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ナノサイズの孔(あな)が、部屋の中の空気を吸って吐いて、キレイに整える。余分な湿気や嫌なニオイ、さらには有害物質を吸着させる。人にやさしく、電気を使わないので環境にもやさしい。1999年に発売された「エコカラット」は、タイル建材の新しい可能性を拓きました。そして、調湿建材の先駆けとなり、今では「エコカラット」という一つのジャンルとも言える存在にまで成長しました。ここからは世の中になかったものを創り出すための道のりと、これからの姿を紹介します。
1999年に発売されたエコカラットが開発されるきっかけは、社会的な問題になりはじめていたシックハウスや湿気による住環境の悪化です。当時は、ホルムアルデヒドなどの有害物質や、住宅の気密化が進み、結露やカビ・ダニの繁殖による人体への悪影響が問題視されていたころでした。それらを建材で改善できないかと考えたのです。その頃、国では建築基準法を改定し、住環境の空気質に着目した建材づくりを推進し始めていました。そこで LIXIL(当時はINAX)と国※、同じ問題意識を持っていた両者が手を組み、素材に関するヒント探しを始めました。※通産省工業技術院名古屋工業技術研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所中部センター)
「エコカラット」の機能のポイントは、ナノサイズの孔(あな)です。しかし、開発当初はどういう素材がいちばん空気を吸って吐くのかすらはっきりわかっていませんでした。土、セメントなど、いろいろな素材の研究をしました。壊される蔵の土壁を剥がして孔がどうなっているのかを研究したこともあります。そして、孔のサイズは、ナノ、ミクロン、ミリ、どれがいいのか。その小さな孔をどのように固めて建材にするのか。1000回以上のテストを行った結果、ナノサイズの孔が最も効果が高く、焼き物にすることで生産性が高まることがわかりました。基本的なことがわかり、いざ試作品をつくってみると割れてしまうほどもろく、強度を持たせることが困難でした。素材の配合や生産条件まで試行錯誤と数えきれないほどの失敗を繰り返し、企画・構想から5年で「エコカラット」は完成しました。
従来のタイルは、清掃性や清潔感を高めるために表面をガラス質で完全に覆います。しかし、「エコカラット」は表面を覆ってしまうとナノサイズの孔がふさがってしまいます。そこで、孔をふさがずに、なおかつカラーバリエーションがつくれる新しい施釉を開発しました。調湿建材でありながら意匠材としても優れている、その両立ができていることも「エコカラット」の特長です。
「エコカラット」は、素材全体をナノの孔で揃える技術も確立しました。吸放湿特性量は珪藻土の5~6倍、調湿壁紙の25倍以上に達しています※。しかも、それをゼロエネルギーで達成します。※自社調べ
1999年に発売された初代「エコカラット」が目指したのは、日本家屋の「土壁」です。昔の日本家屋は、すきま風が入ってくるため自然に空気が入れ替わり、空気質がよい状態になっていました。「エコカラット」は気密性の高い現代の家の中で空気を吸って吐いてちょうどいい湿度に保とうとする“張る土壁”として登場しました。
「エコカラット」は、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどの有害な物質を原料に使用していません。そればかりか、家具や他の建材から揮発する有害物質を吸着し、濃度を低減する効果があり、その能力は試験でも証明されました。
デザイン性を進化させた「プレシャスモザイクカッセ」を2002年に発売。職人の繊細な手わざによって刻まれた割り石の造形と美しい陰影が好評となり「エコカラット」の人気がさらに高まりました。機能性建材でも美しさを追求する。それは、タイルの美しさを追求してきたLIXILならではのこだわりと言えます。
見た目はほとんど石や木。表面を飾るデザインのモチーフは、世界中のマテリアルからデザイナーが選び抜き、それを独自の加飾技術で石や木のリアルな素材感(色・柄)を表現しています。複雑な柄パターンを連続してつくり出すことも可能になり、これまで以上に「エコカラット」がインテリアのアクセントとしてリビングや大画面テレビのバックボードなどに採用されるようになりました。
2019年、「エコカラット」のすべての商品が「エコカラットプラス」になります。「エコカラットプラス」は、独自の二層多孔質構造により、水や汚れを通しにくく、湿気を通すことにより調湿。これまで以上に防汚能が向上し、日々のお手入れがより一層簡単になります。調湿性能は初代から2.6倍、VOC吸着性能は3倍に進化。質感もアップさせ、上質なインテリアを演出します。さらに、さまざまな生活臭や悪臭を低減するため、住宅はもちろん、病院、福祉施設、ホテル、公共施設などでも効果を発揮することが期待できます。さまざまな悩みをより改善できる建材に進化できないか。その想いから生まれた「エコカラットプラス」。これからもよりよい暮らしに向けて、機能、デザイン、施工性の進化を続けていきます。
※エコカラットプラスの効果は部屋の使用条件、気象・換気などの環境条件によって異なります。おすすめコンテンツ