)
この空間では、太陽のような形が印象的な時計や、大理石のセンターテーブル、ラタンチェアがミッドセンチュリーに該当するアイテム。特に時計はアートとしての役割も担っていて、個性を演出するとともに、クラシックな雰囲気を高めてくれています。
「DINING TABLE TUSKER」(NOWHERE LIKE HOME)
手作りの温かみを感じられるハンドクラフトアイテムも、アンティークスタイルにマッチする要素です。今回は、ダイニングテーブルにハンドクラフト要素を取り入れました。無塗装のナチュラルな質感や、天板をつなぐ蝶々型の「千切り」が、職人のこだわりと手作業のクラフト感を色濃く感じさせてくれます。
アンティークは、フランス語で「古美術」や「骨董」を意味する言葉。昔流行ったデザインや、長い年月で風合いが増す木のインテリアなど、「時間の経過」と「変化」を楽しむ視点も、アンティークスタイルに欠かせない要素かもしれません。
異素材同士を馴染ませるなら、「テイストの統一」が大切
異なる素材同士を同じ空間に置く場合、ラインや風合いなどの「特徴となるテイストを統一する」ことでうまく馴染んでくれます。
今回のコーディネートでは、木、ラタン、真鍮、大理石、ファブリックなど、さまざまな素材のアイテムを選んでいます。
その際に重視したのが、照明の軸とサイドテーブルの「脚の細さ」、ダイニングチェアとサイドテーブルの「真鍮素材の質感」など、「統一感があるもの同士」の組み合わせ。
特にアンティークスタイルでは、「ゴールド」の光沢感を揃えることが大切です。真鍮素材のゴールドカラーは、ツヤツヤの質感のものもあれば、マットな質感のものも。アンティークスタイルの場合は、経年変化をしたような、鈍く光るマットな質感を選ぶようにしましょう。
深みのあるグリーンのドアに、淡色系の床を組み合わせて
「ラシッサD ヴィンティア」ボトルグリーン(LIXIL)
ドアは「ラシッサD ヴィンティア」のボトルグリーン。
クラシカルな佇まいを見て、「アンティークスタイルにぴったり」と確信したカラーです。アンティークガラスもドアノブのブラスゴールドも、この空間の雰囲気を高めてくれていて「絵になるドアだな」と感じています。
把手は「スクエアL」ブラスゴールド、ガラスは「アンティークガラス」(LIXIL)
「ラシッサD ヴィンティア」シリーズのドアはナチュラル系か、ブラックを選ぶ方が多いようですが、この「ボトルグリーン」も、黒やゴールド、ブラウン系のインテリアとの相性が良いカラーです。このドアを主役にして、ナチュラルテイストのインテリアで揃えても素敵にまとまるはずです。
「ラシッサ Dフロア」チェスナットF(LIXIL)の自然光での色味
床は「ラシッサ Dフロア」のチェスナットF。
チェスナットカラーの床は、グレイッシュな色味がおしゃれで魅力たっぷり。白、グレー、茶の3色がミックスしたような色合いなので、どんなテイストの家具にも馴染みやすい万能色です。
また、アンティークスタイルの床色は、濃くても明るくても成立すると思います。今回は存在感のあるドアを選んだので明るいトーンの床にしましたが、ナチュラル系のドアを選んだ場合は、ダークトーンの床をセレクトするとマッチするはずです。
「ラシッサ Dフロア」チェスナットF(LIXIL)電球色での色味
床色とドアの雰囲気が変われば、その上に展開するインテリアもガラリと変わります。
濃い床色の上に黒いレザーのソファを置いたり、ナチュラル系のドアに深緑カラーのファブリックアイテムを投入したり。「重さのバランス」を意識しておけばチグハグにはならないので、自分好みのアイテムセレクトを楽しみたいですね。
「黒」のさじ加減で楽しむアンティークなインテリア
黒とゴールドを差し色にしつつ、「重さのバランス」を調整することで素敵なアンティーク空間が生まれました。
- 黒が多すぎると感じたら色のトーンを合わせながら明るい色味を増やす
- 抜け感のある素材を選ぶ
重さ調整のポイントはこの2つです。
候補のインテリアを選んだら全体像をイメージして、チグハグな印象になっていないか、重すぎる色使いになっていないかを検討してみてくださいね。自分好みの空間作りを楽しんでみてください。
【プロフィール】
静 亜希子(CRASH GATE)
株式会社関家具「CRASH GATE」法人課所属。大学卒業後、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)として、さまざまなテイストの空間演出を手がける。2023年1月、関家具に入社し、モデルルームなどのコーディネートを担当。ミッドセンチュリー、インダストリアル、ノルディック、和モダンなどのスタイルを得意としている。
・撮影:軽部きはる(@kyaruxx)
・取材執筆:佐藤有香