「みんなの幸せ」のためにトイレができること

「みんなの幸せ」のために
トイレができること

ジェンダーや年齢、障がいの有無を問わず、誰もがいつでも快適で衛生的な環境で暮らし続けていける。そんな社会のために、今できることは何かを考え、行動を始めています。その一歩がトイレをとりまく問題への気づきでした。たとえば、災害時のトイレは人の健康をそこなうおそれがあるということ。車椅子使用者の中には、トイレが不安で外出をついつい控えてしまっている方がいらっしゃること。そうした声に耳を傾け、まずは誰にとっても欠かせないトイレの視点から「みんなの幸せ」へ貢献したいと考え、挑戦をはじめています。

平常時も災害時も、
いつもと同じみんなのトイレ。
もしもの時にトイレができること

私たちはいつ災害に遭い、避難生活になってもおかしくない時代に生きています。たとえ被災状況になっても、なるべく普段通りに暮らしたいものですよね。さて避難生活で困ったことでは、多くの人が「眠れる環境」の次に「トイレ」と答えました。トイレが不衛生な状態であることで、健康を害することがあります。たとえば、トイレの衛生面が不安で使いたくないという理由から、排泄を我慢するために水分を控えてしまうことで脱水症を引き起こすことも。また不衛生な状態は感染症のリスクを高めることにも。だからたとえ災害時でも、避難生活の中でも、いつもと同じ気持ちでトイレが使える、その実現が何より不安を取り除き、健やかさを保つ力になるのではないかと考えました。

平常時も災害時も、いつもと同じみんなのトイレ。もしもの時にトイレができること

「いつものトイレ」を
いつもと変わらず使える安心を

避難所を設置する自治体の方に、災害時のトイレについて想定している課題を聞きました。災害時、断水になった場合に通常の水洗トイレは使えなくなります。そのために、仮設トイレや段ボールトイレなどをストックするなど、主にハード面に目を向けていることがわかりました。その一方、実際にそこで生活する避難者の方に何を求めるかを聞いてみると、衛生面はもちろんのこと、車椅子使用者や、老人、小さな子どもや女性など誰もが安心して使えるトイレであることがわかりました。そんなみなさんの想いをどうしたら実現できるのか?解決のカギとなったのは、従来の災害用トイレを快適に使えるように改善したり近づけるのではなく、誰もが使い慣れた「いつものトイレ」を災害時にも使えるようにするという逆転の発想でした。

「いつものトイレ」をいつもと変わらず使える安心を

断水でも使い続けられる
「レジリエンストイレ」

水道や電気などのライフラインが止まり、断水しても、いつものトイレの機能をそのまま快適に使える。それが「レジリエンストイレ」です。通常の使用時は5Lの水で洗浄しますが、断水した時には、タンク内のリングを抜くだけで1Lモードに切り替わり、水洗トイレとして衛生的に汚物を排出できます。1Lなら、500mlのペットボトル2本分。これは避難所に隣接したプールや井戸などから、多くの人が簡単に持ち運べる量で、管理者の負担軽減も期待できます。
今後、期待が高まる「レジリエンストイレ」ですが、もちろんこれだけで避難所全体をカバーできるわけではありません。たくさんの方が集まる避難所では、量の確保も重要です。仮設トイレや簡易トイレなどで量を確保しながら、いつもと同じを「レジリエンストイレ」が担う、役割の分担が大切になってくるでしょう。

レジリエンストイレ レジリエンストイレ レジリエンストイレ

「行きたいところ」に
「来てくれる」トイレを
自動車メーカーとトイレメーカー
だからできた取り組み

車椅子使用者の方々から「トイレが心配で外出をつい控えてしまう」というお声を聞きました。まだまだ外出先で安心して使用できるトイレが少ないことが理由です。そんな車椅子使用者の外出・移動を後押ししたい。多くの人が集まる屋外のイベントや繁華街など、トイレの整備ができにくい場所に誰もが使えるトイレを持っていきたい。そんな想いを同じにした、移動のためのモビリティを強みとするトヨタ自動車株式会社と、障害がある方も利用するトイレを熟知した株式会社LIXILが協働して開発したのが「移動型バリアフリートイレ」です。車椅子使用者がストレスなく自分で移動し、使用できるトイレとして目指したのは、そこに行けば使用可能なトイレがあることがあらかじめわかること。落ち着いて用を足す事ができること。そして用を足すだけではなく、トイレから出るときはリフレッシュできること。これらの実現に向けて、2つの会社それぞれの経験や知恵を持ち寄りました。

「行きたいところ」に「来てくれる」トイレを自動車メーカーとトイレメーカーだからできた取り組み

出かけるワクワクを
「移動型バリアフリートイレ」で

開発時にこだわったのは、車椅子使用者が自分のチカラでトイレにアクセスできること。そのためには床面を下げてスロープを緩やかにする必要がありますが、従来のトイレカーは汚水タンクが床下にあるため困難に。そこで、公道を走行できる可能な限り低い車高を目指しクルマで引っぱる牽引式に。また汚水をポンプで圧送する技術で汚水タンクを床面とフラットに設置。そうして緩やかなスロープが設けられる低床化が実現しました。もちろんトイレとしての使いやすさはすみずみまで配慮。ゆったりとくつろげる空間や身支度が楽しめる設備など、外出の高揚感を演出するトイレの空間づくりを行いました。この新たな発想で生まれた移動型バリアフリートイレは、すでにスポーツ大会やイベントで利用されはじめています。これからも、障がいの有無に関わらず誰もが行きたい場所に行ける喜びをサポートしていきます。

従来のトイレカー
従来のトイレカー
移動型バリアフリートイレ
移動型バリアフリートイレ
移動型バリアフリートイレ
移動型バリアフリートイレ
モバイルトイレを使ってみた

始めました
「もっとトイレができること」

今回ご紹介した内容は、まだまだ始めたばかりの取り組みです。健康な方も、不自由をされている方も。普通の毎日も、災害や非常時にも、「健やかな暮らしを支えてくれるトイレがそこにあってよかった」と思っていただけるように。みなさまの声をお聞きしてINAXはこれからも「トイレができること」を考え続けていきます。