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これからの
パブリックトイレを考える
多機能トイレの
利用集中を緩和
トイレの
機能分散

多機能トイレの利用集中が問題に

多機能トイレとは、車椅子で利用できる広さや設備に加え、乳幼児連れやオストメイトなど、さまざまな人の利用を想定して設計されたトイレのことを指します。異性介助への配慮から「男女共用」が一般的です。「多機能トイレ」は広くて使いやすく、性別も問わないことから、車椅子ユーザー以外のニーズも高まっています。
しかしその一方で、数が少ないことも影響し、利用者が集中しがちです。そうした中、車椅子ユーザーが使いたいときに使えないという問題も起きています。

多機能トイレの「設置数」よりも
「利用者数」が多い

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多機能トイレが使用中のため、
待たされた経験

国土交通省が実施した調査では、車椅子ユーザーの約7割が、多機能トイレが使用中のために待たされた経験があると回答しました。

画像:共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究, 2018年度(国土交通省)
  • 出典:共生社会におけるトイレの環境整備に関する調査研究, 2018年度(国土交通省)

トイレの機能を分散配置して、
混雑緩和へ

混雑を緩和させるためにも、おむつ交換台や乳幼児用の椅子、オストメイト対応設備などを一般トイレ内の「広めのブース」や男女共用エリアの「広めトイレ(個室トイレ)」に設け、トイレ全体での機能分散を考える必要があります。 国土交通省が作成しているバリアフリー建築のガイドライン※1では、多機能トイレに集中した機能を分散し、利用集中を緩和するという方針を打ち出しています。2021年度の改正では、「多機能トイレ」ではなく、「個別機能を備えた便房」等※2を総称して「バリアフリートイレ」と位置付ける、という考え方が提示されました。
  • 1 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準, 2021.3(国土交通省)
  • 2 「個別機能を備えた便房」等。
    ・個別機能を備えた便房:「車椅子使用者用便房」「オストメイト用設備を有する便房」「乳幼児用設備を有する便房」のこと。
    ・個別機能を組み合わせた便房:「車椅子使用者用便房(大型ベッド付きを含む)」にオストメイト用設備又は乳幼児用設備を付加した便房のこと。
    これらを総称して「高齢者障害者等用便房(バリアフリートイレ)」と位置付けている。

機能分散とは?

簡単にいうと、多機能トイレの中から、乳幼児連れ配慮やオストメイト対応設備を男女別の一般トイレや男女共用エリアに分散させる、という考え方です。

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分散配置の考え方

多機能トイレへの利用集中を避けるため、乳幼児用設備、およびオストメイト対応設備を一般トイレや男女共用エリアに機能分散します。機能が分散されることで、おむつ交換による長時間の利用が予想される乳幼児連れや、障害が外見からわかりにくいオストメイトが多機能トイレ利用時に感じる気兼ねや不安の解消にもつながります。
また、車椅子使用者が多数利用することが予想される施設用途の場合、車椅子使用者用トイレ以外にも「簡易型車椅子使用者用トイレ」を追加で設置したり、一般トイレ内に「広めブース」を設置して対応します。

  • この表示は説明のためのものであり、実際のトイレにおけるサイン表示ではありません。

「多機能トイレ」の利用集中は、その設置数が少ないことも要因のひとつと考えられます。また、「多機能であること」が利用しやすい人もいます。機能を分散させるだけでなく、車椅子で使えるトイレの数を増やすことや、「多機能トイレ」の複数設置も重要な視点です。

高まる“男女共用トイレ”のニーズ

近年、性別を問わず利用できる「男女共用トイレ」のニーズが高まっています。多機能トイレの多くが ”男女共用” であることから、その利用者は車椅子ユーザーとは限りません。例えば、保護者や介助者が異性の人たちや、トランスジェンダーの中にも利用する人がいます。
そこで、機能分散の計画は、一般トイレ内だけでなく、男女共用エリアも含めた空間全体に分散させることが求められます。

男女別トイレの利用が難しい人

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幼い子どもと
保護者の性別が異なる

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発達障害のある人と
見守る人の性別が異なる

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介助者や
同伴者の性別が異なる

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性的マイノリティ
(トランスジェンダー)

  • トランスジェンダーの中には、男女別トイレを問題なく利用している人もいます。

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