近年のインダストリアルテイストでは、ヴィンテージ感の強いアイテムよりも、シャープさを感じるアイテムが好まれる傾向にあります。
今回はブラックのドアとモルタル調の床を組み合わせたすっきりとしたインテリアをご紹介。
インテリアショップ「CRASH GATE(クラッシュゲート)」で空間コーディネートを担当する静亜希子さんに、スタイリッシュに仕上げるためのポイントを伺いました。
- 目次
- 無骨なヴィンテージはもう古い?インダストリアルの最新トレンド
- モルタル調の床×ブラックのドアで“個性”を演出
- リクシルの室内窓「デコマド」でゆるやかに仕切る
- 「素材とデザインの統一感」を重視したアイテム選び
▼注目アイテム
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□室内窓…デコマド(ブラック)
・両側壁納まり×窓台設置 3列2段
・本体…上段 FIX窓(透明ガラス)下段 FIX窓(エッチングガラス)
□室内ドア…ラシッサD ヴィンティア(チャコールブラック)
・ガラス…透明
・把手…スクエアL(アイアンブラック)
□床材…ラシッサ Dフロア(ラフモルタル調 455 幅広 )
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無骨なヴィンテージはもう古い?インダストリアルの最新トレンド
静さん:
「インダストリアルと聞くと古材やヴィンテージ家具を使った無骨なイメージを思い浮かべるかもしれません。ただ、近年のインダストリアルテイストは、シンプルですっきりとしたスタイリッシュな雰囲気が増えてきています。
今回のコーディネートはそんな『シンプルなインダストリアルテイスト』をテーマに、古材の使用は控えて、オークなどの暗くならない色の素材を活用しました。
単体で見ると個性の強いアイテムを組み合わせていますが、全体のテイストを統一することで馴染み良くまとまりました」
モルタル調の床×ブラックのドアで“個性”を演出
床は「ラシッサ Dフロア」の新色・ラフモルタル調 455(幅広)、ドアは「ラシッサD ヴィンティア」(チャコールブラック)。どちらもこの春に登場する新作アイテムです。
モルタルを流した際に出る自然な揺らぎを表現。乾燥させたことで生まれる細かいクラックや質感の粗密感・コテ塗りの表情など、モルタルらしさが楽しめる使いやすいデザイン
質感や風合いを感じさせるラフモルタル調の床は、スタイリッシュなインダストリアル空間にぴったり。
近年、木質調以外の床を選ぶ方も増えており、「個性」を演出したい方にはおすすめの素材です。本物のモルタルだとメンテナンスが大変ですが、木質床材のモルタル調ならお手入れも簡単です。
「ラシッサD ヴィンティア」にシンプルさと開放感を両立した、縦通しガラスデザインのドアが仲間入り
ドアは「ラシッサD ヴィンティア」の新デザイン、縦通しのガラスが入った「LGM」のチャコールブラックをセレクト。
手仕事感があり、モルタル調の床とも好相性のヴィンティアですが、ガラスが縦ラインに入ることで、すっきりとした表情を感じさせてくれます。
リクシルの室内窓「デコマド」でゆるやかに仕切る
ペンダントライト「Genesis 4-ceiling lamp」(ARTWORKSTUDIO)
リビングとワークスペースの間に設置された室内窓「デコマド」。
静さん:
「ブラックフレームの『デコマド』は、この部屋のシンボル。床とドア同様に、インダストリアルの雰囲気をグッと高め、スタイリッシュさをプラスしてくれる存在です」
フレーム部分は従来のアルミ塗装仕上げから、樹脂製のシートラッピングにアップデート。より質感や風合いを感じられるようになりました
デコマドの下段は、エッチング加工のすりガラスになっており、リビングからの光をしっかり取り込みながらも、ワークスペースのプライベート感を高めています。
「素材とデザインの統一感」を重視したアイテム選び
ソファ「SOFA BOTOX」(CRASH GATE)、ポスター「Sand Lines」(PAPERCOLLECTIVE)
静さん:
「家具は重くなりすぎないことを意識して、細いラインが入っているものを多く選んでいます。ソファは、肘かけや背もたれの“むちっとした風合い”を、アイアンフレームでキュッとまとめている佇まいが気に入っています。ボディに重厚感はあるけれど、脚が細いので、バランスが取れています」
テーブル「DINING TABLE TANK」、チェア「DINING CHAIR LOG」(ともにCRASH GATE)
静さん:
「シンプルで無駄のないデザインのダイニングテーブルは、さまざまなテイストに合わせられる汎用性の高いアイテム。こちらも脚がスリムでブラックなので、今回選んだソファとも自然に馴染んでくれました」
静さん:
「ヴィンテージレザー調のシボ感が特徴的なダイニングチェアは、ブラックとアッシュグレーの2色を。お尻の収まりが良い設計で、デザイン性と実用性を兼ね備えてくれるチェアです」
スツール「STOOL BACCHUS」(CRASH GATE)
静さん:
「全てをシャープなアイテムばかりにしてしまうとスッキリしすぎてしまうので、一部のアイテムには遊び心をプラスしました。
ダイニングに置いたこちらのスツール。男前でヴィンテージ感の強いアイテムですが、植物を置いた途端に、愛嬌が生まれてスマートな印象に。スツールは椅子としてだけでなく、プラントスタンドやオブジェを置くなど幅広く活用することができます」
デスクチェア「DESK CHAIR LAND」(CRASH GATE)
静さん:
「ワークスペースに置いたデスクチェアはインダストリアル×ミッドセンチュリーなデザインでスタイリッシュな空間に。個性をプラス。異なるテイストを混ぜるときは色数を抑えて、黒いアイアンのラインなど一部の要素を統一することがポイントです。
インダストリアルテイストの家具選びでは、“雰囲気の統一感”が大切です。使っている素材やカラーは異なりますが、そのなかでレザーの素材感とブラックのラインを意識して選ぶことで、空間全体に統一感が生まれました」
落ち着いて過ごせる、大人のインダストリアル空間
プランター「PLANTER DOCK」(CRASH GATE)、リビングテーブル「CENTER TABLE FROM」(NOWHERE LIKE HOME)
個性的なアイテム同士を組み合わせて、インダストリアルな部屋が完成しました。
静さん:
「家具はご紹介したアイテム以外にも、アイアンの細い脚のある直線的なデザインのものを選びました。今回選んだドアや床、家具など、共通項のあるものを意識して選ぶと、バランスの取れたコーディネートができるので、参考にしてみてくださいね」
▼使用したアイテム
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□室内窓…デコマド(ブラック)
・両側壁納まり×窓台設置 3列2段
・本体…上段 FIX窓(透明ガラス)下段 FIX窓(エッチングガラス)
□室内ドア…ラシッサD ヴィンティア(チャコールブラック)
・ガラス…透明
・把手…スクエアL(アイアンブラック)
□床材…ラシッサ Dフロア(ラフモルタル調 455 幅広 )
ラシッサ Dフロア(ナチュラルオークF)
□キッチン…ノクト(扉 オリーブグレー/ワークトップ ブラックストーン)
□キッチン収納…カノール(扉 オリーブグレー/フレーム ブラック/棚板 ライトグレイン)
□壁タイル…エコカラットプラス(ビンテージオーク ベージュ)
□デスクカウンター:集成カウンター(チャコールブラック)
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【プロフィール】静 亜希子(CRASH GATE)
株式会社関家具「CRASH GATE」法人課所属。大学卒業後、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)として、さまざまなテイストの空間演出を手がける。2023年1月、関家具に入社し、モデルルームなどのコーディネートを担当。ミッドセンチュリー、インダストリアル、ノルディック、和モダンなどのスタイルを得意としている。
撮影:岸孝平
取材執筆:佐藤有香