革張りのソファのようなマットカラー

革張りのソファのような
マットカラー

シックで穏やかな部屋にしたい。そんなとき、気持ちをリラックスさせてくれる家具が欲しくなりませんか。同じようにトイレでも、サティスGタイプにはノーブルレーベルという特別なマット色があります。それはこれまでのトイレらしくはない色と質感。まるでお気に入りの革張りのソファのように身も心もゆだねられるトイレです。そんなINAXならではのマットカラーは、長年培ってきたセラミック技術によってお客さまのもとに届けることができるのです。

深く豊かな時間を生み出す
マットな質感

トイレは一日に何度も訪れ、ひとりになれる空間ですよね。ほっとひと息ついたり、ちょっとした考えごとをしたり。だからこそ、そこはリビングのようなくつろぎの時を過せる場所になって欲しいと思いませんか。たとえば、トイレをひとつの部屋として「落ち着きのあるシックなインテリアコーディネートでまとめたい」というお客さまの想いに、これまでの光沢感のあるホワイトの便器だけでは、十分に応えることができないのではないか?そんな考えからINAXが目指したのが「マットな質感」と「シックで落ち着きのある色合い」でした。焼きものだからこそ出せる温もりと品位ある佇まいは、より深く豊かなくつろぎの時間を生み出し、お客さまのトイレの空間価値を高めます。「ノーブルレーベル」と名付けたマットな表情は、ブラック、トープ、グレーとどれもが上質な色合い。ひとクラス上の大人のインテリアを演出する個性になりました。ただ、その開発と生産においては、INAXの長年の経験を持ってしても大変な試行錯誤がありました。

深く豊かな時間を生み出すマットな質感

質感も色合いもあきらめない、
という難題

「この革張りのしっとりとした質感と色を再現してほしい」。すべては開発者のこのひと言から始まりました。さて、そもそも便器がどのように生産されているかをご存知でしょうか。通常、便器を生産する工程は、調合した原材料を型に流し込んで成形し乾燥させた後に、表面に色ツヤが出るよう釉薬(ゆうやく)を吹き付けた上で焼き上げます。しかし、落ち着いた色合いとマットな質感を出すためには、そうした数十にもおよぶこれまでの製造条件を見直す必要がありました。大きな壁となったのは、マットな質感を保ちながら、ノーブルレーベル独特の繊細でシックな色合いを安定的に再現すること。同じ釉薬の調合でも色の濃さを少し変えるだけで艶まで変わってしまったのです。美しさと再現性を兼ね備えた最適な色を見つけ出し、マットな質感がムラなく出るよう、釉薬の厚みやマットの細やかさを繰り返し検証。さらに狙ったマット感、色調、色相になるよう、焼き上げの条件を一から作り直し、窯内の温度管理まで徹底することに。完成に要した期間は、なんと3年。INAXのこれまでの知見と経験を投入して、自信をもってお客さまにお届けできる品質にたどり着くことができたのです。

質感も色合いもあきらめない、という難題

衛生陶器であるための“ツートーン”

ノーブルレーベルの外側は個性的な色合いですが、便器の鉢の内側は白色というツートーン。これは、白は汚れがすぐにわかることで清潔性や清掃性を高め、また健康状態を確認しやすくなることから、衛生陶器には欠かせない要素なのです。この外側と内側の色の塗り分け、なんでもないようで実は人の手による熟練の技が必要とされます。まずは1台1台、釉薬が混ざらないようにマスキングを施し、外側はマットカラーの釉薬、内側は白色の釉薬を丁寧に吹き付けていきます。色の境目となる縁の部分は、筆を使って手作業で調整。ツートーンを美しく高い品質でカタチにするために、あえて「難しい」に挑む。ロボットやAIでは対応が難しい繊細な部分を「人の手」による職人技が担うことで、はじめてお客さまのもとへお届けすることができるのです。

衛生陶器であるための“ツートーン”

そして、
窯の中で仕上げられる高品質

ここからは焼きものになる最後の仕上げの工程をご紹介しましょう。もちろん窯を使って焼き上げるのですが、ポイントは「予熱」「焼成」「冷却」の3つ。一般的な便器では、長いトンネル状の窯を移動させながらこれらを順番に行うのですが、それぞれを微妙に加減しなければならないノーブルレーベルでは、固定型の窯で、窯自体の温度をポイントごとに適切にコントロールします。この微妙な温度管理のため窯に入れられる数も制限され、さらに積み入れも表面が傷まないようにすべて人の手で行い、そのときの手袋や、手を拭くタオルも専用のものにしたりと、細心の注意をはらっています。そして、焼き上がったものは一つひとつ光沢度を測定し、厳密な基準をクリアしたものだけが製品として認められます。一般的な便器に比べて、生産の手間は約5倍。上質なマットなカラーを生み出す背景には、こうした一品一品に手間と時間を惜しまないものづくりが隠されていたのです。

そして、窯の中で仕上げられる高品質

人の手によるものづくり

トイレも器や壺などと同じ焼きものです。陶芸家の手づくりのものであれば、高価な陶芸品を思い浮かべられるでしょう。工業製品では今や安定した生産を行うためにコンピュータや機械による製造が欠かせませんが、高品質なトイレは、まだまだ人の手がかかってこそカタチになります。そこには熟練の職人技、70年以上に渡って磨かれてきたINAXの熱意と研鑽が込められているのです。もっとくつろげるトイレ空間を届けたいという想いから始まり、「人の手によるものづくり」から生まれた上質なマットカラーにぜひ一度、触れてみてください。

人の手によるものづくり