2023年2月、「京大アジア・アフリカ塾2023 」が、5日間に渡ってオンラインで開催されました。第4日目の「公衆衛生・ヘルスケア」に、LIXILコーポレート・レスポンシビリティ(CR)室長の長島洋子が登壇しました。
今年で5回目となる「京大アジア・アフリカ塾2023」(京大オリジナル株式会社主催)は、「産学官の立場から見たアフリカの現状と未来」がテーマ。アフリカの様々な社会課題について、企業や団体、研究者が、それぞれの取り組みや研究成果を発表する場です。長島は「公共衛生・ヘルスケア」の回で、LIXILが事業活動を通じて行う「グローバルな衛生課題の解決」をご紹介しました。
LIXILは、アフリカの26カ国(2022年6月時点)で「SATOソーシャルビジネス」を展開しています。SATOソーシャルビジネスは、簡易式トイレや手洗いソリューションを現地のニーズに合った形で展開する事業で、チャリティではなくソーシャルビジネスを通じた活動であり、現地の人びとの力でトイレの製造から設置、保守までのサイクルが回っていることが特徴です。当日は、LIXILの事業を通じた社会への貢献に関する考え方に加え、ケニアでSATOソーシャルビジネスに従事する従業員から届いた現地のリアルな最新情報や直面している課題なども交えてお話しました。
特にお伝えしたのが、啓発活動の重要性です。屋外排泄や衛生的ではないトイレが当たり前だった地域の方々に、なぜ安全で衛生的な環境のトイレが必要なのかを知り、トイレに関する生活習慣を変えてもらわなければ課題解決につながらないからです。アフリカ地域で展開している「学校トイレ改善プログラム(STEP)」では、学校にSATOのトイレを設置しています。これにより、感染症を予防し、同時に、トイレを使った子どもたちを介して「衛生的なトイレは安心!快適!」という意識を家庭や地域社会に広めることを大事にしています。
ウガンダでは、米国国際開発庁(USAID)が行う「Sons and Daughters of the Soil(SODAS)」キャンペーンと連携しています。キャンペーンで働きかけるのは、農村から都市に出て働く若者たちです。まずは、衛生的なトイレの大切さやSATOを使ったトイレの設置方法を若者たちに知ってもらいます。そして彼らが帰省するとき、実家の家族や地域の人に伝えてもらうのです。
セミナーには、産学官から150名以上が参加し、チャットを通じて様々な質問が寄せられました。議論が特に集中したのが、啓発を通じて人々の行動を変えていくことの大切さ、そして難しさです。これはLIXILに限らず、他のご登壇者の取り組みとも共通する課題で、他の方のコメントにも共感しながらの会となりました。SATOソーシャルビジネスにとって、現地の企業やNGOをはじめとしたパートナーシップは非常に重要です。これからも産学官の様々な皆さまと連携し、衛生課題の解決に向けて取り組みを進めていきます。
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