2022年9月、LIXILの知多工場で、とある実証実験が行われました。聴覚障がいのある従業員の働きやすさ向上に向けた実験です。どんなものだったのでしょうか?
知多工場でのある日の朝礼。朝礼で話すリーダーの隣に立てられたアクリル板には、なにやら文字が表示されています。実はこれ、話している人の言葉をリアルタイムで字幕にしてくれるシステムなのです。スマートフォンのマイクで音声を拾い、Wi-Fiでつないだプロジェクターでアクリル板に字幕を投影します。これによって、聴覚障がいのあるメンバーは、朝礼や面談の内容をタイムラグなく理解することができます。また、日本語に不慣れな外国人従業員の日本語理解の補助にも役立ちます。
今回の試みは、聴覚障がいのある従業員を中心に活動しているグループ「ミミシル」が、京セラ株式会社による字幕表示システムの実証実験に参画する形で進めました。ミミシルは、LIXILの「Employee Resource Groups(従業員リソースグループ:略称ERGs)」の一つ。ERGsは、従業員による従業員のためのグループで、LIXILが目指すインクルーシブな職場環境を作り出すために活動しています。LIXILでは、障がい、性的マイノリティ、ジェンダー、多文化、働く親と介護者のそれぞれにフォーカスした5つのグループがあります。
ミミシルでは、これまで手話教室や社内外向け動画の字幕化などに取り組んできました。今回の実証実験でも、聴覚障がいのある従業員が安心してワクワク生き生きと働ける環境づくりを目指しています。
工場のメンバーから届いた感想をご紹介します。聴覚障がいのある西尾は、「これまでは朝礼後にホワイトボートの筆談で内容を把握していたので、朝礼中に皆さんが笑っていてもなんで笑っているのかわかりませんでした。でも、このシステムではリアルタイムに内容が分かるため、健聴者と一緒に笑うことができ、うれしかったです」と話します。
朝礼で話をした内藤は「後から話したポイントだけホワイトボードで見せるのでは思いが伝わらない感覚がありましたが、話した言葉を全て字幕表示することで、聴覚障がいのあるメンバーも一緒に朝礼に参加できている感覚になれてよかったと思います」と振り返りました。
「ミミシル」ではこれからも、障がいにかかわらず働きやすい環境づくりに取り組んでいきます。